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太陽の申し子〜竜に選ばれた少年の旅物語〜  作者: 日孁
第2章~血塗られた復讐劇~
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71,鑑定眼は便利

「身長高ぇお前さんにも良い奴あったぜ?」

「おお!イイ!すっげぇかっけぇ!!」

「ふふふ、鎧だから、もちろん見た目に重きを置いてるわけじゃねぇぞ?だがこのかっこよさだ!」


 ラウルさっき、僕が剣に紅玉を嵌め込むって言った時みんなと「は?」って言ってたけど本当は……

 まあ、たしかにすごいかっこいい。

 ライカが雷龍だったけど、この鎧はちょうど、雷を意識しているようなデザインだ。

 黄土色にところどころ紫の稲妻が走っている。


「理由はわからんが、お前さんを見た時にこの鎧が1番だとピンと来てな。これは電気を扱うのに長けた性能になってる。例えばこの鎧の鉄だが、ミンジュラの体液を練り込んだジュラルミンって金属を使っている。それにこの中心にある宝石は霆嶺(ていりょう)でしか採れない雷帝石だ。これによって電気を溜め込むことが出来て、更に伝導率が銀よりもよくなってんだ」

「デンキ?」

「凄いな!おっさん!」

「だろう?どうだ。気に入ったか?」

「あのぅ、デンキってのはいったい」

「ああ!気に入らないわけがない!本当にタダで貰っていいんだな!?」

「タダじゃないぜ。これから働いてもらうためのちょっとした投資だ!」

「おう!任せとけ!」


 これは、もう、拗ねていい?


「あー、アレン。その、電気ってのはな」

「タマァ…!」

「いや、お前に説明するのは難しいな。一言で言えば雷だ」

「なるほど」


 ラウルがクドタークさんから鎧を部位ごとに一つずつ受け取る。

 わあ、嬉しそう。


「いま、ここで着替えていいか?」

「おう。女もいるし、こっち来な」

「わかった。わりぃ。少し待っててくれ!」


 クドタークさんがラウルを連れてまた奥に入ってった。

 鎧って着たことないけど重いんだろうな〜。

 ドロフィンさんの鎧、1回だけ着させてもらえば良かったかな。

 あの、グローリアの黄金騎士の鎧とか。

 うん!頼めばよかった!

 絶対着させてくれたに違いない!

 恐らく!多分。きっと……?


「ねぇ、アレン。その剣、少し見させてくれる?」


 暇だったのか、アンナが言ってきた。

 武器は使わないとか言ってたけど、本当はほしいんだな?やらんがな!


「ふふふ、実は欲しかっt……」

「鑑定させて」

「あ、はい」


 違うもん……絶対アンナ欲しいはずだもん。

 1回要らないって言った手前、簡単に言えなくて僕に言い当てられそうになったから対応変えただけだもん。

 アンナは僕から受け取るとじーっと剣とにらめっこしている。


「達人級、よりの上級ね」

「凄いの?」

「そりゃ、お金を払わずに貰っているって考えたら破格よ。一般に出回っている剣はだいたい下級で、中級でもなかなかの値段だし、素人にはまず扱えないわね。上級はだいたいA(ランク)以上で数十人に1人が持っているぐらい」

「へぇー」

「貰ったわけじゃないけど、それでも凄いことよ。ただ、あなたの持っていた剣が英雄級だものね……」


 ええい!ややこしい!

 とりあえず凄いんだな?

 ならもうそれでいいや!


「……お前魔法使いなのによく知っているな」


 僕とアンナの会話を聞いていたルドルフが会話に入ってきた。


「ですね!私は魔法以外は専門外なんで、武器の性能やランクなんて知りませんでした!」

「そ、そう?まあ、これでも長く生きている方だから」


 アンナが褒められて嬉しそう!

 分かりやす!

 あ、長く生きてるって。


「そういえば、アンナの年r……」

「あーあーあー!アレン君、この武器見てごらん!?」

「いや、タマ。そんな叫ばなくてもぅおおお!!」

「ふぅ」

「なんだこれ!?かっこいい!」


 部屋の隅になんとなく置かれていたそれは、剣と斧、盾、槍など、あらゆる種類の武器にも当てはまらず、けれどあらゆる種類の武器の特徴を持ったなんとも奇怪な(かっこいい)ものだった。


「それはな、変形武器って言って、今俺が研究開発しているものの試作品だ」


 いつの間に戻ったのか、クドタークさんが答えてくれた。


「……変……形」

「変形だと……?」

「あ、ラウルおかえり。うお、やっぱそっちもかっこいいな。似合ってる!」

「やっぱりか?そう思うか?ジクシオの奴にも自慢しないとな〜」

「ほう、まだ仲間がいるのか?今度来る時は連れてきてくれよ。その仲間にもなにかやるからよ」


 本当にいい人だなぁ〜

 惚れてまうやろ!……いや、有り得ないけど。


「そういえば嬢ちゃん。さっきの会話少し聞いてたんだが、お前さんも鑑定眼なんだな?」


 さっきの会話で鑑定って言ったの1番最初だ。

 ちゃんと聞いてたな、このおっさん。

 ちっさなおっさんはアンナの顔を覗き込む。というか見上げてる。


「ははぁ、確かに紺色だな。ちなみにどの程度使えるんだ?」

「ん?鑑定眼って個人差があるの?」

「そりゃあまあな。基本は同じだが、見えすぎるやつだと意識しずにでも見えちまうから大変なんだとよ。魔力を持たない物なんてほとんど無いしな」


 へぇー、知らなかった。

 鑑定眼に関しての知識は正直皆無と言ってもいい。

 鑑定って意識してやっているんだね。

 なるほど、確かに何もしてないのにいらない情報がバンバン入ってきたら邪魔だな。

 切り替えれるって、便利だな〜。


「私は魔力量とその質だけだけど、精度は自信あるわ」


 精度悪かったら危なかったもんね……

 ルイフの鬼畜修行。


「なるほどな。じゃあ、物が持つ魔力の流れはわかるか?」

「魔力の流れ?」

「魔力をもつ物は、同じものはだいたい同じ流れ方をしててな。俺はそれを基準に見分けたり、文字にしてみたりするんだが」

「なんですって!?そんなことが……?」


 ほうほう、何やら凄そうだ。

 だが、残念なことに、僕には鑑定眼がないんだ!

 なぜなんだ!


 ─私が頑張ればいい?─


 頑張って鑑定眼ってできるものなの?


 ─わからないけど─


 ……やめとこうか


 ─わかった─

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