~エピローグ~
小説とは、無理をして書くものではない。
無理をすれば、いずれ歪みが生じ、筆が止まってしまう時が来る。あくまで、自分の実力通りに、自然に。まるで、雪が降り積もるように。
小説とは、戦いである。
常に、戦場へ向う兵士のような心持ちで原稿に向おう。世界中全てを敵にして、たった1人の味方もいない中、それでも負けぬ心を持とう。戦い続けよう。
小説とは、水面に生まれた波紋のようなものである。
湖は小説家。そこに石が投げ込まれる。石は、人々の声。あるいは、世間の情報。石が投げ込まれた湖の水面に、波紋が生じる。
小説とは、散歩のようなもの。
ふと気づくと、外を歩いている。無意識に歩いていると、空から新しいアイデアが降ってくる。それが、理想の小説のあり方。
小説とは、登山のようなもの。
特に、長編はそう。慌てて登り切ろうとしてはならない。大抵は、途中で挫折する。そうではなく、ゆっくりと登っていこう。1歩1歩確実に。そうすれば、いずれ頂上へと到達する。無理をせずとも自然に到達している。
小説とは、畑作りのようなもの。
大切なのは土作り。土とは、自分の心。心の世界を広げ、深めていこう。そうすれば、いい野菜が育つ。
1つの作物の育て方を覚えたら、あとは同じ。コツは少しずつ違うけれど、基本はみんな同じ。
小説とは、コーヒーをドロップするようなもの。
1滴1滴で構わない。深みを出しながら、煎れていこう。
小説とは、人生である。
その作家の人生全てをぶつけ、表現して、読者と語り合い、殴り合い、理解し合う。
結局、僕は小説家にはなれなかった。
けれども、こんな場所で止まってはいられない。究極の小説家となる為に、進み続けるのだ。成長し続けるのだ。そうすれば、いずれ、最高の作品を生み出すことのできる理想の小説家になれるだろう。もしかしたら、小説の神の領域にだって到達できるかも。
こうして、僕の小説家への道は続く。世界を変える為の戦いは続く。




