再会と別れ
前回のあらすじ~
人間の国 パイ王国との戦いが終わり、チジとコメとの交流が生まれた。
チジとコメが帰り、マホが帰ってきたが、マホの姿は血だらけであった。
キータ「誰の血なの?」
マホは首を傾げる。
マホ「イノシシですけど……」
マホが眉を顰める。
マホ「一応、言っておきますが依頼でやったのでお肉はありません。」
それは残念だな~。それじゃあ、今日は野菜炒めでも作ろうかな。僕は仕事が一段落した後、調理を始めるとマホが匂いに連れられて、食卓に座る。
出来た料理を食卓に並べて、僕も食卓に座る。
マホ、キータ「いただきます。」
最初はマホが野菜炒めを食べる。
マホ「可もなく不可もなくっと言った所でしょうか?」
厳しい~。そんなこともありながら食事をしていると、暖かなピアノの音がどこからか突如聞こえてくる。
マホ「気を付けてください。」
マホは落ち着いた雰囲気で紅茶を飲んでいる。マホの様子を眺めていると僕の視線の右下に光る物が見えた。
キータ「短剣か~。これ程大事に扱われている剣は初めて見るよ~。」
背後にいるのは誰かな?
??「さすが無童の長であるな。さて、始めよう。」
女性とも男性とも言えない渋い声が背後から聞こえてくる。作り声かな?まったく、マホもマホだよ。
キータ「こんな事をするなんて驚いたよ。トキちゃん。」
トキちゃんだと分かったのは深く被っていたマントから微かに顔が見えた時だ。それにもし、余所者ならマホが真っ先に排除する。トキちゃんは見ない内に大きくなった。僕の背を追い越されてしまった。
キータ「そういえば、イトは?」
トキちゃんは俯く。
トキちゃん「今頃は天国です。」
キータ「そうか、……やっぱり。」
トキちゃんはバッと顔を上げる。もう言ってもいいよね、イト。
キータ「実はイトから自分は消えるかもしれないと言われたことがあってね。」
僕は窓越しに外を見る。
キータ「確か、トキちゃんとイトが修行に行く前日、僕が外で夜空を眺めていたら、イトが僕の隣に来てこう言ったんだ。」
イト「もかしたら、僕は消えるかもしれない。僕がアイツの負の感情でできたって言ったよね?分かるんだ、アイツはもう死ぬ。アイツは闇の国に行ったみたいだ。そこでの苦痛でもう生きる気力はなくなってきてる。感情が薄れてきてる。僕の存在意義はなくなりつつある。こんなに嬉しいことはないのになんでだろう?こんなに悲しい。悔しい。まだ、皆と沢山、冒険したい。皆と生きたい!」
イトが泣いていると言うのに何も言えないで夜空を眺める事しか出来ない。イトがいなくなるなんて僕も悲しいのに。
イト「もし、僕が修行をしている途中で消えてしまって、キータの元に戻ったのなら、この事を話してほしい。それと僕は素直に言えそうにないから。トキに強くなったねと言ってあげてね。」
キータ「僕が聞いたのはここまでだ。」
トキちゃんは静かに泣く。
トキちゃん「ありがとうございました。イトは最後まで自分のことよりも皆のこと、私のことを心配していました。そして、キータに一泡ふかせてやれとニカっと笑い、光に包まれて消えていきました。最後の約束を守るため、ここへ。」
僕はトキちゃんを抱き締める。
キータ「頑張ったね~。いや~、本当に驚いたよ。イトの奴、とんでもない物を残して……」
トキちゃんは僕の胸で声を上げながら泣いた。僕も涙が止まらない。マホもあまりにも儚い涙を流す。
翌朝、イトのための墓とお花畑を植えている。トキちゃんに僕をびっくりさせるように言ったことへのお返しでイトの大っ嫌いな白い花を植えた。半分はイトの好きな紫色の花を植える。マホは急な用ができたとのことでトキちゃんと二人で植えた。お昼になり、持ってきたサンドイッチを二人で食べる。
二人で幸せな表情を浮かべる。料理は辛いことを抱える力をくれる。人の笑顔を願って作るのが料理だとただ思う。僕は空を見上げる。イトはまだ隣に、皆の中にいる気がする。イトの笑顔が脳裏に浮かぶ。
そんなことを考えていると、風がふと吹いて、白と紫の花たちが舞う。まるで、イトがシャキッとしろと言っているように。そうだよね、僕らしくないよね。僕は微笑む。
キータ「さて、帰ろうか。」
トキちゃんは頷き、身支度をし始めた。僕はお墓の方を見る。またね、そう言っている気がする。手を振りながら帰った。例え、振り返す相手がいなくても構わず。
数日後、僕は縄に縛られている。早朝に玄関から声が聞こえてきたから。僕が出たら、何やら空の国から来たという人が僕を縄で縛って連れて去ってしまった。空の上の雲を抜けて、大きな宮殿に入った。
目の前には玉座があるだけで殺風景な部屋だ。
キータ「災を成し 前は月夜と 神知らず 涙を隠し ただたつのみ」
パニックになりすぎて、俳句を読んでしまった。誰が何の用で僕を拉致したんだろう?キーっと掠れる音を立てながら扉が開く音がした。
??「ずいぶんと速く捕まりましたね。」
聞き覚えのある声が聞こえてきた。
キータ「そうですね。気まぐれの神様。」
??「覚えてくれるなんて光栄ですね。さて、本題に入りましょう。実はキータの動向を見ていました。
戦っても地味で味気ない。悪いこともしない。正直、つまらないのです。しかし、マホ、彼女はとても面白い。マホと友達になりたいんです。」
女性のような姿の神様、今の表情は拷問をする時のマホに似ている。
キータ「それなら僕じゃなくてもいいよね?」
??「それがですね。キータが来ないとここへ来ないと言われたんですよ。」
キータ「名前は?」
??「私はミンズです。以後、お見知りおきを。」
後ろから激しい破壊音が聞こえてきた。
マホ「キータを離してください。私のオモチャですよ!!」
キータ「僕はオモチャじゃない~!」
ミンズ「道具ではないのですか?」
ミンズ「そんなことよりも私たちうまくいくと思いませんか?友達になりませんか?」
マホ「嫌ですよ。」
ミンズはしつこくマホを友達にしようとしている。僕は縄を解こうとしているけど、全然解けない。
マホ「キータはどう思いますか?」
ミンズはマホの脚にしがみついている。
キータ「友達になってもいいんじゃない?」
ミンズ「そうですよね!」
マホはとても冷たい視線をミンズに向ける。
ミンズ「その冷たい目いい!」
相性はよさそうだ。マホは長く大きな溜息を吐く。
マホ「分かりました。」
二人は友達になった。
そんなことが丁度、二か月前にあったと今、思い出している。そうあれから二ヶ月経った。僕は草原で魚が泳いでいる様子を眺めている。最近は転生者が増えた。そして、僕を狙う人も増えた。
目の前の不気味な満面の笑みを浮かべるポニーテールの女性もその一人だ。彼女は海芽 百合といって、元日本人のようだ。久しぶりに日本人と会えて嬉しいな~。
こんなことを考えていると魚が噛んでくる。顔を噛まれる瞬間はさすがに恐怖で鳥肌が立つ。首を斬られるのは慣れているけど、顔面は慣れない。怖い!
僕はどんどん近づこうとしたが、床が海みたいに沈んでくる。百合の能力『海』だ。陸でも海でも空でも関係なく、魚などを発現させ、攻撃できる。そして、地面を液状化させることができる。
僕に向かってきているのはクジラ、シャチ、サメ、興奮状態のピラニアだ。どうしよう完全に僕は地面に入り込んでしまった。すると、僕の脳内に声が響く。
マホ「本当に魔法を使えないのも考えものですね。」
空間魔法”鳥雲”
マホが魔法で僕を地面から上げてくれた。すると、空中にクラゲが沢山浮いている。僕はガン無視して、百合に急接近し、殴ったけど、攻撃力がないと掠り傷すらできない。
それなら、百合の腕を握りしめて、空の遥か上へ一緒に行くと、酸素不足になり意識を失った。魚やクラゲは消えてしまった。僕はそんな百合を宮殿まで運んでマホに介抱してもらった。転生者と戦い、介抱するようになった。
その夜、ファレとマホとご飯を食べている。ファレは魔物の国に戻った。何年ものの仕事が山積みで毎日、目が回る程忙しいと酒を飲みながら、愚痴っていた。
そんなファレが倒れたのは翌朝のことだ。ファレの部下が泣きながら、僕を訪ねてきた。ファレは熱が出ていて、息が荒い。とても辛そうだ。
治療魔法”天使の涙”
マホが魔法を施したら、ファレの息は落ち着いた。安心したように眠りに着いた。
翌朝、
ファレ「我完全復活!!」
次回予告~
ファレが倒れ、魔物の国の経営をマホやキータが手伝うことになる。
そして、空から流れ星が流れる
次回『仕事と闇』




