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猫は弟妹と一緒にお出掛けです。

 昨夜のお出かけは中止となった。

 レンがあの後、寝る時も離してくれなかったからだ。


「に〜たん、一緒に『黒いぐるぐる穴』行こう!」

 翌日、ミミが久々にダンジョンに行きたいと誘ってきた。

「今日は『黒いぐるぐる穴』の人間の街に用事があるんだ。ミミは『擬人化』出来るから、一緒に行くか?」

「うん、に〜たんと一緒に行く!」


 初の異世界の街にミミは大興奮だ。

 流石に俺と一緒に弾丸飛行は危ないので、俺が先に街に向かい、転移門を作る。『転移門』と言っても、見た目は『黒いぐるぐる穴』だが異世界とを繋げる事はできない。

サイズも小ぶりだが、猫なら問題無い大きさだ。


 街近くの森の中に印をつけて門を作り、ミミと弟のロトを呼び寄せた。

 『ロト』の名は俺が付けた。本人は、飼い主さんが付けてくれた名前を忘れてしまってたようだ。

「人間の街では俺が王様なの内緒ね。俺達の王様は別にいる。そうだな、人間の街では猫達の王様は母上にしよう」

 二匹とも理由は分かっていないが、人間達に俺が王様だと分かると、酷い目に遭うかも知れないと嘘を吐いておいた。

 俺が猫達を騙すなんて!ごめんなさい。


「に〜たんこっちの人間の街もいっぱいだね」

 街に入り、周りを見ながらぼちぼち隅っこを歩いて行く。本猫(本人)的には普通に歩いているが、サイズ的というか足の長さ的にぼちぼちスピードになる。

「あっすごく美味しそうな香りがする!」

「そうだな、帰りに買って食べてみよう」

 『擬人化』の凄いところは、人間の食事が可能になるところだ。

 このスキル持ちは、猫の姿の状態であっても、猫達には毒であるネギやチョコレートを食べても問題なく消化出来るという事だ。

 だが、仔猫がマネしたら危ないので、取得した猫達には内緒にするようにと考えたが、猫である。

 すぐにバレそうなので、

「『擬人化』を取得できた凄い猫だけが一部の毒でも食べれるようになる」

 と伝えた。嘘を言うより、毒だと伝えた方だ良い。興味持って食べてしまう事を防ぐにはこれが一番だ。

 『好奇心は猫を殺す』全くもってその通り。

 食べたいなら『擬人化』を取得しよう!作戦だ。


 冒険者ギルドに入ると、注目される。

 そりゃそうだ。連日、隠し部屋を発見した『原獣人』が本日は3匹でやって来たんだから。

「おう、今日はお二人もお仲間を連れてか?」

 ギルド長さんが声かけてきた。忘れないうちに聞いておこう

「忘れない内に訊いておきたいんだが、この街の名はなんて言うんだ?」

「あ?あぁ、グーデルン。『辺境都市グーデルン』だ」

 急ぎメモる。記憶に自信ない猫には必須だ。


 ギルド長の部屋に向かう。

「一つは出来たから、貰ってきた。確認してくれ」

 マジック袋をギルド長に手渡すと、鑑定士のおじちゃんが鑑定をして、汗を掻きだす。

 この部屋は暑いのかな?隣の弟妹(きょうだい)を見てもそんな素振りなく、出されたお菓子とお茶を美味しそうにモグってる。こぼさないようにね。

「ロイ君。以前より収納量がえげつなく増えているんだが、おまけに以前のと同じく時間停止機能まで付いている」

「?前は猫サイズだ。だから人間に合わせた収納量だ。時間停止は肉が腐らないから便利だ」

 人間の方が大きいし、色々入れるだろうから大きめに作っておいた。時間停止付きにしたのは、美味しいものをたくさん運んで欲しいからだ。

「…既に、交換金額は達成したな」

「?まだ残り3つあるぞ」

「いやいや、初めに言った金額は、隠し部屋から発見されたマジック袋を基準にした概算だ。昨日は鑑定士が居なくて見れなかったが、昨日の品サイズでも充分だったのだが、これは…」

「あぁ、人間サイズだから、昨日の10倍以上だな」

 困り顔をするギルド長。大きいことは良いことだ。何故困るんだ?仕方ない。

「分かった、他の3つは猫サイズにする」

「いやいやそうじゃなくて、さっきも言ったが既に、交換金額は達成しているから大丈夫だ」

「でも、あの鞄の大きさは猫達には使えない。猫サイズで作るから、代わりに何処か家を買いたいので、その資金に回すこと出来るか?」

「家か?ここの住民でなければ買うことが出来ないが、ギルドの貸し出しと言う形なら可能だ。少し割高になるが、地税などはウチが立て替えになるから、手間はかからない」

「お〜、それで頼む。小さくて良いが、俺らのサイズに勝手に直して良いのか?」

「ああ、解体や立て直しには許可が必要だが、中や外壁の補修程度なら問題ない」


 まさか、直ぐに物件が出て来るとは。

 本日の予定の肉を貰っている間に見つけてくれたので早速、担当者が案内してくれる事になり、俺たち三匹は付いていく。初めての馬車に大興奮だ。(俺だけ)

 二人は、自動車と変わらないと思っているからか、それほど感動はなかったようだ。

 到着したのは俺たちが入ってきた門の近くだ。

 そこに一軒ポツンと建っていた。周りは3階建ての家の間に小ちゃな3階建てだ。

「こちらです。以前ホビット族の方が暮らしてましたのでこのサイズです。立地は悪くありませんが、如何(いかん)せん、このサイズです。建て替えるしか利用方法が見つからず、補修も外壁は出来ますが中に入れないので出来ていません」

 我々にはありがたいサイズ感だ。家の中は勝手に直す許可が出ている物件だ。

「ここでお願いします」

 即決だ。


 魔法やスキルがある世界は素晴らしい。前回、猫の村で建てた住宅は全てスキルで建てた。

 【ハンドメイド】、【ウッドクラフト】と進化をして派生した【レディーメイド住宅】で作った猫型獣人用の家はレベル数に合わせてプランが増え、【土魔術】などで作った物よりちゃんとした住宅だった。

 おまけに、謎の水源と下水処理機能が付いている。俺の記憶がはしゃぐと、どんどんレベルアップを企てるからタチが悪い。…俺のことだけど。

 確かに面白かった。だって、立体図面が現れて、サイズ調整と建てる場所を特定したら、魔力と引き換えにどんどん仕上げっていく。

 猫の村の住人も仕上がる度に、大歓声だ!調子に乗って楽しんだのは認める。


「では来月からの使用で、管理代など諸費用代として初めに6000ミューレ、毎月の払いは600ミューレとなります。代金に関しましては、お預かりしました売り上げから毎月引かせていただきます」


 用事は済んだので約束通り、露天などを三匹で巡る。っと言っても猫だからメインが食べ物ぐらいしか興味が惹かれたものはなかったので、ほぼ、屋台の食べ歩きになっていた。

 俺は生活用品で木の器などを数点購入したり、皆んな大好きキラキラ石をお土産で買う。

 お揃いでアクセサリーを購入した。とも嬉しそうだから良いです。ただ…

「変な人が付いてくるね」

 ミミとロトも気づいていたが、特に気にしないで食べ歩いている。


 そろそろお開きの時間だ。

「そろそろ帰る時間だよ」

「「は〜い」」

 門を出て、皆んなで仲良く空飛んで『転移門』まで飛んでいく。

 なんか飛び立つ時、男達の声がしたが気にしない。猫だから。



「あら?今日は二人でお出掛けだったの?」

「「な〜う(違う三匹で)」」



「ミミ、明日からまた『黒いぐるぐる穴』に行く。早く『黒いぐるぐる穴』を他の場所に移動する方法を見つけないと、ロト達に逢えなくなっちゃうから」

「分かった。に〜たん頑張って」

 ゴロゴロ喉をならし甘えてくるミミ。今日は弟妹と一緒にお買い物出来て楽しい一日だった。

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