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太陽の申し子〜竜に選ばれた少年の旅物語〜  作者: 日孁
第1章~純白の支配者~
69/86

60,洞窟内探検⑤(怒りと悲しみ)

─アレン、怒りに任せてはいけない─


 ルビアス

 お前もか……?


─違う。誰かのために怒ることは誇ってもいい。でも、怒りに振り回されて自分を見失わないで─


 ……そうだな

 でも、その時はお前が僕を止めてくれるだろ?


─もちろん─


 なら安心だな


 ルビアスの言葉に冷静さを取り戻してきた。

 うん、たしかに怒りは必要だ。

 あいつ、パーンクァフルに対しての怒りはまだ収まってないし、許せない気持ちもある。

 でもだからといって、それに全てを委ねてしまっては駄目なんだ。怒りを制御して、自分の支配下に置かないと。自分を自分で支配しないと。


「……あれが【王種】」

「こ、こわかったー!」

「「「「「「「あ、ジクシオ様……」」」」」」」


 みんなは各人各様の反応をする。

 その中でタマだけは思案顔で1人頷いている。


「アレン……君」

「あ、はい?」


 そうだった。

 この人どうすれば。

 というか名前なんで知って?


「逢いに……行くんだろう?」


 なにに、もちろんあいつだろう。

 行かないわけが無い。

 痛い目見せてやらないと僕の気が済まない!


「ええ、もちろんです!」

「じゃあ……」

「?」


 じゃあ?


 彼は怯えた表情で、一瞬言葉を噤み顔を伏せた。  

 が、やがて首を振り面を上げる。

 そこには怯えた様子はなく、決意に満ち満ちた目をしていた。


「……僕も……つれてってくれないかい?」


 2人を殺されて、自分だけが助けられて、色々な思いがあるんだろう。

 断る理由はない。見たところ足でまといになるような人じゃなさそうだし。ただ、実際に戦えるのかは分からない。精神的なものが完全に癒えていない状態だろうし。


「僕は構いません。けど、貴方が辛いのなら無理して戦うのはやめてくださいね」

「…………ありがとう」

「……おい」

「わわ!」


 ルドルフに引き寄せられ、隅の方へ連れてかれる。

 え? なに?


「……お前……あいつを簡単に仕留めたのも驚いだが」


「……太陽の申し子(サージェビクシュ)ってのはなんだ?」

「あ」


 い、いやー! なんでしょーねー!

 なんて言えばいいんだ!?

 えーとえーと!?


「アレン」

「タマ!」


 タマからの助け舟キタ━━!

 というかよく聞こえたね。


「別に話してもいいんじゃないか?」

「え? ……え? いいの?」

「隠してたのってルビアス様の事だろ? それに理由も目立つからだったしな」

「そう、だけど」


 いいの? こんな簡単にバラしても?


「お前にも腹を割って話せる友人が欲しいだろ」


 別にタマがいてくれればそれで。


「俺だっていついなくなるか分からない。それに、味方は多い方がいい」


 縁起の悪いことを言う。

 タマがいなくなるって……嫌だよ。

 想像するだけで、悲しみが僕の胸を締付ける。


「あ、いや本当にいなくなったりするわけじゃないぞ!? もしもってことだからな!?」

「わかってるよ」


 しょげてる僕を見て、タマが焦る。

 でも確かに仲間は多い方がいい、か。

 ……話そう。


「僕は……竜に選ばれた。ルビアスに選ばれた太陽の申し子なんだ」

「……竜だと?」

「七星竜が実際にいたのかは分からない。けど、竜であるルビアスはここにいる」

「……(ドラゴン)じゃないのか?」


─あんな(トカゲ)と一緒にしないで─


 ルビアスの苛立ちが伝わってきた。

 そんなに嫌なんだ。


「太陽の申し子は竜との完璧な調和が可能とされる存在。僕は魔力(マター)聖気(オリジンソウル)も元々持ってなかったんだ。器だけが大きくて、そこにルビアスの力を流し込んだ」


 言っててやっぱ悲しくなるな。

 ずーっと魔法の勉強してたのに根本の魔力がなかったって……


「……魔力と聖気を持たない……そんなことが……いや悪い……続けてくれ」


 やっぱ相当レアなんだろうなぁ。

 はぁ。

 まあそのおかげでルビアスと相棒になれたんだし、魔法も使えるようになったわけだけど。


「それから【王種】のルイフに修行させられて、一通り終わって次は世界を旅してこいと。ついでに【王種】全てに会ってこいって」


 色々省いたけど、いいよね?


「……なるほどな」


 よかったらしい。

 周り? ちゃんと防音の膜を魔法で張りましたとも。

 ひと通り話し終えたところでタマや他のみんなも集まってきた。


「さ、行くか」

「うん」


 パーンクァフルを目指してゆっくりと最奥を目指す。


✧✧ウルメリア大陸(ヘビィ大洞窟〜最奥部〜)✧✧


 彼女は笑っていた。喜んでいた。

 久々に楽しめる相手が来たと。

 彼女の十の瞳に映るのは魔蟲の大群。

 危険度は1〜8まで様々だ。

 先程のクァクァロードもこの中の1つにすぎないか。


(さあ、私の可愛い子供たち。あいつらに地獄を見せてやりな。)


 彼女の一言で彼等は一斉に動き出す。

 ガサガサと音を立てる大量の巨大な虫達の進行は、虫好きな者が見ても悪寒を覚えることだろう。

 彼女が純白の支配者(パーンクァフル)と呼ばれる由縁。

 【王種】の中で唯一、数多の眷属を持ち支配する力。

 魔蟲にのみ範囲は絞られるものの、ひ弱な人間たちからすれば恐ろしい力だ。

 そして、その力が今、アレン達に振りかかろうとしていた。

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