猫は救助活動もするんです。
「では4階層から開始だ」
順調に1日1階層を攻略していき、今日は4階層から攻略を開始した。
「迷いなく進んで行けて凄いわね。ほとんど駆け足でロイの後を付いて行ってるだけだもん」
「ああ、本当に見てるだけで終わりそうだな」
「二人とも気を抜き過ぎだ」
テラザとライトのお喋りに、父であるクロムさんからお叱りを受けた。
「でも、本当に駆け足でダンジョンを走ってるだけだし」
とテラザが小声で口を尖らせボソリと呟く。
「あっ」
「どうしたロイ」
「多分、冒険者がやられてる。ここ場合どうすればいい?」
クロムに尋ねる。ダンジョンでの対応はクロムに任せる。
「近いか」
「走れば5分ぐらいで着く」
「悪いがロイ。一緒について来てもらおう」
冒険者が二人がコカトリス3羽、いやに3匹と交戦中だった。後ろには二人の人間が倒れており、そのすぐそばで魔法で援護しているが、かなり押され気味になっている。
「必要か!」
クロムが大声で、戦闘中の冒険者に呼びかける。
「頼む!」
助けれそうなら声を掛け、必要か不必要か応答するのが冒険者のマナーらしい。
逆に、助けを求めても自分の現状や実力不足だと思えば断っても罪にならない。
助けを応じた場合は依頼と見做され、ダンジョンレベルにより規定の金額を支払わねばならない。
ハンター稼業は全て自己責任だ。巻き込まれない様にするのも安全策の一つと言える。
準備不足に力不足。無理をして入ったのなら、そんな無理な所に入る奴が悪いとされる。
なので冒険者ギルドでは、チームで死者が出た場合、無謀な計画をしたとしてチームの星ランクが下がり、場合によっては、個人の星ランクも下げられるペナルティもあるそうだ。
勿論、悪質な行為が発覚すれば、ギルド追放と同時に犯罪者として捕まる。
現状は、コカトリス3匹と交戦中だ。
「俺がやる」
今日は【ライフル】改良した、その名も【オートバレット】で倒している。【狙撃】と【命中率】でロックオンすれば必ず命中する。
3匹とも鶏の頭と尻尾の蛇の頭に見事命中させた。
「助かった。恩に着る」
リーダーであろう男が礼を言いにやってきた。
「俺は何もしてない。コイツ1人で倒したからな」
クロムが俺を指す。
「ありがとう助かった」
頭を下げてお礼を言われた。
「済まない。代金は払うから毒消しポーションを譲ってくれないか。2人が毒に侵されて動けないでいるんだ。道に迷ってしまてる内に、持ち合わせを使ってしまって」
男は現状を説明し、毒消しポーションを頼んできた。
「テラザ、助けてやれ」
クロムがテラザに指示を出した。
「は〜い」
テラザは久々の仕事だと、張り切って呪文を唱えると、倒れている二人がうっすらが光り、さっきまで苦痛な表情が穏やかな表情になっていく。
「毒は消えたけど、すぐに動くのは無理ね」
どうするんだ?こう言った時は?クロム達の動向を観察中。
「救命隊を呼ぶか」
初めて聞く単語だ。初期ダンジョン講座では出て来なかった単語だ。
「救命隊って何だ?」
「救命隊ってね、ダンジョンに入る冒険者から救援要請が出ると、ダンジョンに潜って助けてくれる実力者集団なの」
テラザが教えてくれた。
「ダンジョンを管轄できる冒険者ギルドや担当地域の領主様は最終階層までクリアできる実力者を揃えないと、救援隊設置理由としてダンジョン管理の許可が降りないし、ダンジョンへの入場手数料が取れないんだ」
ライトが補足して説明してくれた。
「?俺、手数料払ってないぞ?」
一度も払った事がないんだが…猫は無料なのか?
「あぁ、今回は依頼扱いだからだよ。依頼ではなく、普通に入れば手数料は取られるよ」
そうだったのか!そういえば説明会の時も、依頼で入る事をおすすめされたな。ってか手数料かかるのは常識だったのか!
「救命隊を出せば、その分の支払いは発生するからできれば呼びたくないけど、流石に2人だとね」
なるほど、助けに来る人間の危険手当が必要か。
「運ぶだけなら問題ない」
俺は大きめ(普通の人間用シングルサイズ)の毛布を2枚出し【浮遊】を【付与】した。
「これに1人ずつ乗せろ」
2人をそれぞれ乗せてから魔力を通して浮き上がらせた。
「それは何だ!普通の、いや、かなり上物の毛布に見えるが」
クロムが俺の出した毛布を見て驚いている。
さすがは日本製です。
「即席で作った担架だ。丈夫そうな布がこれしかなたった。引っ張れば問題なく動くから乗せて連れ出せばいい」
引っ張っていくのは、お仲間に任せよう。
「では出発!」
人を運んでいるので歩いて5階層入り口を目指して進んで行く。
その後は特に問題なくサクサク進み、5階層入り口に到着し、登録して1階層に戻る。
「助かったよ。2人とも意識が戻ったから街まで帰れそうだ」
「我々も帰るから一緒に向かおう」
乗合馬車はバスのような様な物なので、格安だが行きも帰りもぎゅうぎゅう詰めだ。
二人とも意識は戻ったが、この馬車ではキツいだろう。そんな事思っていると、乗合馬車ではない馬車が目の前を通り過ぎて行った。
テラザに尋ねてみたら、なんと乗合馬車以外に貸切馬車が存在したのだ。要はタクシーの様な存在だ。
気になったので、金を払うから乗ってみたいと頼み、助けた彼ら『ルエナの泉』と黒獅子達と乗って帰ることになった。
ちなみに、ダンジョン横には冒険者ギルドの買取窓口が有るので、回収した肉は本来はそこで買取となる。
貸切馬車は良かった。
余裕で座れるし、座面にクッションまで付いている上、綺麗だった。
人間サイズの乗合馬車では、背の低い俺にはキツい。
だって、足元で踏まれないようにするのは一苦労だ。
なので、明日から往復の金を出すから、貸切馬車にしてもらえるように頼んだ。
理由を話したら、苦笑いして納得してた。
料金は片道200ミューレ、手配は黒獅子がしてくれる事になった。
帰りの馬車の中では、色々面白い情報をゲットできた。
助けたチーム『ルエナの泉』のエメラさんとテラザさんが、同い年なのか意気投合して話し出す。
「ポーションが最近高くなったから、教会に頼むんだけどイマイチ治りが悪いのよ」
「あ〜それね、なんかグランダス聖王国がポーション買い占めてるんだって噂よ!教会に頼るように仕向けてるって噂もあるのよ」
「でも、どんどんポーション作っちゃれば意味ないじゃない?」
「それが、そうはいかないのよ。あの国が無理矢理ポーション師を集めていて、薬草も買い占め行ってるって噂よ」
「何それ、ひどっ!」
「だから、薬師ギルドが意趣返しのように、粗悪ポーションに回復魔法を掛けるとランクアップされたポーションになるって発表したのよ」
「それ、マーヤも聞いた!」
「やるじゃない!薬師ギルド」
「冒険者ギルドも薬師ギルドと協力して何か始めるみたいよ」
「それ、マーヤ知ってる。薬草採取の依頼、少量でも常に買取になる。仕事ついでの採取も買取OK。冒険者ギルドで買取してもらえるから薬師ギルド持ち込みしなくてもいい」
「「それ便利ね!」」
ワイワイガヤガヤ、姦しい。
「「「お前ら、元気だな」」」
「では、また明日」
「よろしく頼む」
街について皆んなはギルドに向かうが、俺はそのまま帰宅した。
「ロイおかえり。今日は早かったわね」
「な〜うな〜う(パパさんと師匠を観る日ですから)」
「ロイ!一緒にテレビ観よう!おいで」
パパさんの膝の上に乗っかると、
「ペケ!ロイはレンの!」
レンが俺の尻尾を引っ張る。
「ギニャ!ギニャ!(尻尾を引っ張るな!レンこそペケだ!)」
パパさんは俺を膝から降ろし、レンに渡す。
「分かった、分かった。ロイ、夜に一緒に観ような」
俺はレンに抱え…引き摺られながら、遊び場へ連れて行かれる。
「な〜う(は〜い)」
今週の師匠の活躍が楽しみだ。
次の更新日は、6月5日金曜日です。
更新時間は不規則です。
0時過ぎに出来なければ、17時〜22時になります。




