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卒業式の隣に君はいない 。愛する人を庇って逝った恋人と、私のお腹に残された命~  作者: 凪塩 未来


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第3話:両家の顔合わせと、大きくなる覚悟

いつもお読みいただきありがとうございます!

第3話では、両家の両親を交えた緊張の顔合わせの席が描かれます。

未熟な高校生カップルが下した決断に、大人たちはどう向き合うのか――。

温かな家族の絆が交錯するエピソードです。

冷たい冬の空気が少しずつ緩み始め、木々の枝先に春の気配が感じられるようになった二月下旬の週末。


宮乃と健太、そして両家の両親が一堂に会する厳粛な場が設けられた。


場所は、街のはずれにある少し改まった個室のある静かな日本料理店だった。


個室の重厚な障子を開けて入ってきた両親たちの表情は、どこか緊張の色を帯びていて、部屋の空気はピリリと張り詰めていた。


そりゃそうだろう、高校生の子供たちが結婚を誓い、さらに新しい命を授かったと突然聞かされたのだから。


最初は誰もが戸惑い、夜も眠れないほどの葛藤や怒りを抱えていたに違いない。


健太の父親は、頑固で少し昔気質なところのある職人気質な人だったが、その分、家族に対する責任感は人一倍強い人だった。


席に着くなり、健太は背筋をピンと伸ばし、誰よりも深く、床に額がつきそうなほどの勢いで頭を下げた。


「本日はお忙しい中、このような場を設けていただき、本当にありがとうございます。僕たち未熟な二人が、このような形で皆さんに多大なる心配をかけ、そして新しい命を授かることになりました。まだ高校を卒業したばかりで、経済的にも精神的にも未熟なのは自分でも痛いほど分かっています。それでも、僕は宮乃を幸せにしたい。この子を自分の手でしっかりと育て上げたいと、本気で思っています。どうか、未熟な僕たちを温かく見守り、導いてください」


健太の男らしい決意の言葉に続いて、宮乃も震える体を起こし、深々と頭を下げた。


「私も、健太くんと共に歩んでいく覚悟です。周りの方々にたくさん迷惑をかけてしまうかもしれませんが、一生懸命、強く生きていきます。どうかよろしくお願いいたします」


静まり返った部屋の中で、しばらくの間、重い沈黙が流れた。


宮乃の心臓はバクバクと激しく音を立て、自分の呼吸の音しか聞こえないようだった。


お父さんたちはなんて言うだろうか。怒られるかもしれない、そんな恐怖が脳裏をよぎった。


やがて、健太の父親が大きく息をつき、それからふっと肩の力を抜いて優しく笑った。


その顔には、怒りではなく、深い包容力が宿っていた。


「顔を上げなさい、健太、宮乃さん。お前たちがこうして逃げずに、真正面から現実と向き合ってくれたこと、父親として誇らしく思うよ。たしかに、お前たちはまだ若い。世間知らずで、これから社会の荒波にもまれて壁にぶつかることも山ほどあるだろう。だけどな、人生の壁なんて、大人になったって何度でもやってくるんだ。大切なのは、誰とそれを乗り越えるかなんだよ。俺たち親も、お前たちを後ろから全力で支える。だから、しっかりと前を向いて歩いていきなさい」


その言葉を聞いた瞬間、宮乃の目からまた温かい涙があふれ出した。


反対されるかもしれない、見放されるかもしれないという不安は完全に消え去り、胸いっぱいに感謝の気持ちが広がった。


宮乃の母親も、隣でハンカチを目にあてながらうなずいてくれた。


その日の食事会は、不安な未来への決意表明の場から、温かい家族の絆を改めて確認し合う最高の時間に変わった。


美味しい料理を囲みながら、産まれてくる赤ちゃんの名前の候補を出し合ったり、これからの新生活に向けて必要な家具の話をしたりした。


健太は少し誇らしげに、でもどこか照れくさそうに宮乃の肩を優しく抱いていた。


すべてが順調で、誰もがこの幸せが永遠に続くと、疑うことすらなかった。

第3話をお読みいただきありがとうございます。

怒られる覚悟で臨んだ二人に対し、温かく背中を押してくれた両親たちの言葉に、作者も書きながら胸が熱くなりました。

味方が増え、未来への希望に満ち溢れた二人ですが……物語はこの後、大きな転換点を迎えることになります。

次回、第4話もお楽しみに!

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