猫は大志を抱く?
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今回の物語も楽しんで頂けましたら幸いです。
「どうしたの?この猫の石像は」
隣にいるカイトに質問する。
「贈り物です」
目の前には、猫が靴履いてマントを翻し、手で何かを示している像だ。何と言うか、「札幌のクラーク博士の像の猫版みたい」と記憶の俺が囁いだ。
俺もテレビで見たことがある。まさに!と思ったが、
「で、何でここに有るんだ?」
数日前までは存在しなかった石像が、キャットハウスの庭にデデ〜ンと鎮座していたから驚いた。
「街の人達からの感謝の意だそうです。相当猫さん達のおかげで景気が良いらしいですよ。他にも数カ所に石像が置かれています。一番立派なのは中央広場の石像と一緒に並んでますよ」
カイトが答えた中央広場には、とっても立派な石像が中央に配置されている。
元々ある石像は、魔王討伐の記念としての物であり、英雄や勇者達の躍動感ある姿を表した石像が数体並んでいる。
そこに、全く関係ないクラーク博士像のような猫が参加である。
想像しただけでもおかしい事は分かるけど、街の住民達はそれで良いのか?
そう思いながら確認の為に、中央広場に向かってみる。
今、中央広場に着いて確認した。
「…ダメだろう」
まるで猫の指示で勇者達が戦っているようにしか見えない配置に石像が置かれている。
何故ここに?と思われる微妙な配置にだ。わざとか?
「これは誰が作ったんだ?てか誰が配置したんだ?」
一緒に広場まで着いて来たカイトに質問する。
「世界的に有名な彫刻家だそうです。何か『俺の奢りだ!』活動している猫さん達と仲良くなって領主様に是非、製作させて欲しいとお願いしたらしく、領主様もすぐに承諾されたと聞いてます。置かれたのは3日前ですね」
こっちの世界に来なかった、たった3日間での出来事だったらしい。
既に、この石像の話しを聞いた猫さん達は興味が湧いたようで、先日から見学しに来る猫さん達が大勢いた。
特にグルン村の猫さん達はこの石像を見て大喜びし、『俺の奢りだ!』メンバーが増員されてしまった。
なので、イベントでもないのに猫さん達が勝手にフィーバー状態の所為で、街は祭り状態になってしまっている。
そして更に、猫さん達は仲間を呼び寄せるもんだから、今、グルン村には誰もいない。勿論、見張も居ない。
(今、グランダス聖王国が城壁破って入って来たら、凹むだろうな。誰もいない城壁を2ヶ月以上かけて攻略しようとしてたんだから)
などと思いながら今俺は『やらかし猫の取り締まり役』として、街中をパトロールしている。
役職が増えてしまった。
地球側からも噂を聞いて、ボロ家のメンバーの猫さん達もやって来た。
こっちは普通の猫さんもかなり多いが、既に街の人々は普通の猫だろうが誰も気にしていない様だ。
「お金持ってない猫さんが多いから、代わりに買ってあげてください」
「「「「「お〜!」」」」」
『俺の奢りだ!』メンバーはノリノリだった。
何か、お金使うが楽しくなってるようだ。
なので、側から見ると、ハーメルンの笛ふき状態で『俺の奢りだ!』メンバーの後ろに、地球側の猫さんと子ども達とおっさん達がゾロゾロ列をなして練り歩いてる。
商業ギルドから『経済参加』を頼まれているから役目を果たしてる。
だが、今後は注意しなければならない事ばかりだ。
【擬人化】が使えない普通の猫さんは、人間の食事は危ないのでキャットハウスとレオハウスの庭先に、『調理魔道具』を数台設置しておいた。
これなら、猫さんの体に危害はないから安心だ。
「はいそこ!硬貨を間違えない!」
「道の真ん中で寝ない!隅に寄るか、屋根の上に行きなさい」
「街の中では攻撃魔法禁止!」
「そこのおっさん猫!『俺の奢りだ!』メンバーの勧誘禁止!」
俺は『やらかし猫の取り締まり役』で飛び回っている。
「に〜たん大変そうだね」
「やっぱりに〜たんはすごい!」
ミミとロトも一緒に来ている。だが『やらかし猫の取り締まり役』の為、一緒には回れない。
「ごめんな、忙しくて一緒には回れなくて」
「大丈夫。皆んなと一緒にご飯の屋台だけ回ってるだけだから」
ミミとロトはちゃんとお金の種類と簡単な計算は出来るようになっていた。
さすが!俺の自慢の弟妹だ!
勝手に猫さん達が祭り状態にしたので、ギルド経由で領主様に謝ってもらおう。と思ったら、既に領主様から許可だ出ていたそうだ。
「我が国メルーベン王国とグルン獣人国の友好関係の証だ。これぐらいは、構わないとのお達しだ」
有難い、そして初めてこの国の名を知った。メモメモ。
俺達の方はグルン村と呼んでいたので、そのまま『グルン獣人国』にした。
王国にしなかったのは、単に王様稼業は俺以外誰も就きたがらない。
『王様』は猫さん達に不人気の職業なのだ。
理由は単純だ。
猫さん達が王様が大変な仕事だと気付いてしまい、成り手不足の為である。
つまり、俺が辞めたら王様は廃業となる。
なので『王国』と付けると王様不在の王国って?事になるので『獣人国』とした。
「ついでに一部の猫を冒険者ギルドで登録してもらいたい」
この様子だと、街に居座る猫さんが増えそうだから、その前にしっかりと生活基盤を揃えたい。
特に身分証明とお金の換金場所をしっかり固定させておく必要がある。
「分かった。住む場所はキャットハウスか?」
「ああ、子ども達が成長すれば、あそこに入れるのは俺達だけになるからな。だが多分足りなくなる。その時はまた考える」
かなりの猫さん達が、グーデルンの街で暮らし出すと思われる。(特に『俺の奢りだ!』メンバー達が)
「組ませるメンバーを考えておかないとマズイな」
そう。猫さん達だけで行動させるのは色々とマズい。
単純な強さだけなら問題はないが、それ以外はまるっきりダメダメさんだからだ。
ダンジョンでも、肉と魔石以外はポイしていた。
最近は、街でお金を使う事を覚えてから、ボイする猫さんは減ったが、金銭管理が出来ない猫さんを管理してくれる人間が必要なのだ。
「その時は頼む」
冒険者ギルド長のレフルドに丸投げしておく。
「ところで、お前さん達はいつまで居るんだ?まぁ、街は潤って良いんだが」
「知らん。飽きるまでか、『俺の奢りだ!』メンバーの金が尽きるまでだな」
しばらく、グーデルンの街は騒がしいだろう。
『やらかし猫の取り締まり役』は、しばらく続く。
【次の更新日】 7月23日 木曜日 21時
★同日17時30分に更新★
『只今、異世界潜伏中です。〜脱獄したら、王様にジョブチェンジ?!〜』(おっさん多め)も宜しければお楽しみくださいませ。
こちらの作品は猫さんより1ヶ月先輩の初作品です。
引き続き、お付き合いくださいませ。
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