20 月光
傘を差し、暗い路地を歩いて行く。
寝静まるにはまだ早い時間だが、照明の明かりが点いている家はない。
人の声は聴こえない。
ただ、雨の音だけが響いていた。
「…………」
雲によって月が欠けている。
街灯も無い道は闇と同化していた。
「にゃーう」
「フニャー」
猫が集会でもしているのだろう。
かつて人が住んでいたであろう、ボロボロになった廃屋から獣の声がした。
そう、現在いるのは廃屋地帯だ。
といっても、用があるのは場所ではない。
「暗くて何も見えないな。しょうがない……」
右眼を二度素早く瞬きする。
「ん。これなら大丈夫だな」
その瞬間、世界が闇色から灰色へと変化した。
正確には右眼の視界のみ明るくなったというべきだろう。
俺の右眼は一度潰れたため、現在は義眼が入っているのだ。
普段は若干虹彩の色が左右で違うだけだが、こうして義眼の機能を使う時は右眼がぼんやりと光を放つ。異世界転生系の小説でいうと魔眼ってやつに近いかな。現実には魔がつく生物なんてものはいないが。それに俺の右眼の機能といったら、こんなふうに闇の中でも視界を維持出来る程度だし。
「っと、あぶね。うーん……久しぶりに使ってみたけど、やっぱり距離感が狂うなこれ。左右で見えてる物が違うと脳の処理が追いつかないのかもな」
通常では視力の違いはあれど、左右の眼で物体を把握する事が出来る。その眼球に映った像を頼りに脳が現実を認識して処理しているのだが、義眼は本来の眼と見え方が違う――というか特殊なのだ。義眼だけ開いて見ればわかるのだが、片目だけなのに立体感が凄い。日中の光量が多い時では見た物の色素が多くなったような印象を受ける。ただ、よく見えるからといって左眼を瞑って義眼だけで見てると酔う。距離感が狂うどころではなく、気が狂いそうなほどの吐き気がやってくるのだ。
日常生活では機能オフの通常モードなので何も問題はないのだが。暗闇では義眼に頼らざるを得ない。
まぁ、ぶっちゃけライト点ければ解決するんだけどな!
現状でそれをやると猫が逃げてしまうのでやらないだけだ。
「にゃーぅ?」
当ても無く歩いていると、一匹の猫が俺の足元に擦り寄ってくる。
うん? この首輪は……ジローか。
「なんだ、ジロー。案内でもしてくれるのか?」
「にゃー」
言葉が少し通じるらしい。
どうせ見つかるかわからないのだ、猫の手を借りることとしよう。
俺はある少女にジローと呼ばれていた、毛並みの良い一匹の小動物を追う。
路地を歩き。時には屋根に上り……ある時は落とし穴に落ち――って誰だ、こんな所に穴なんて掘ったやつ! あ、俺か。この前の場所じゃないか、ここって?
「ん、どうしたの、タロー」
「にゃーう」
「あれ、こいつってジローじゃないのか?」
目標物発見。
「……ジロー、だったの、か」
いや、そこまで落胆しなくても。君が付けた呼び名だから、どっちでも良いと思うよ?
「にゃ」
「ありがとなー、ジロー」
俺をここまで案内してくれたジローは目標物であるところの、黒髪の少女に軽く猫パンチを食らわしたあと去っていった。
「…………?」
「寒くないのか、そんな所にいて」
少女は家に入らずに屋外にいた。
雨が降る中、傘も差さずに。
俺の言葉に首を傾げる少女。
「ここ、わたしの家、じゃない」
「知ってるよ。でも、鍵かかってないだろ?」
近くにあったドアを開ける。うん、大丈夫そうだな。
「……いいの?」
何を言ってるんだ、この少女は。
いいも何も廃屋地帯の家は――
「君、もしかして……この国の法律知らないのか?」
あ、その顔は知らないな。よし、説明しよう。
「ここ、廃屋地帯――えーと、外側に行くと赤いポイントラインがあるから後で確認してほしいんだけど、それの内側にある建物は家として扱わず、地形の一部とみなす。故に中に入ろうとも、そこで生活をしようとも構わない。ただし、地形のいちじるしい破壊はしてはいけない。廃屋地帯で起きた事故、事件の一切を国は責任を取らないので注意されたし――だったかな」
うろ覚えだが間違ってはいないはずだ。ようは廃屋地帯で何が起ころうが知ったことじゃないよ、という責任逃れの法だ。そもそも廃屋地帯に住まなくても郊外に行けば格安で家が買えるし借りられる。わざわざ危険のある可能性のある場所に来るのは酔狂な者だけだ。
「話が、難しい」
えー。だいぶかみ砕いて説明したんだけどなこれでも。
「うーん……ここらへんの家に入るのに許可はいらないけど、家を壊しちゃダメ、みたいな」
「わかった。でも、壊れた……あぅぅ」
おっと!? なんだ、ドアノブが取れたのか。
「それくらいなら気にしなくていいよ。多分錆びてたんだろ……新しそうな家だけど、そういうこともあるさ」
少女の持つドアノブの折れ目には錆どころか、その他一切の傷がなかった。亀裂が入っていて金属疲労で折れただけだと思いたい。
二人で家の中に入る。
中は比較的綺麗だ。あまり経年劣化していないな、電気系統も生きてるみたいだし。
「ちょっと待っててくれ。今明かりを点けるから」
ブレーカーを上げに行く。
この廃屋地帯にある家は送電線から電力を得ているわけではなく、日中にソーラーパネルで充電した電力を蓄電池に溜めて使うタイプになっている。つまり、電池が生きていればすぐに電力が室内で使えるのだ。
「よ……と。お、点くな。ついでに浄水器の電源も入れておくか」
雨水をろ過して綺麗にする装置のスイッチもオンにして、少女の所へ戻る。
「入って良いぞー。ああ、風呂とかも使えると思うから風邪ひかないように温まってこいよ。着替え用意しておいてやるから」
電気が使えるならお湯も出るはずだ。女物の着替えなら沙耶の服が何かあった時のためにポーチに入れてあるしな。見た感じだとサイズも合うだろう。
「ん、おふろ、ひさしぶり」
てくてくと浴室に歩いて行く。
しばらくすると、シャワーの水音が聴こえてきた。
彼女の言動を見てちょっと不安だったが、ちゃんと使い方は知っていたか。
『ふんふ~ん、あわわ、あわあわわ~』
わしゃわしゃと体を洗う音がする。
シャンプーや石鹸などは先に渡しておいた。
……と、ガラス一枚隔てた所に裸の女の子が居るのか。ごくりっ。
はっ!? 俺は何を考えているんだ。こんな場面見られたら誤解されてしまう。さっさと着替えとタオルを置いて出て行こう。
「少し掃除するか」
脱衣所から逃げ戻った俺は居間の片付けをすることにした。
といっても、比較的綺麗な家だったので埃が積もっているわけでもない。水で濡らしたふきんで簡単にちゃぶ台などを拭くだけだ。
「これもそうだけど、結構和風な家だなここ」
昔ながらの感じが出ていて落ち着く。置いてある家電などはさすがに新しい物だったが、基本が木造な作りなのでそう思うのかね。
「あったまった。すっきり、ふっかつ?」
することもないので、のほほんとくつろいでいたら少女が入浴を終えて戻ってきた。
「服はどうだ? きつかったりしないか?」
「ん、だいじょーぶ。ぴったり」
「そか。俺の妹のやつだけど、返さなくて良いからな。以前に買ったまま忘れていたやつだから新品だし、サイズが合うなら良かった。無駄にならずに済んだよ」
たしか買って来たら色が気に入らないとか言われたので、仕方なく緊急時の着替えとして収納していたんだったかな。今日まで忘れていたぜ。今度ポーチの中を整理した方が良いな……他にも忘れてる物があるかもしれない。
「わかった。遠慮なくもらう。ありがとう」
「お、おう」
お礼を言われて少女の顔を見ると、無表情だった。感情が表に出てこないタイプなのだろう。暗い夜道では気付かなかったが、明るい所だとよくわかる。まあ、こういう人もいるさ。すぐ顔に表れるらしい俺の表情筋は少し見倣ってほしいものだ。
「あ、そうだ」
対面に座った少女と勝てもしないにらめっこをしていると、あることを思い出す。
「? どうしたの」
「ここに来た理由を思い出してさ。えーと……あ、これか」
ポーチに手を入れて探し出した物をちゃぶ台の上に置く。
「む」
「いや、そんなに警戒しなくても大丈夫だって。ただの弁当箱だから」
包んでいた布を解き中の箱を広げていく。
「いいにおいがする」
「そりゃ、うちの居候が作った料理だからな。味も保証するぜ? ほら、冷めないうちに食べちゃってくれ」
箸を渡して弁当箱を彼女の方に寄せる。
「良い、の?」
「うん。夕飯用に持って来たんだけど、俺は仕事先で他の食べたから腹減ってなくてさ。あとは……肉のお返し的な感じ?」
なんとなく、ただなんとなくだ。この少女がおなかを空かせている気がしたので持って来ただけだ。
そうじゃなければ後日食べたって良い物だったのだし。ポーチの中じゃいつまでも出来立てほやほやな状態が続くんだから。
「そう。じゃあ、いただきます」
箸で器用におかずの豆の煮物をつまんで食べる。
「……ん、おいしい。なんか、懐かしい味が、する」
もぐもぐと唐揚げやサラダ類も口に運んでいく。おにぎりを片手に途中で味噌汁を飲みつつ食べ進む。
なんか餌付けしてる気分になるな。
俺、こんなに大きい子育てられるんだろうか……なんてな。
「むぐむぐ……」
「ほい、お茶。熱いから気をつけてな」
「ん。ずずー……あつい」
あはは。舌出して手で扇いでるよ。可愛いなこのぅ。
じっと少女の顔を見つめる。
食べているところ悪いが、どうしても見入ってしまうのだ。
「どうした、の?」
「ん? ああ、ごめん。いや……最初に会った時もそうだけど、綺麗な瞳だなぁと思ってさ」
金色をした双眸に心が惹かれる。魂さえも焦がしてしまいそうなその色は俺の思考を停止させてしまうのだ。こういうのを魅了されるっていうんだろうな。
「そう。あ、ごちそうさま、でした」
手を合わせておじぎする。箸使いもそうだけど、この国の文化をよく知っているようだな。
キッチンに行って水で軽く洗った後ポーチの中へと弁当箱を突っ込んでいく。
雑に入れても中で散らばったりしないのでほんと便利だよなこの空間……。出す時は手探りで取るか出したい物を思い浮かべると手元にやって来るし。
「…………」
「なんだ?」
弁当箱を入れ終わって居間に戻ると、少女がちゃぶ台を見つめていた。
正確には弁当箱を包んでいた無地の布を見ていたのだろう。俺がその布もしまおうと手に取ると一緒に顔が動いていたからな。
「……綺麗な、色」
そうか? ポーチの中で見つけやすいように目立つ色の布を選んだから気にしてなかったな。別に弁当箱専用の布ってわけじゃないから、ハンカチや何かを縛るのにも使えるけど。まあ、セールをやっている店で色違いのを何枚か買った内の一枚だ。買う時は値段以外あんまり見ていなかった気がする。
「欲しいならあげるけど……って近い近い!」
そんなに鼻息荒く近づかれると、いくら相手が可愛い女の子でも驚いてしまう。嫌じゃないけど、距離感ってのは大事だ。
「くれるの? もらっていいの?」
「うん、いいよ。高い物じゃないし、気に入ったなら使ってくれ」
「ありがとう。大事にする」
きっと何か琴線に触れるものがあったのだろう。俺もたまにこういう時があるのでわからなくもない。
少女が布を丁寧にたたんで服のポケットへとしまうのを見たあと、俺は帰り支度を始める。
「さて、俺はそろそろ帰るけど――君はどうする?」
もう雨は止んでいるようだが……
「なんだったらここにしばらく居ても大丈夫だよ? 家に帰れない事情があるなら仕方ないだろうし」
そもそも、雨の日に傘も差さずに外にいるのはおかしいだろ。
それも……最初に会った場所に近い所で再会するということは普通ならありえない。何か家に帰れなかった事情があるのだろう。ほぼ丸一日ずっとあそこに居たのかは知らないが。
「ここ、あったかい。だから、しばらく住む」
住むって……たしかに暖房とかもあるし、水も出るけどさ。
「それは君次第だからかまわないけど……正直あんまりオススメは出来ないぞ? 入る前にも言ったけど、ここに居る間に何が起こっても誰も責任とってくれないし。女の子が一人で住むには危ないと思う」
例えばだが、盗賊がやって来て襲われたりしても助けは来ない。野生の獣がいきなり飛び込んで来る可能性だってある。この情報化社会の時代に磁場の影響で通信機器が使えないことも問題だ。テレビとかも映らないしな。ラジオだって聴けない。
ここから人が離れて廃屋だらけになったのにも相応の理由があるのだ。
「だいじょう、ぶ」
うーん。まあ、数日くらいなら平気だと思うけどさ。ここなら雨風も防げるから戸締りさえしっかりしてれば外に寝泊りするよりは安全だ。
俺はおもむろに立ち上がり、玄関のドアへと向かう。
ポーチから工具を取り出し、応急処置的にノブが動くように直した。
ついでに鍵も追加しておいた。
「よし」
先端技術を使う身としてはこれくらいの修理は数分で出来る。携帯型の簡易溶接機とかもあるし、部品をくっつけるのは簡単だ。
工具をしまい、居間に戻る。
「…………」
何だろう、無表情なのにポカーンとしてるのが伝わってきたんだが。
「ドア、直しておいたから。これ鍵」
チャリっとちゃぶ台の上に新しい鍵を置く。
「……すごい、ね」
「別に普通だろ、これくらい」
家の修理なんてものは道具さえあれば誰だって出来る。ただ、完璧に直すことなんてのは無理なので、基本的には交換した方が良いし、なにより早い。今回はドアノブの軸が折れただけだったので、補強をかねて硬い心棒を軸の中に打ち込んでから接着した。以前よりは壊れ難くはなっていると思うが、ノブの素材自体が弱いため長くは持たないだろう。新たに付けた鍵も安いやつだしな。長期滞在するわけじゃないなら十分だ。
「でも、私には、出来ない。だから、すごい」
「まあ、人には得意不得意があるからしょーがないと思うよ。俺がたまたま工作が得意だったって話なだけだ。とりあえず、出かけるときは鍵を閉めて行くようにしろよ? 帰ってきて不審者と出くわすとか笑えない状況だけは避けるべきだからな」
「わかった」
簡潔な返事だな。本当にわかっているんだろうか……
数日くらいなら俺の家に泊めても良いかもしれないが、すでに一人いるからな。浅慮な行いは控えた方が無難だ。
「悪いな、あんまり力になってやれなくて」
「そんなこと、ない。ごはん、おいしかった。おふろ、気持ちよかった。それに、ひさしぶりに、ゆっくり……眠れる……」
おいおい、話しながらうとうとしてるのか。
時間が時間だから仕方ないのかもしれないけど、一応男の俺がいるんですよ?
「おふとん、どこー?」
「もう寝ぼけてやがる……ああもう! ふとん、ふとん……」
慌ててポーチから寝具一式を取り出して広げる。何でも入ってやがるな――俺のだけど。
「ほら、ふとん敷いたから。こっちで寝なさい」
「わーい。ふかふかー……ふみゅ」
真っ白いふとんの上にダイブする少女。
俺も一緒に寝て良いかな? ダメだよね、わかってるって。
「それじゃ、おやすみ」
すやすやと寝息をたて始めた少女に声をかけてから玄関へ向かう。
「んー……おやすみぃ」
パタパタと手が振られていた。
外に出て鍵を閉める。
手元に持っているのはスペアキーだ。新しく取り付けた鍵のパッケージに予備として封入されていた物である。今後使うかはわからないが、失くさないようにしまっておこう。
月明かりに照らされた路地を歩いていく。
雨水が溜まった水たまりに光が乱反射して、それなりに明るい。これなら右眼の機能を使わなくても大丈夫だろう。
「ニャー?」
「お、タローか」
鳴き声に気付き目線を下に向けると、見覚えのある猫が居た。
どうやらこいつも帰るところらしいな。前足で軽く俺のことをタシタシと叩くと、ついて来いと言わんばかりに尻尾を揺らしながらゆっくり歩き出す。
実は道がわからなかったので助かる。ここまで来た時はジローに案内してもらったからな。
「ニャ!」
しばらく猫の尻尾を追いかけていると、タローが声を上げる。
周囲を見渡すと、そこは道の開けた広い大通りだった。
「ありがとう、タロー。ここからなら道わかるから帰れるよ」
「ニャウ」
お礼を言うとタローはタタッと駆け出して街の方へと去って行ってしまった。
ジローもそうだったが、この二匹は人の言葉を理解するし心の中を読んでいる気さえしてくる。理論上ありえないとは思うが、動物はえてしてそういう能力があることが多い。人間同士だって、アイコンタクトで伝わることがあるんだから否定は出来ないか。
家のある方向に歩きつつ、ふと空を見上げる。
「…………?」
月は出ている。
雨が上がりの空には雲一つかかっていない。
「……気のせい、か?」
路地が不意に暗くなったような気がしたのだ。
だが、夜空には満月が煌々と輝いている。周囲にはそれを遮るような建造物は何もない。
夜道を一人で歩いていて不安な気持ちになっただけだろう。
そう思い、止めそうになった歩みを再開した。
いざとなったら走って逃げれば良いだけだ。
何が居ようとも、全力で走れば俺に追いつける生物はいないはずだからな。
「って、何を恐がってるんだ俺は。こんな所に大きな獣がいるわけでもあるまいに」
知らずに早足になっていた。
落ち着いて歩調を戻す。そうだ、こんな街に近い場所では危険に巻き込まれる事なんてありえないのだ。
それに、獣がいたらもっと生臭いような変な匂いがするはずだ。
今日の風は少しオイル臭いだけで別におかしくはない。廃屋地帯が近いからな。きっと壊れた車からでも漏れているのだろう。
人のいなくなった民家の前には乗り捨てられた自動車が置かれたままになっていることも多いし。
「……ふぅあ。眠いな」
納得したら眠くなってきた。
早く帰って布団にもぐり込むとしよう。
結局、その後は何事もなく帰宅することが出来た。
「もう限界だー俺は寝るぞー……ぐぅ」
家に入り自分の部屋へと直行すると早速ベッドにダイブする。
ちなみに、出迎えはされなかった。当然だ、もう日付が変わってしまうくらい夜が深いのだから。遅くなると言ってあったからな、みんな寝ているだろう。
起きたら何をしようかな。
沙耶と買い物に行くのも良いかも知れないな。シエルが来てから少し不安定になってきている気がするし、ここらで機嫌をとっておいた方が無難だと思う。
突然やって来た居候にも文句も言わずに受け入れてくれている沙耶と母さんには感謝しないとな。
シエルがいくら良い子だとはいえ、他人なのだから何かしら問題は起こっているはずなのに。それとも俺の心配のし過ぎなのだろうか? 女の子同士ならいきなり仲良くなれたりするものなのかな。俺にも男友達がいるにはいるが、いきなり一緒に暮らせと言われたら困るけど。
まあ、どちらにしろ確認はとっておいた方がいいか。知らないうちに直せないほど関係が悪化する可能性もあるしな。
あとは――
その時になってから考えればいいか。
次から新章。後半戦に突入だ。
なお、例によってまた一旦時系列の違う話挟むのでご了承を。




