猫は隠し部屋を見つけるのが得意です。
「このペースだと、直ぐに10階層の入り口まで到達しそうだな」
一日1階層を攻略しながら進んでいる。
先に倒して魔石とドロップ品の肉を回収しながら、殆ど止まらず駆け足で進んでいた。
そんな調子で進んでいたら、只今、6階層までやって来た。
下層の方が肉のサイズも大きく、数も増えるから回収できる肉が増えてありがたい。
「…ちょっと寄り道いいか?」
「どうした?何かあったか!」
「隠し部屋が有ったから、寄ってみようかと思っただけだ」
「「「「「隠し部屋!!」」」」」
「ほ本当か!?」
黒獅子の皆さんあんぐり顔で俺を見る。
「ああ、だが以前見つけたのより広いから、モンスターもいるようだ。後、以前のように一つの部屋じゃなくてその奥にも更に隠し部屋があるみたいだ」
「まさか、隠し部屋の発見に立ち会えるなんて!」
テテトが目を輝かせて喜んでいる。
「あっ、これって、ギルドに先に報告するものなのか?」
以前はデルテがいたから任せていたが、本来はどうするのか聞いていなかった。
「いや、後報告でも構わない。というか、隠し部屋というものは偶然の発見が基本だ。探して見つけ出すなんてありえないからな」
クロムの隠し部屋の扱い方の説明を聞いた後、皆んなの許可を得たので、隠し部屋へ向かうことにした。
「では寄り道して行く」
『隠し部屋』は7階層入り口へのルートから外れており、更に、どちらの入り口からも離れている為、迷って向かう以外は、誰も向かわないエリアのようだ。
「ここか!」
ライトがかなり興奮気に問いかけてきた。
「そうだ。では開けるぞ」
解除した中は、広々した空間に大量の肉、いや元い、コカトリス達とその子のヒヨコ?コカトリスと玉子がわんさかあった。
「不味い!モンスターハウスだ!」
そうクロムが叫んだと同時に、コカトリス達が一斉に俺たちに向かって来たので、
「【オートバレット】にゃん撃隊!撃て!」
ドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッ
すごい銃声と、コカトリスの断末魔が空間中に鳴り響いた。
「よし終了だ」
魔力の反応が無い。全てやっつけたので、大量の魔石と鶏肉。ヒヨコと玉子のドロップ品なのか、液体の入った瓶が至る所に散らばっている。
「回収するから待っていてくれ」
黒獅子達の反応は無いが、まあ良い。ほっといて、さっさと回収しよう。
「奥に隠し部屋が有るから、見てくるが来るか?」
「…あ、ああ一緒に向かう」
クロムが復活し、返事をする。他のメンバーも戻って来たので、奥の隠し部屋に一緒に進んだ。
入り口とは反対側あり、開いてみると宝箱が6つあった。
「問題ないからどんどん開けるぞ」
さっさと開けて7階層入り口を目指そう。
「いやいや、もうちょっと宝箱を発見した感動とか。そういう余韻を感じる為に一つずつ開けてくとか。こう何か、イベント的なモノが欲しいんですけど!」
テラザに文句を言われたがよく分からないが、皆んな頷いてる。
「?よく分からないから、開けたいなら、開けてくれ!」
「「「「「!!!」」」」」
?何故驚く?
「ちょうど、6個有るから一人ずつ好きな箱を選んで開けれるでどうだ」
なかなか、良い提案だと自負する。
「いやいや、こう言ったモンは発見者の特権だろう!俺らが開ける権利はねぇぞ!」
ライトが、熱く語るが、
「別に誰が開けようが気にしないから開けて良いぞ」
正直、低身長の俺がそれなりにデカい宝箱を開けるのはとっても面倒なのだ。
「じゃあ!私これ開ける!」
一番手はテラザが宝箱の前に陣取る。
「マーヤはこれ!」
二番手はマーヤだ。開ける気マンマンだ。
「おいおい!二人とも勝手に決めるんじゃねぇ!…なら俺はこれだ!」
二人を注意しながら、ちゃっかりライトも宝箱の前に立つ。
「なっ!狡いぞ!なら俺はこれ!」
慌てて、テテトも宝箱の前に立った。
「…すまんな、ロイ。本当にいいのか?宝箱を開けても」
「問題ない。クロムも選んでくれ」
皆んなで開けて中身を確認していく。
「すごい!銀貨と金貨がいっぱい!」
「こっち!マジック袋っぽい!」
「スゲ〜!何かすげ〜剣が出て来たぞ!」
「これは!多分だが解毒の指輪だ!」
「おおこれは凄い、大楯だ!」
「ん〜?何か変なマントが出て来た」
羽織ったが、サイズが変わらないので買取行きだな。
「テテト。このマント何か分かるか」
テテトはダンジョン産のアイテムマニアらしく、意外と詳しい事が判明したので、宝箱から出たマントを手渡した。
「こっこれは!気配遮断のマント。通称『影のマント』ですよ!かなり高ランクの魔物や高度な探知魔法以外は通常感知されない品ですよ」
そうか。でもこれって、確かぐるぐる穴のダンジョンで出てきたな。ついでに視てもらおう。
「じゃあ、これも同じ物か?」
「こっこっこっこっ」
え?コカトリスの鳴き真似?
「こっこれは『常闇のマント』ですよ!『影のマント』の上位の品です。確か、今年版の『ダンジョン宝箱年鑑』に描かれていました」
何!その『ダンジョン宝箱年鑑』って!すっごくが気になる!宝箱より気になる!
「テテト!その『ダンジョン宝箱年鑑』って何処に売ってるの!」
「え?あ、冒険者ギルドで受注販売で売られてますよ。次回号の新規受付は終わってしまいましたが」
そっんなぁ〜!すっごく見たいのに!
「そんな項垂れなくても、私の本を見て欲しいと思われたら、会員の受付終了はまだ日がありますので、もう一冊追加で注文しますよ」
神がいた!テテト神だ!
「是非見せてください」
「分かりました。結構大きいので、この依頼が終了しましたら、お見せしますよ」
「なら、今回のお宝全部差し上げますから、マジック袋に入れて持ってきたください」
「「「「「いやいやいや!」」」」」
皆んな、すごい勢いで断ってくる。
「俺達はただ観ていただけだし、宝箱を開けるという特別な体験をさせてもらっただけだ」
「そうだぜ、ここのお宝貰ったなんて知られたら、白い目で見られる」
などと、懇々と説明された。
「ん〜分かった。だが、すぐにでも本を見てみたい。だからマジック袋はあげるから、持ってきて見せて欲しい」
「…分かりました。なら次回潜る時に持ってきますね」
その後、サクサクと出口に向かって駆け足で向かい、7階層入り口に到着した。
隠し部屋の事はギルドに報告が必要だが、クロム達が概要だけ先に連絡してもらい、明日、俺と一緒に詳しい報告をあげる事になった。
「また見つけたのか」
早朝から少々呆れ顔のギルド長のレフルド。
「見つけた。今回はお肉いっぱいで良かった」
満足である。ニンマリ
「モンスターハウスをそう捉えるのか…それが6階層に、ってか開始6日だよな」
「帰らないといけないから、1階層ずつしか進めない」
「…まぁいい。で、どんな内容だったか詳しく頼む」
俺には期待していないのか、クロムを見ながら今回の説明を求めた。正しい判断だ。
クロムが詳しく説明している間に、俺は今回の宝物を机に並べた。
「これが宝物の中身か!凄いもんだな」
レフルドはお宝をまじまじと見つめてため息をつく。
「俺達には使えない物ばかり、残念な宝箱だった」
「残念って…。まぁ、お前さん達にはデカすぎて使えないな」
「だからクロムいるか?」
「だからじゃなくて、ギルドの買い取ってもらえばいいじゃないか」
頑なに断るクロム達。だが、俺にも理由がある。
「ギルドには他の物を買い取って欲しいから、クロム達が貰ってくれ」
その言葉にギルド側は呆れ顔で俺を見る。
「昨日も言ったが、タダで貰ったら俺達がグデデの大森林の原獣人を騙したと思われるし、原獣人を騙そうとする輩が増えてしますぞ」
クロムの注意された。
それは、まずいな!確実に猫達は騙される。間違いなく騙される。
「うむ〜、なら隠し部屋の品は縁起がいい物らしいから、マジック袋以外に発見したお祝いで一つプレゼントでどうだ」
「…余り変わらないが、なら縁起物として一ついただく。代わりに、貸切馬車代とテテトが購入する予定の本はこちらからの贈り物にしよう」
「それは嬉しい!テテト頼んだ!楽しみだ!」
ギルド長の部屋に入る前に少し見せてもらったが、とても面白かったので既に注文してもらう事になっている。
「で、どれにする?」
「剣か盾だが、少し考えさせてくれ」
報告は終了したが、確認を兼ねて翌日はギルド職員とギルド長も一緒に隠し部屋を見に行く事になった。
次の更新日は、6月8日月曜日です。
更新時間は不規則です。
0時過ぎに出来なければ、17時〜22時になります。




