猫は隠し部屋を見つけるのが得意です。その2
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今日は、早めに切り上げ、タカシの家に立ち寄る。
「今回は、レンタカー使ったから、大量にキャットフードを買えたよ」
ニコニコのしながら答えながらタカシがお出迎え。
「マジック袋って凄いね!2階まで運ぶのが大変だと思ったけど、これならどんどん運んで来れるや」
確かに、タカシの部屋は2階で、普通に運ぶのは大変だ。
本来マジック袋は、こっちの世界では使用出来ない。
なぜなら、袋に少量の魔力を通さないと発動しない品だからだ。
なのでタカシのマジック袋は、俺と『パス接続タイプ』にしておいた。
万が一、盗難にあったらパス接続を切ればいい。
「助かる!俺だと一度に買える量が限られてるからな」
「お役に立てて何よりだよ。車の方も来月には納車予定だ」
特に問題はなさそうだ。なので今後の予定やスケジュールの打ち合わせをする。
「かなりの量を買うと目立つけど、分散すれば問題ないし、隣町や大きなホームセンターを何軒かハシゴすれば充分に賄えるよ。仕事は自営業として『サポート屋』で運営する予定。バイトはまだ少し掛け持ちするけど、問題無いはずだよ」
「こっちの世界は仕事するのも大変だな〜」
『納税の義務』やら『確定申告』と、小難しい言葉を前世の記憶の俺が呟く。
現世の俺は無職のただの猫だ。いや、王様になってた。
王様だけど納税の義務が無い猫で良かったとつくづく思う。
「大した事ないよ。どの道、こんな小さい自営業者は誰も相手されない形だけだし。バイト先が一つ増えたようなものだからね」
今は鶏肉のダンジョンで肉を多く確保できているから、切羽詰まるような食糧難ではないが、定期的に増やしておきたい。
「ついでに人間が食べる食材も仕入れて欲しい」
「トノちゃん達が食べるの?」
「いや、向こうの人間用だ」
「指定してくれたら、ついでに買っておくよ」
「助かる」
癒しの補充は欠かせない。
他にも、ミートチョッパーの手動タイプの注文を頼んでおいた。
調理魔道具のおかげで生肉でも食べられるが、ダンジョンの肉は大きいので小分けにしてはいるが、それでも猫には大きい。
俺がいれば、風魔法などを使って細切れに出来るが、いつもいる訳ではない。
なので細切れに出来るレベルの猫が成長するまで、活用しようと思っている。
タカシはいつも律儀に、購入金額を計算してある。預かった資金の残りが幾らかと、猫に申告する。
真面目だな〜と思いながら、精算し次回の買い物代を補充する。
「トノちゃんもニコニコ現金払いだね」
とタカシが宣うが、猫がカード払いしてたらおかしいだろう。ってか現金払ってる時点でもおかしいだろう。
『社畜』という人生が長かった所為なのか、疑わない受け入れ体質が、身に染みついているのだろうと、記憶の俺が嘆いている。
いいやつなんだが、時々猫でも心配になる。本当にいいやつなんだが。
「では今日は7階層からのスタートだ」
いつも通り、スタスタ進んで行く。
「ここには無いの隠し部屋?」
テラザが質問してくる。
「部屋は無いが、変な空間は有るな」
「「「「変な空間?」」」」
「変な空間とななんだ?」
リーダーのクロムが尋ねる。
「ん〜何か何処か他の空間と繋がっている感じ」
なんか『黒いぐるぐる穴』のような感じがする。
「どうする。今はそのまま無視して進むか?それとも、そこに向かうか?」
「今回は、決まりでは無いから、後日増員して向かっても良いが、ロイはどうする?」
クロムが俺に問いかける。
「ん〜確認したいんだが?進みが遅くなるが」
「いや、充分にハイペースで進んでいるから問題ない」
許可が出たので、『黒いぐるぐる穴』っぽい場所に進む。
「ここだ」
そこに有ったのは紛れも無く『黒いぐるぐる穴』だ。
「小さいが、確かに空間が歪んでる」
魔力を持っているからか、こちらの世界の人間には、この『黒いぐるぐる穴』は見えるようだ。
穴に持っていた『世界樹の枝』を突っ込んでみたが、反応は無かった。
『世界樹の枝』は何かと扱い易いサイズで便利だ!
「ちょっと覗いてくる」
俺の発言にストップがかかる。
「何かあってもこのサイズでは助けに行けないぞ!」
「大丈夫だ。覗いたらすぐ戻る」
確かに猫サイズだからクロムは腕しか入らないだろう。
俺は新『黒いぐるぐる穴』を潜る。
『異空間設定が定着されました』
と、頭の中に音声が流れた。
探知探索系をフルに使い位置確認をすると。どうやら俺の棲家から少し離れた山の中だった。
「もしや新たな『黒いぐるぐる穴』か!」
クロム達が心配するので、場所だけ登録しておく。後日この辺りを探索してみよう。
「無事か!」
俺が出てくると、すぐにクロムが尋ねてきた。
「ああ問題ない」
「中はどうなってた?」
気になるようで、ライトが『黒いぐるぐる穴』の中の様子を尋ねてくる。
「普通の森だった」
「変わった物があったか?」
「近くにはこれといったものは無かった」
しばらく説明してたが、結論、俺しか行けないサイズだから、7階層攻略へ向かう事になった。
7階層を攻略し、ついでに次の階層を覗いて探索系魔法を掛けてみた。
「うむ」
「どうしたロイ?」
「8階層に探索を掛けたら、また隠し部屋があった。見つけると進みが悪いから無視して良いか?」
部屋を発見する度に報告しなければならない為、階層攻略の日程が延びるから無視したい。
肉がいっぱい取れるが、ギルドの人間を毎回連れて来なければいけないから面倒だ。
「いやいや、報告しなければならない。今、発見したのなら明日ギルドの者に一緒に来てもらえば良いだろう」
「あ〜なるほど、分かった」
翌日。
「なぁロイ。お前、うちのギルドの従業員にならないか?」
ギルド長に勧誘された。
最近いつも会うから、とってもフレンドリーになって、『君』付けが無くなった。
「王様からとても重要な使命を与えられてるから無理だ」
「そうか…ちなみにどんな使命だ?」
「ご飯を確保する使命と、お買い物する使命だ!」
「……」
ギルドへの報告で、本日一緒に8階層に潜る事になったのは、ギルド長のレフルドだ。
暇なのか?ギルド長は。
「隠れ部屋を確認後は、通常通り9階層入り口を目指す」
クロムの指示に従い進んで行く。
「鶏のサイズが大きくなったな」
「ああ、8階層からサイズが大きくなり、石化も強力になり、毒は猛毒になってるから気を付けろ」
「大きいと言うことは肉のサイズも大きいんだな!」
俺の期待値が上がる。
「そうだな、だがこの階層からはキュアポーションなどのポーション系のドロップ率が上がる」
「なっなんですと!」
ショックで猫だけどorz。俺の期待値が急降下。
「大丈夫だよ、ロイ。全部がポーションになる訳じゃないから」
「そう。この階層からの肉は更に美味い」
テラザとマーヤが慰めてくれる。
「そうだ!肉が全く取れない訳ではないから落ち込むな!」
「少しポーション系の確率が上がりますが、肉はちゃんとドロップされますよ!」
ライトとテテトもフォローしてくれた。
「そうか、分かった。まず隠し部屋に向かう」
気を取り直してサクサク進んで行こう!猫復活!
次の更新日は、6月11日木曜日です。
更新時間は21時〜23時です。
同時更新『只今、異世界潜伏中です。』(おっさん多め)も宜しければお楽しみくださいませ。




