第十六話 八百屋と畑
次の日、リアンはいつものように午前中は八百屋で働いていた。その日の昼食を頂いている時に雑談をしながら、今後の話しを大森と奥さんとリアンで話し合っていた。と、いうのも、今はまだ、八百屋でのバイトをする時間はあるだろうが、本格的に始動した時に、どうなるのかがまだわからない状態だからだ。
「リアンちゃん、これから公民館も改装して、本格的に畑の運営が始まったら、ここでのバイトは出来なくなるんじゃないか?それに、今以上に忙しくなると思うんだ。あまり、無理はさせられないとも思っているんだが、リアンちゃんはどう思っているんだ?」
「………、、。」
少しの間、静寂がやってきた。リアンは今後の事について、大森に話しをしなければならなかった。ただ、リアンは色々考えて出した結果ではあったが、伝えることを渋っていた。
「……おじさん、ごめんなさい。本格的に運営が始まったら、私は畑の方に全力で取り組んでいきたくて、八百屋のバイトをする事が出来なくなると思うの。まだ、どうなるかわからないから、確かなことは言えないけど、運営が軌道に乗ったら、もしかしたら、八百屋も手伝えるようになるかもしれないから、その時はまたお願いしたくて。それでも大丈夫かな?おじさんの力になりたいのは今も、この先も変わらないからさ!」
大森はにっこりと微笑んだ。その姿を見ていた奥さんが口を開いた。
「リアンちゃん、ありがとう。ここで働いてくれて。まだこの言葉は早いかもしれないけど、私もお父さんもリアンちゃんには感謝しているわ。一緒にご飯を食べたり、お喋りしたり、楽しかったわ。今度はリアンちゃんの夢を叶えていきなさい。きっと、叶っていくから、信じて前へ進んでいきなさい。」
リアンは少しうつむき、震えている。真正面から感謝を伝えてくれる奥さんに目を見る事が出来なくなっていた。一滴のしずくが目尻から零れ落ちた。
「あぁ、もう、湿っぽい話はやめだ。まだ、先の話しだからよ。俺はリアンちゃんが健康で暮らしてくれていたらそれでいい!俺たちの事は心配するなよ。それに、俺から見たら、まだまだ、ひよこだからよ。何かわからないことがあったら、いつでも尋ねに来いよ。」
「おじさん、ありがとう!」
大森夫婦の言葉に感動して、リアンはしばらくの間、涙をすすっていた。
その時、また大森が口を開いた。
「話しは変わるんだけどよ、今度の日曜日って予定空いているか?」
「あ、はい、、。今のところ、予定はありません。」
「そっか。それなら、知り合いの農場に行くから付いてくるか?」
リアンは大きく頷いた。目はキラキラとしていた。農場の人に話しを聞けるチャンスが今そこにある。リアンは高揚し、満面の笑みへと早変わりして、リアンの子供心を忘れていないような性格が前面に溢れた。
「ハハハ、リアンちゃんわかりやすいなぁ。そんなに楽しみなのか?」
「勿論です。知見を手に入れるのは凄くいい事です。知識があれば、どんなことにも対応が出来る気がします。」
リアンの姿を見ながら、大森夫婦はケタケタと笑っていた。
(なんか、まずいこと言ったかな?)
リアンは少し心配になっていた。
明日はいよいよ、建築士山崎との話し合いだ。模型も完成し、リアンのやりたいことをすべて詰め込んだ模型を見てもらう。そして、法律的に可能なのか、それがわかる日でもある。
この畑にはリアンの中でエコを裏テーマに抱えている。水の再利用や、野菜くずの堆肥化など取り組んでいきたい。ボランティアで畑の管理をしてくれる人も募集して、運営をしていきたいと思っていた。都会に住んでいる住人も畑作業をしたい人はいる。沢山の人に愛される畑を目指して、リアンは前を向いて進んでいく。




