『二十八歳の私』起承転結あらすじ
【起】
本作は、『家庭教師の一年間』『九年差の同じ別れ』、そして『二十八歳の私』からなる三部構成の私小説のうち、最初に置かれる作品である。本作は、ADHDとASDの発達障害を持つ三十歳を目前にした一人の成人女性が、「私は何者なのか」を問いながら、これから先へ歩いていくための記録である。
二〇二六年、二十八歳を迎えようとしている私は、三十歳を目前にして自分の人生を振り返るようになった。最初は、思春期に出会った「彼」と成人期に出会った「彼女」との十一年間を記録するつもりだった。しかし過去をたどるうちに、二人よりも前に思い出す人物がいた。中学三年の春、高校進学への不安を抱えていた私を一年間支えてくれた家庭教師である。
【承】
大学時代、私はADHDとASDの診断を受けた。診断によって自分の特性を理解できるようになった一方で、発達障害と共に社会の中で生きていく現実にも向き合うことになった。大学卒業後、生活訓練や就労移行支援を経て、二〇二四年に葬儀用の花を扱う会社へ就職する。しかし障害者雇用でありながら、発達障害への理解や配慮は十分ではなかった。健常者と同じ基準で複数の業務を求められ、評価への不安や人間関係の悩みの中で、私は次第に追い詰められていく。
【転】
前職で契約終了を経験した私は、働くことの厳しさと、自分の特性との向き合い方を改めて考えるようになった。その後、就労継続支援A型事業所で再び花に関わる仕事を始める。だが現在は花の業務から離れ、瓶の整理や植栽の手入れを中心に働いている。衛生面、集中力、物の置き忘れ、人の話を最後まで聞くことなど、働くための土台にはまだ多くの課題がある。三十歳が近づく中で、私は今の仕事を続けていけるのか、自分らしい働き方を見つけられるのかを考え続けている。
【結】
また私は、成人女性としての身体とも向き合うようになった。黒いレオタードを着て鏡の前に立つ時、そこに映るのは十五歳の少女ではなく、二十八歳の私である。体重や体型、健康、生理不順、将来への不安を通して、私は自分がどのような女性になったのかを問い直す。この十一年間を書き終えても、人生の答えが出たわけではない。それでも、発達障害と共に生き、働き、身体と向き合いながら、私は自分の現在地を少しずつ確かめている。『二十八歳の私』は、過去を懐かしむためではなく、三十歳を目前にした私がこれからの人生へ進むために、自分自身を見つめ直す記録である。本作は、ADHDとASDの発達障害を抱えた三十歳を目前にした一人の成人女性が、「私は何者なのか」を問いながら、これから先へ歩いていくための記録である。




