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渡航の3日前、買い物や認可証の受け取りに走っていた。
メヴァースの政府の役人が迎えに来てくれるらしく、そのまま近くのホテルに案内してくれるそうだが、現地で買うよりは行く前に買い揃えておいたほうがいいらしい。
ワタシは何を買うかなんて知らないが、とにかく”必要なもの”らしいので、アメレットに付いていく。
まぁ、そんなわけで、今はショッピングモールにいる。
「アメレット。これ、まっじでいいぜ。この香木ほんとにいい匂い」
「それはほんとにメヴァースに行くのに必要??どう考えても嗜好品だよな」
スタスタと目的の店まで歩いていくアメレットを無視して、ワタシは離れたフレグランスの専門店の前で立ち止まっていた。
「いや、本当にこの店良いんだよ。寄ろ寄ろ」
「寄るわけない…はぁ、10分な」
とのことで、ワタシはアメレットに押し勝って、店内に入る。
アロマディフューザーに、香水、香木。
そして、香水を自分で調合体験ができるコーナーもある。
ワタシは一直線に香水コーナーに向かう。
最近出たらしい和香水に頬が緩むのを抑えて、色々な香水を見て回る。
ワタシの背後で、アメレットがため息をついていた。
5分、十分に悩んで、緑茶ベースの香水を買って、ウキウキでアメレットの元に戻った。
「アメレット。終わった。いいよ」
「いいよじゃねぇよ。」
アメレットに引っ張られながら、衛生用品や充電用品を買い足す。
そして、どうせお前替えの服なんて持ってないだろう、とかいうバカにされた理由で服を買うことになった。
否定できないのが悔しい。
どうせ下着もないだろう、はい、とかいうみっともないやり取りをして、今は下着屋さん。
正直に言って、めっちゃ楽しかった。
人並みには可愛いものを見るのは好きだ。
「お〜、これめっちゃ可愛い!経費で落とせたりしねぇ?」
「お前は逆に下着が経費で落とせると思ってるのか?」
「行けるだろ」
無理に決まってるだろ、と返され、少し値段の下がるコーナーに移動した。
自費で高いものを買う勇気はない。
お金なんて余っているだろうとアメレットは思っているようだが、それとこれは話が別だ。
それなりに可愛いものを3セット買って、店を出る。
そして、アパレルで替えの服も買わせられた。
「ワタシ、クローゼットに服いっぱい入ってるのにな」
「お前が?嘘だろ」
「ほんとだわ!この服がいっぱい入ってんだよ。14セット」
「お前それで他所の星行くつもりか??着替えてねぇと思われるぞ」
軽口とともに食品売り場に向かった。軽い携帯用の食品と、そして酔い止めを買う予定なのだが、ここでもまた時間を使ってしまった。
「お前が…!寄り道ばっかりするから、もう夜遅いんだが!…ギリギリ役所は空いてるが!!」
「はぁ、認可証は取りに行ける、な。一番最悪な時間だ。」
車に戻ってきたところで、アメレットに怒られる。
どんなに怒っていても、車の発進の準備の手は止めないところに、覚悟を感じる。
そのまま、車が発進する。
何事もなければ、車なので10分ちょっと一番近い役所には着けるだろう。
ワタシはスマホを眺めながら考えた。
片耳にイヤホンをつけながら、ゲームの公式生放送を見ていると、時間が忘れ去られる。
ちょうど、役所に車がついて、アメレットに呼ばれた。
車から出て、すっかり暗くなった駐車場を歩く。
役所に入って、受け付けを完了する。
受け取りまでに、20分はかかるらしい。
「…久しぶりに外出たわ。」
「それにしてはよく体力持つな?」
「あぁ、研究で生み出された化け物とか不審者とかとよく対峙して戦うことになるからな」
「お前ほんとに何してんだよ」
アメレットの冷たい瞳を受け流しながら、待合の椅子を立つ。
自販機まで向かって、何かジュースをまた選ぶ。
「お前ほんとジュース好きだよな。」
と、そう言われたので、反骨精神で、ハニーティーにした。
甘いものではあるが、ジュースではなくお茶だ。
アメレットの隣まで戻って、ペットボトルの蓋を開けると、プシュッと小気味の良い音がした。
しまった、炭酸だ。
「あーっ!美味しいわ。」
「マイペース過ぎて私不安になってくるわ」
「ちゃんと入星出来るかは全部キミに掛かってるから〜」
アメレットは、あまりにもカスすぎると失笑しながら、ちょうど呼び出された窓口に向かっていった。
待っていると、人が少ないおかげでアメレットが役所の人と話している声が聞こえてきた。
ワタシの話をしているみたいだった。
元冒涜者、とか聞こえてくるので、歴史に詳しい受付嬢だったのだろう。
でも、歴史に詳しいのであろうあって、賞賛の言葉が多いのはとても嬉しい。
一方、アメレットの声音は機嫌が悪いのが分かる声だった。
散々自分を振り回した張本人を褒められて納得いかないみたいだった。
そうして、アメレットが無理矢理切り上げて、帰宅の運びとなった。




