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太陽の申し子〜竜に選ばれた少年の旅物語〜  作者: 日孁
第2章~血塗られた復讐劇~
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69,ターク工房

「だいぶ中心から離れたな。えーと、ここか?」


 目の前にある看板はボロボロで文字が虫食いになり、よく読めない。読めるのは『**ターク***工房』とだけ。ターク工房とは。


「こんな所が金貨25枚か。思えんな」

「たしかに……疑ってしまいますね」


 看板を訝しげに見つめ、タマとアンナが言う。

 気難しい人だ、とは聞いてきたけど。


「人も居ないよね」

「……今日は特にな」

「えっと、いつもは繁盛してるの?」

「……」


 おいこらてめぇ!

 うんとかすんとか言ったらどうなんだ!


「ルドルフが言ってるのはね。今日が特別な日だからってこと!」

「ああ、そう言えばさっきも言ってたね」

「そうそう!なんて言ったって今日は……」

「なんだァ、ガキども。あんまり店の前で騒ぐな!!!ったくよぉ」


 ジャスミンの声を遮り、ターク工房から一人の小男が出てきた。

 ちっさい……

 小人族ではないな。頭が僕の腰あたりにあって、一見小人族に思えるけれど、肌が小麦色だ。鼻も顔の大きさに比べて大きいし、体つきもガッシリしている。

 間違いない。ドワーフだ。

 ドワーフと言えば手先が器用な事だろう。この見た目で。工芸品から武具の作成、はたまた建築などまで。物作りならドワーフの右に出るものはいないとまで称される。

 というか、このドワーフが?


「貴方がクドタークさんですか?」

「んだよ、看板見r……そうだ。俺がクドタークだ」


 タマの質問に苛立った様子を見せたが、何故か突然大人しくなった。


「そうですか。私たちは依頼を受けた者なのですが」

「ッ!!!?おいおいおい、そうなら早く言ってくれよ!さ、中に入りな!」


 クドタークさんはそう言うと、そそくさと入っていってしまった。


「……入るか」

「そうだね」


 扉をくぐる……だいぶ低い。

 中もそれほど大きくはなく、僕達だけで半分は埋まってしまっている。

 これまた小さな台を挟んで、クドタークさんが正面に立つ。多分だけど、ここで商品の受け渡しとかやってる……のかな?

 壁にかけてあるのは立派な盾や剣、槍に槌に戦斧と様々だ。鎧は見えないけれど、どこかにあるのかな?


「さて、んじゃまずは、よく依頼を受けてれたな。感謝する。それで、今回は依頼の確認ってとこか?」

「あ、いや報告ですね」

「ん?これから行くんだろ?」

「あ、もう行ってきました」

「んん?素材を採りに……」

「あ、いやこれですね」


 タマが台の上に依頼の素材を乗せる。

 クドタークさんは……流石だ。驚いた様子もなく、じっと素材を見ている。


「……確かに本物だな」


 いや、なにか一言呟いたあとすんごい目を見開いてるわ。

 あれ?クドタークさんの眼……紺色だな。

 紺色……つまりアンナと同じ鑑定眼。

 ドワーフに鑑定眼か、なるほど重宝しそうだ。


「嘘じゃないみたいだな……疑って悪かった。受けてくれるやつもなかなかいなかったしよ。依頼を怪しんで直接説明を聞きに来たのかと思ってな」

「いえ、とんでもないです。それで、会いに行くようにと言われたのですが」

「ガハハ、兄ちゃん冒険者にしては礼儀正しいねぇ!」


 タマの下手に出た対応にクドタークさんはご満悦だ。


「だが、やりすぎると調子に乗るやつもいるだろうから気をつけるんだぞ」

「忠告感謝します」

「おう、それで内容なんだが」


 ずーっとタマが相手してくれているから僕達はみんなぼーっと……じゃない、ただ話を真剣に聞いていただけだった。続く言葉を聞くまでは。


「えーとだな。俺の専属になって欲しいんだよ」

「……残念だが、無理だな」

「そうですね!これでも私たちランクは高いですし!他の困っている人も助けたいですよ!」

「オレは傭兵だし特に問題は無いけど、なんか流れ的に一応オレも!」


 とまあ、声を荒らげる……ほどでは無いがルドルフ、ジャスミン、ラウルがそれぞれの言葉で一斉に断った。

 え?僕とアンナ?そりゃあもう、ね?

 スリンフィアも静かにしているし。

 ま、タマに任せとけばなんとかなるでしょ!


「あー、ダメか?」

「いや、そもそも理由を教えて頂けますか?」


 ね?なんだか、ちゃんとやってくれそうだよ?


「理由は単純だな。俺は信用しているやつとしか取引したくない!だが、腕も必要な依頼をする。だからだな。お前たちは一目見た時から信用出来るって思えたしな」

「ですが、最初は疑ってましたよね?」

「カーッ!兄ちゃん痛いとこついてくるな。あん時は一種のジョークかと思ってよ」


 クドタークさんの話を聞いたタマは考えるように目を瞑り、考えを纏めているようだ。


「……別に専属じゃなくてもいいです、よね?」


 そして、タマがそう言う。

 クドタークさんは理解できない様子で説明を求めるように次の言葉を待っている。

 ちなみに僕も理解できてない!


「毎回の依頼で指名していただければ我々が受けれますので、専属になる必要はないかと」

「そう……なのか?」

「はい」


 クドタークさんは衝撃だったようで少しの間硬直していた。

 だが、すぐに気を取り直して今はタマに名前を聞いている。

 なるほど。ギルドって便利だな!

 てことは、ルドルフとか凄い指名されてるのかな?

 後で聞いてみるか。

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