第二十二話 誰かに届くまで
リアンは山崎から図面の完成図の連絡が来るまで、今できることをやろうと思っていた。そこで、再度、SNSアカウントの整備から入った。以前、考えていた『商店街と共存する畑』というアカウント名をもっとわかりやすいものに変更しようと考えた。そして、そのアカウントで現在の進行状況を画像付きで紹介していこうと決めたのだった。
新しいアカウント名は『つながる畑』とした。人と人もつながり、商店街ともつながっていく。笑顔で沢山の人に喜んでもらいたいと思っていたからだ。
八百屋のバイトを終えて、まず初めにスマホで写真におさめたのは商店街の写真だった。お店はいくつも閉まっており、シャッターが目立っている写真。そんな写真を見ながら、リアンは将来の商店街を想像していた。
(大丈夫…。きっと人であふれるようになる…駅も近いんだから、来ない訳じゃない。見つかっていないだけ…。そう信じないと、ここまでやってこれなかった…。)
リアンは心の中でそう言い聞かせていた。商店街の一番目立つところにひかり観音がある。ひかり観音に赴き、外観だけ遠くの方から写真を撮った。
そして、ひかり観音の裏に回ると、公民館が現れる。そこが、リアンの畑となる場所だった。元公民館の外観を写真に残し、中も記録として、残したいと思った。この集めた画像はSNSで紹介をしていくためのものである。リアンは思い思いに沢山の画像を記録し、文章を考えていった。
初めての投稿は公民館の外観と中の画像を使ってこう記した。
【都会の中心で畑づくり挑戦中!人と人がつながる畑を目指していきます】
最初の文章としては上出来だろうと思う。投稿ボタンをタップした。進捗状況のお知らせや、今後の予定などお知らせするにはSNSを活用して、お客さんに共有することが一番の拡散方法だと思っていた。
投稿してすぐ、何人かに見られた形跡はあるものの反応は乏しかった。すぐには反応が来るとは思っていなかったが、ちょっとだけは期待していた自分がいた。
(しばらく、様子を見て、もし何もなかったらまた、投稿してみようかな…。)
このアカウントは改装が終わり、営業が始まっても更新は続けていく。そして、近況報告でどんな野菜を植えたとか育成状況も書き溜めていきたいと思っている。
みんなの笑顔の写真も撮りたいし、スタッフの写真もゆくゆくは撮りたいと思っていた。リアンの夢は膨らむばかりだった。
今持っているアイデアとしては、解体作業を地域の人たちでイベントとして開催できないかとも考えていた。危険が伴う作業になるのでリアンだけの考えでは動くことは出来ない。その為に、役所や建築士の山崎との話し合いも必要となってくる。このアイデアは後日、確認することにして、次の作業へと移った。
次の作業は雇用に関しての賃金の平均を割り出していくため、この地域の求職情報を確認することにした。管轄のハローワークへと赴き、パソコンで情報を確認する。ちなみに、都会だからと言って、畑が無いわけではない。ただ、ほとんどがプランター栽培で屋上農園がメインとなっている。農業知識のある人が常勤しており、優しくフォローしてくれるサービスもあった。情報を調べていると、今後のリアンの畑にも使えそうなアイデアが浮かんでくる。リアンはワクワクしながら、くまなく情報を眺めていた。将来的には個人事業主から会社立ち上げになるといいなぁと夢が膨らんでいた。まだまだ先の話である。
ハローワークから帰宅途中、一件の通知でスマホが鳴った。SNSで反応があったようだ。
(良かった…誰かの心に響いた…。きっとここから、もっともっと発信していけば、そのうち、反応がもっと増えるはず…もっと頑張らなきゃ…。)
リアンの思いが伝わった瞬間だった。




