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準備②

 お茶会で決めなければいけないものは全て決めたし、後は当日を待つだけだと思っていたら数日後、デザイナーのクロエ夫人がやって来てお茶会で着るドレスを選ぶためのファッションショーが始まった。



「クラシカルな物も好きだと聞きましたので、そちらも合わせて持ってきました」

「これ、どれも新作ですね」

「皇女様に見せるものですので、急遽作りました」


 

 お茶会用にわざわざドレスを購入しなくても、着ていないドレスが沢山あるのに。そんなことを思っていると、クロエ夫人がお茶会を開くことが決まった時からパパに用意するよう言われていたことを教えてもらって、散財のし過ぎじゃないかと心配になった。

 

 そして、ハンナ達が並べられた大量のドレスを見て新作だと気づいたようで驚いていた。クロエ夫人のお店は帝国内はもちろん、他国でもとても人気があり、新作を手に入れるのはとても難しいらしい。


 だから、クロエ夫人の新作がズラっと並んでいるこの光景は凄いことなんだとか。それを聞いて私もおお…と感動して、断ることもできないし、パパがわざわざクロエ夫人に言ってくれていたのならと、好みのドレスを何着か見つけることにした。



「この黒いドレス、カッコイイのと可愛いの二つが兼ね揃えられてるね」

「冒険してみようと思い作ってみました。お気に召していただけたようで嬉しいです」

「こっちのドレスはスカート丈が前後で違うんだ」

「バックロングドレスですね。他国の社交界では最近このドレスが流行っているんですよ」

「子どもにもこれが流行ってんのか?」

「いいえ。皇女様の年齢の令嬢には流行り廃りがありません。すぐに着られなくなりますし、五歳〜十歳くらいはフリルに憧れを持つ年齢の子が多いので大体はフリルドレスを着ていますよ」

「ああ、成長するからか。なら、フリルドレス以外がいいんじゃね?」

「うん、そうする」



 フリルドレスやクラシカルドレス、ゴスロリのようなドレスにバックロングドレスといった様々なタイプのドレスがあって見ているだけで楽しかった。


 実際に何着か着てみてどれも着心地はいいからどうしようかと迷ったけど、まだ暑い日が続くことを考えた結果、薄い生地を使用して涼しめに作られていると教えてくれたバックロングドレスにすることにした。


 色はお茶会で使う花やテーブルクロス、ティーセットの色合いに合わせた白と薄紫の二色を使ったものにした。


 それ以外にも、カッコイイと可愛いの二つを兼ね揃えた黒のドレスやお茶会で身につけるヘアアクセサリーに靴も購入した。


 これで今度こそ準備万端かなと思っていると、クロエ夫人が見せたいものがあると箱に入った何かを十個くらい私の目の前に置いた。



「これは?」

「扇です。皇女様にはまだ早いものですが、暑さを紛らせる用にも使えるのでお茶会の最中で暑さを感じた時にお使いになられてはどうかと」

「暑がりなんだし一個持っておいた方がいいんじゃね?」

「子どもは大人と違って体温が高いですからね。暑さで体調を崩されては大変ですし、どうでしょうか?」

「じゃあ、一個持っておく」

 


 箱の中を開けてもらって、広げた状態の扇を並べてもらった。どれも小さめに作られていて、私が持つのに丁度いいサイズをしている。


 わざわざ作ってくれたのかなとクロエ夫人の配慮の凄さに驚きつつ、ドレスに合わせた扇を一つ選んだ。


 そして、ドレス選びが丁度終わった時に、補佐官が部屋の扉をノックして入って来た。



「あ、ドレス選びの最中でしたか…?」

「いや、丁度終わった」

「でしたら、少しお時間いいですか?」

「いいよ」



 ハンナ達も手伝いながら並べていたドレスや靴、扇を片付けているクロエ夫人を横に、補佐官から私が選んだティーセットやテーブルクロス等の注文が全て終わったことを伝えられた。



「お茶会前には全て届くようなので代替品を選ぶ必要はありません」

「よかった!ありがとう」

「いいえ。お茶会、成功させて元老院をぎゃふんと言わせましょうね…!」

「んなので言うんなら、レイビスがとっくにぎゃふんと言わせてねぇか?」

「暴力でなら言わせましたね」

「お前、本当に気苦労が絶えないな」



 ああ……と納得してしまった私達は、その時の様子が簡単に想像できてしまった。胃を抑え出した辺り、補佐官はその時のことを思い出してしまったんだろう。


 本当に苦労人だなと、パパに振り回されている補佐官に同情した。それと同時に、これだけ振り回されて胃を痛めても補佐官を辞めたりしないことを凄いと思った。


 普通の人ならとっくに泣きながら辞めているはずだから。


 それと、何となくだけど、このくらいじゃあ補佐官が辞めないことをパパは分かっていそうだ。その上で、色々と仕事を押し付けたり振り回したりしているように思える。


 どの道、補佐官が哀れなことに変わりはないけど、この人以上に優秀な補佐官はいないだろうし、これからもパパの補佐を頑張ってほしい。たまに魔法使って疲労回復や胃痛を治してあげるから。



「パパに頼りにされてるみたいだから、これからも頑張ってね」

「今のどの会話からそんな思考になったんですか…??」

「将来レイシアにも振り回されそうだな、お前」

「やめてください…!想像したくない!」



 パパみたいに振り回したりする気はないのに、失礼だなとムッとしながら、もうすぐ開かれるお茶会が成功するよう願った。

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