猫は王様だから頑張ります。
日がな一日を優雅に送る猫生の予定だったが。つい『魔法』だの『ダンジョン』などという言葉に前世の記憶が惑わされて、忙しく駆け回っております飼い猫のロイと申します。ただの猫です。
頑張って今は13階層まで来てしまいました。
自分でも「なんでこんな深くまで潜ったの?」って尋ねたいぐらいです。
既に、鬼に激似のデカイ奴(多分オーガ?)も魔法一発で撃退できます。
『黒い変なモノ』の顔付きもいました。他に骸骨さんもいました。でも【神聖魔法】でこちらも一発で撃退できます。
今頃、気が付いたのですが、もしかして猫は自由だから、普通こんなにポイント稼ぎをしないのでは?
周りの猫達を見ても、餌さえ確保出来れば寝て過ごしてる猫が多いなか、なぜ自分だけこんな事してるのかと思ってた矢先にです。
『逃がさないわよ!』
と例の声がして、レンとミキに襲って来ました!
でも安心してください。上げすぎたスキルのお陰で、【時空間魔術】からの攻撃を【リフレクション3倍返し】で全て反射する設定を随時しており、追加で【神猫斬撃】をお見舞いする設定も加えておきました。
【神猫斬撃】それは神だろうと顔に引っ掻き傷を与え、完治はほぼ不可能攻撃です。猫らしい地味な嫌がらせです。
で思い出したのです。この為に頑張っていたのだと、目的が思い出せて良かったです。(あ〜よかった)
さあ頑張ってダンジョンを攻略しよう!
「おうさま〜『黒い変なモノ』やっつけれたよ〜」
「きらきらだして〜おうさま〜」
「おうさまは〜おひるねしないの〜」
猫界隈では俺は『王様』になっている。いや、カラス界隈でもだ。
ボス猫からボス猫の中のボスになった事から、いつの間にか王様になった。理由は、「ダンジョンからご飯沢山取って来てくれるから」&「キラキラ石たくさん持ってくるから」
威厳ではなく。物量で王様になった。
「にーたん一緒に『黒いぐるぐる穴』行こう!」
ミミに誘われて、ダンジョンに潜る。
ミミも3階層までは問題は無いが4階層は飛べないと不利になるので最近頑張って【飛行】スキルを取得した。
ミミがメインで俺がサポートとしてやっつける。
「う〜ん飛びながら戦うのは難しいね」
「でも初めより上手くなったよ」
「えへへ」
牙だけでも1m以上ある大きな猪をどんどん倒す空飛ぶ猫達。
「そろそろママさん達が帰ってくる時間だから帰ろう」
「うん」
今日はミキの小学校の入学式だ。みんなでお出掛けしており、お婆ちゃんに見てに行くらしいので夜までお留守番してるように言われてた。
ミキも『光玉』は見えなくなっていた。レンはおしゃべりが出来るようになった為【自動選択】に変更しておいた。
既に、『黒い変なモノ』が寄りつかないようなスキルを取得しておいたから安心だ。
『調理魔道具:小型サイズ』を3つと『魔道具:ミニアシスタント』を10体追加で購入したので、ご飯渋滞が無くなった。
子猫の成長は早い。
俺が指導して取得した事でダンジョン3階層まで問題なくいけれるようになり、食糧調達メンバーが増えた事で、手が開くと思いきや、他所の地域から猫が集まってきている。
理由は、『黒い変なモノ』が増えて住み難くなったことが主な理由らしい。
昔、変な声の勧誘で、大勢の猫が居なくなった事により『黒い変なモノ』が彼方此方の増え、残った猫だけでは対応出来ない『黒い変なモノ』も現れる様になり、耐えられなくなってしまったと、カラスたちが教えてくれた。
「おうさま〜、おうさま〜変な人間たちが小山にきてるよ」
ある日、小山の猫が慌てて俺を呼びいきた。
向かうと、数人の人間達が何やら図面を広げて話をしている。
「…では着工は10月からの予定で」
「まさかこの辺りが人気エリアになるとは思いもよりませんでしたよ」
見えた文字には『開発分譲地』
目の前が真っ白になった。
猫達の楽園である小山が、無くなってしまう。
猫だからなす術はない。いや人間だったとしても、そんな力は無かったはずだ。
「カラス達に頼みがあるから、明日の朝に集まるように伝えておくれ、あとボス達も今夜、集まるように伝えて」
そう告げて俺は振り分けをしていなかったポイントを、探知系などのスキルなどに振り分けてレベルを上げ、『黒い変なモノ』を広範囲で見つけ次第どんどん倒していった。
「王様!どうしたんですか?急いでって言ってたけど」
「なんかおいしいもの見つけたの?」
「おうちのご飯より王様のご飯方がおいしい物がいっぱい」
呑気に語り合うボス猫たち。
「今日人間達がきて、この山を壊す話をしていた」
「「「………………」」」
「俺たちの山を奪い取る気だと!!」
「やっと良いとこ見つけたのにあんまりだ!!」
「許さん人間!俺たちの国を守らないと!」
流石に呑気にはしてはおれないと、騒ぎ出す。
「そこで考えたんだけど、ココと同じように『黒いぐるぐる穴』があって人間が入ってこない場所に移ろうかと思っている」
そう話すと、複雑そうな顔をする猫達。
「でも俺、飼い猫だから付いていけなくなっちゃう」
「飼い猫じゃ無いけど角の家の婆ちゃんとさよならするのはいやだなぁ」
先程までの勢いは無くなってしょげ出すボス猫達。
「だから色々考えたんだけど、カラス達に頼んで人の街から離れた所で『黒いぐるぐる穴』がある所が見つかれば、そこに猫の街を作り『黒いぐるぐる穴』みたいなもので、ココと行き来できるようにしようとする案」
人間に知られない知られても入れないサイズなら、ポイント振り分けで俺は作れるようになった。
「後、『黒いぐるぐる穴』の下ばかり向かっていたけど、一階より上や外のことは誰も知らない、もし外に住み良い場所があれば『黒いぐるぐる穴』で行き来できればいいと思う」
ボス猫達は顔を見合わせる。
「ここに人間達が大勢やってくるのは秋だ暑くなってそれが終わる頃だ。それまでに見つからなかった時は『黒いぐるぐる穴』は無いが棲家が無いもの達だけ他の地での生活になる。まずは、明日の朝カラス達からの情報を聞いてからになるが」
「分かった王様に従う」
「オレも」
「ワシも王様に従う」
ボス猫達は頷いたようだが
「オレはいやだ!なんで人間に追い出されないといけないんだ!」
「そうだ!魔法でやっつけちゃえばいい!」
やはり、反対者は出てくる。
「そうだね、俺たちの方が強いかも。でもね、人間と敵対すれば生活が変わるよ。安心してお昼寝なんてできなくなる。例えば俺が貸し出している『美味しくなる箱』や『手伝ってくれる人形さん』は『黒いぐるぐる穴』から見つけた物だけど、あれも『黒いぐるぐる穴』側の人間が作った物だと思うよ、多分。まず、俺たちには作れない」
「ななんで王様は分かるんだよ。人間が作ったものかって!」
「だって人間以外で作ってる動物いる?それに『黒いぐるぐる穴』で倒した時出てくる丸いモノ、あれは『黒いぐるぐる穴』の人間達が使ってる食べ物交換するモノだと思う。こっちでもキラキラした物や、ペラペラなもの渡して食べ物もらったりしてるでしょ?あれと同じ物だよ」
納得は出来ないだろうが、もし魔法が使えることがバレたら全員が捕まえられて実験台にされてします。それだけは避けなければならない。
反対していた子達がしばらく俯いてたが、顔を上げて
「強い王様が言うんだから、戦ったら俺たちが負けるんだ」
「悔しいよ〜」
「そうだね、戦ってその時は勝つかもしれないけど、数でも大きさでも負けてるからね」
若くしてボスになるだけあって理解できたようだ。
「でも、ここを出る最後には驚かせるつもりだよ。俺たちの棲家を取られるんだそれぐらいはするつもり」
それを聞いてボス猫たちもにゃ〜にゃ〜と喜び出した。
「では明日、カラス達に頼んで探してもらうのと今後の食べ物集めは出来るだけ『黒いぐるぐる穴』に入れる猫だけでお願いする」
こうして夜の臨時集会は終わり、翌朝、事情を話しカラス達に情報をもらうことになった。




