転生者TKH⑥
「わわっ!危ない!」
「炎球!」
クズヤがスライムの体当たりを避ける。
そして攻撃が外れたスライムに俺の炎球が直撃するが……
ぷるんっ
「無傷、か」
これがスライム。
あの最弱モンスターのイメージは一瞬にして覆された。
大きさはだいたい直径1m程度の長球で、色は水色、そして不定形の体。
ここまではイメージ通りだった。
だが、その移動速度は目を見張るものがある。
瞬間最高速度は、だいたい馬と同じ程度だろうか。馬にも色々あるが、だいたいなので良しとしよう。つまり、速い。
攻撃方法は体当たりがメイン。だが、その体当たりは恐ろしい消化液を纏っている。しかもあのスピードだ。1度でも受けれぼただでは済まないだろう。
そして、その流動体により物理的な攻撃は吸収され、受け流され、俺たちの自慢の魔法もあまり効いている様子はない。もともと武器の類は持っていないため、物理が効かないのは関係がないが、魔法すらダメージが薄いとなると、もはや打つ手が限りてくる。
出鱈目だろ。スライム……
だが、手がないわけじゃない。
恐らくだが、魔法もより強力であればダメージは通るはずだ。ゴリ押しでも何とかなる。
しかし、それよりも効果的だと思われるのは、スライムの生態だろう。
スライムは確か海水、塩水を避ける性質がある。理由は単純で、水分を取られて消滅してしまうからだ。濃度の違いのせいだったか?いわゆる、ナメクジに似ているな。
ということは、このスライムを塩水に漬ければそれだけで勝てることになる。
ただひとつ、問題があるとすれば、ここに塩水がないということだろうか。
……大問題だ。
「くそ、塩さえあれば勝てるのに……!」
「え?塩?」
「授業でやっただろ!?」
「え、あ、そうだったね?」
クズヤ。お前、いつも寝てるな?
「塩ですか……」
「ヴィクトリア!持ってるのか!?」
「いや、ないですね。持ってきていてもそんなに沢山は……」
「ちっ、じゃあやっぱ高火力の魔法でごり押すしかないか!」
炎球が俺の使える中で最強の魔法なわけが無い。俺の『超記憶能力』は、1度見た魔法のほぼ全て、コピー出来てしまう。
今まで見てきた中で最強の魔法を放つ!
そうすれば!
「あまり広範囲の魔法は使わないでおいた方がいいですよ。他の魔物が寄ってきますし」
「そんな!」
「あ、ちなみに塩なら……」
いや、ここは寄ってきても勝てると踏んで撃つべきか?
悩んでいたその時だ。
「え?あ、あれ!?」
突然、ハルトが声を上げた。何事かと目をやると、ハルトの手の上が光り、何かが形成され始めた。
そして、出来上がったのは、
「これは……もしかして塩?」
「ああ、なんだ塩か」
塩か。もっととんでもないものかと……
「って、塩!!!!?!?!!!!?」
「ええ、しょっぱいわね」
「いや、得体の知れないものをすぐに口に入れるなよ」
「え?」
いつかとんでもないことをやらかすな。
「ともかく、これでなんとかなる!アルト!」
「うん!任せて!我、水の精霊との魂の契約により、大いなる水神の力の欠片を欲す……水震!」
「おい待て……その魔法は!!」
「きゃっ!」
クズヤの発動した水震はウェーブを描きながらハルトの持つ塩を飲み込み、スライムへと向かう。
スライムも危険を察知し逃げようとしたが、水震の方が速かった。
水震は大魔法ではないものの中魔法のひとつだ。威力も範囲も小魔法の水球とは桁違いで、スライムだけでなくその周辺をも巻き込んだ。
「やっちゃったな」
「え?なにが?」
「まあ、やってしまったことをとやかく言っても仕方ないでしょう。どうしましょうか」
長いことスライムを包み込んでいた水が消えると、既にスライムは消えていた。
いや、正確にはスライムだったものが落ちていた。水分を抜き取られた本体だ。
そして、
ドドドドドドドッ
こちらに向かってくる沢山の足音が聞こえてきた。
「皆様!危険ですのでこちらへ!」
「分かりました!」
先生に呼ばれ、急いで戻ろうとする。
だが、間に合わなかったようだ。
「ウルフルか」
奥から飛び出してきたのはウルフルの群れだ。
危険度はスライムと変わらず2だが、数が多い。
今はまだ10もいないが、恐らくまだ増えるだろう。
「あ、そうか!2人ともごめん!」
クズヤがようやく自分のした間違いに気づいたようだ。なんか、安心した。
「謝るのはあとだ。今はとりあえずここを切り抜けるぞ」
「そうだね!でも大丈夫!」
「ええ、本気でいきましょう」
ラノベのスライムって強いらしいのでちょっと強くしてみました!まさか1話使うことになるとは……
ちなみに、ガスティグ村のアレン含む子供たちも勿論、魔法(物理)で倒していますね!




