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都会のシャッター街で畑を作ることにしました  作者: 凪野 リアン


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第二十一話 つながる畑

 帰宅したリアンは早速、建築士の山崎に連絡を取ることにした。今日の農家さんでの事をいち早く伝えたいと思ったからである。


———Prrrrr…p

『山崎建築設計事務所の山崎です。』

「山崎さん、翔峰リアンです。突然の電話で失礼します。」

『あぁ、リアンさんどうされましたか?』

「今日、実際に農家さんの元へ行って、畑の収穫の手伝いをさせてもらったんですけど、昨日、耐荷重の話をされていて実際に土を持たせてもらったんです。そしたら、見た目以上に重くて、もし全面に土をおくとなると、ちょっと無理があるのを実感しました。」

『えぇ、それはとても難しいことだと思います。』

「そこで、考えたんですが、畑の畝が出来る程度の幅を作って、周りはコンクリートで囲って、いくつも、畑が並んでいるイメージなのですが…。両側から手入れできる二列畝にしたいんです。」

『ほぅ、それなら荷重問題は問題なくクリアできそうですね。コンクリートで囲うとなれば、強度も多少、つきますし。良いと思いますよ。』

「後、障がい者の方や高齢者の方にも使いやすいように腰の負担にならないように高さを調整して、一部の畑は腰のあたりで収穫出来るようにしたいんです。今日、実際やってみて、腰の負担が凄くて、大変でした。車いす利用者の方のことも考えて、配置を考えていきたいと思っています。私が目指す畑は、全ての人に楽しんで笑顔になってほしいから。」

『そうですね。リアンさんの言うように、バリアフリーでいきましょう。いろんな人が楽しめる畑を目指していきましょう。修正点を踏まえながら、図面完成させていきますので出来るまで待っていてください。』

「すみません、ありがとうございます。」


 そう言うと、電話を切った。リアンの熱量に押されながら最後まで話を聞いてくれた山崎。リアンの思いを詰め込んで、早口で伝えてしまって、リアンは急に我に返っていた。


(早口だったわよね…。大丈夫かしら?)


 興奮すると、早口になり熱量高く話してしまう。普段は静かなのに、急にスイッチが入ってしまうのがリアンだ。


 翌日、今日も朝から八百屋のバイトだ。市場に行って、仕入れをして大森と一緒に行動するのも慣れて、そして、仲卸人ともだいぶ仲良くなっていた。


「リアンさん、今日は何を仕入れてくれるんだい?」

「おはようございます。今日はですね、玉ねぎですね。」

「今、ちょうど時期がいいから、立派な玉ねぎがあるよ。玉も大きくて艶があって、水分量も申し分ない。」

「立派な玉ねぎですね。これを1箱貰ってもいいですか?いつものように、あとでお金払いに来ますから。」

「また、予約という形で保管しといてやるよ。」

「ありがとうございます。助かります。」


 仲卸人に頼み、次の店へと向かう。ふと、昨日の収穫の事を思い出していた。早瀬農場で収穫された物もこの市場にやってくる。生産者がいて消費者がいる。リアンの仕事は生産者と消費者をつなぐ仕事なのだと深く感じていた。生産者が直接、消費者に会って話すことは滅多にない。いわゆる都会の商店街やスーパーでも必ず仲卸から購入する。リアンが今からやる事は生産者と消費者が同じ空間で話をしたり、野菜を食べたり、直接、会話できるそんな畑なのだと思い返していた。失敗は許されない。楽しく、みんなが笑顔になれる体験を目指して、改めて決意することとなった。


 農家に興味が出る人も中にはいるかもしれない。そんな淡い期待を持ちながら、リアンは今日も市場で仲卸人と交渉している。


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