表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
グッド・ジョブ エピソード0  作者: 渡夢太郎
五章 ナチュラル・グリル
93/132

妙子

「亮、5時には時間が空くけど」

尚子から電話が有った。

「では、6時にウエスト42ストリートの

ブライアン公園前のMiyabiで会いましょう」

「OK、友達連れて行くね」

「分かりました」

亮は尚子の友達と聞いてニヤニヤと笑って

電話を切るとジェニファーが亮の顔を見ていた。


「あっ、ジェニファーさん和食大丈夫ですよね」

「ボストンは和食屋が多いから大丈夫だけど、何か良い事有ったのかな?」

「いや、なんでもない・・・です」

亮は鈴木妙子に電話を掛けて待ち合わせをした。

「良いの?みんな一緒で?」

「ん?」

「私はいいけど。女性たちが鉢合わせしてまずないの?」

「ええ、大丈夫です」


「えっ?亮は尚子さんと付き合っているんじゃないの?」

「とんでもない、あの誘拐事件の以来のただ友達です」

亮は真剣な顔をして尚子との関係を否定した。

「そうかもったいない。彼女亮に気があるのに・・・」

ジェニファーは亮が女性の気持ちに鈍感なのがわかって、

そうつぶやいた。


亮とジェニファーがブライアン公園前のビルの4階Miyabin入ると

すでに客が半分席に座っておりそのうち3分の1が日本人だった。

「素敵なお店ね。本格的な日本料理店」

「ええ、経営者が日本人だから」

「なるほど」

ジェニファーが店内を見渡すと着物姿の

藤原京子が亮たちを迎えた。

「いらっしゃいませ」

「予約してないんですけど」

「うふふ、大丈夫ですよ」

京子は亮とジェニファーを店の一番奥に案内した。


「へえ、予約しないで入れるんだね」

ジェニファーはメニューを覗き込んだ。

「亮、ここ高いよ、大丈夫」

「大丈夫ですよ。僕がおごります it’s on me」

「ありがとう」

そこにが尚子が先程ダンススクールで会った

アイリーンともう一人の女性を連れていた。

「アイリーンはどうしてもお礼が言いたかったんだって、

そしてこちらがやはり同じスクールのアマンダ」


「ダンです。よろしく」

「私はジェニファー。よろしく」

互いに挨拶し終えたところに京子がおしぼりを持ってやってきた。

「いらっしゃい。尚子ちゃん」

「すみません。今日は友達を連れてきました」

「うん、ゆっくりして行って」

京子は微笑みながらオーナーの息子亮に頭を下げて行った。

「知り合いなの?」

アマンダが不思議そうな顔をして聞いた。


「ここが私のアルバイト先」

「わあ、素敵。いつも着物を着て仕事するの?動きにくくないの?」

「大丈夫」

「いいなあ、一度着物着てみたい」

日本好きのアマンダは着物にあこがれていた。

「じゃあ、夏に浴衣着せてあげる」

「本当!」

アマンダはテンションが上がって尚子に抱きついた。

「さて、何を注文しようか?」

尚子がメニューを見ようとすると鈴木妙子が

おどおどとして亮に前に立った。


「こんばんは」

「あっ、お待ちしていました」

亮は立ち上がって妙子に席を空けた。

「お邪魔じゃないですか。綺麗な女性ばかりのところに」

「こちらこそすみません」

「あっ」

妙子は尚子の顔を見て声を上げた。

「あのー。AKKの白尾尚子さんですか?」

「そうです。よろしくお願いします」


英語のあまり得意で無い妙子は元アイドル日本人の女性がいてほっとしていた。

デザイナーの妙子にとってアイドルのコスチュームデザインはあこがれだった。

「さあ、好きなもの頼んでください。尚子さんみなさんに料理の説明をお願いします」

亮はジェニファーとアイリーンとアマンダにメニューを見せた。

「團さん、白尾さんとお知り合いなんですね」

「ええ、ボストンでたまたま知り合って」

「警察にお勤めなんですよね」


「それが・・・僕はハーバード大学に留学中でボストン

警察の日本人通訳をしています」

「ハーバード大学!そうなんですか」

妙子は世界一のハーバード大学と聞いて目に色が変わった。

「鈴木さんの隣にいる巨乳の女性がボストン警察の刑事さんです」

亮がジェニファーに声をかけてジェニファーに警察官の身分証を出させた。

「帰国したら鈴木さんのデザインを見てみたいと思っています」

ファッションに詳しい亮は妙子のデザインに興味があった。


「ありがとうございます。でもレディスですけど・・・興味あるんですか?」

「あっ、そうですか・・・」

「どこのブランドですか?興味ある~」

尚子は亮の立場を気遣って助け船を出した。

「青山のブリリアンスショーです。ご存知ですか?」

「知っています。青山の大学の近くですよね」

「そうです。ありがとうございます」

妙子は年齢の高い客層の高級ブランドを

元アイドルの尚子が知っている事が嬉しかった。


「しまった!」

亮は婦人服の興味があるゲイに誤解されたのかと不安になった。アメリカでは

ファッション系、美容系の男はほとんどがゲイだからである。

亮は美宝堂の仕事をしている関係でファッションに詳しいが、

自分の興味があるものが周りの人間も興味があると思い込んでしまう悪い癖があった。


「ねえ、亮。さっきから私たち付き合っているのかって、アイリーンとアマンダの

二人が聞いているんだけど」

「ま、まさか」

尚子が聞くと亮は首を振って慌てて否定した。

「そうよ、全然」

尚子も否定したがその笑顔は引きつっていた。


「本当、じゃあ大学にいるの?」

「いいえ」

アマンダの問いに亮が答えるとアイリーンが聞いた。

「じゃあ、日本にいるの?」

「いいえ」

亮が答えると二人が変な顔をした。

「いいえ、ゲイじゃないですよ。

忙しくて女性と付き合う暇が無かっただけです」

亮は必死でいい訳をした。

「うふふ」

妙子が大きな声で笑った。


「分かりました?」

亮は笑っている妙子に聞いた。

「それくらいの英会話分かります。

アメリカって思った以上にゲイが多いんですね」

「そうなんです。女性と付き合っていないと怪しまれちゃうんです」

「團さんのような高学歴でイケメンに彼女が居ないのが不思議だわ。

 アメリカの女性は誘ってこないの?」

「そうですね。全然」


亮はパティや尚子やハーバード大学の女子大生が

亮に好意を持っている事に全く気付いていなかった。

「へんね。もてそうなのに・・・」

「そうかなあ、アメリカ人にとって日本人は恋愛の対象にならないかもしれませんね」

日本にいた時亮に声をかけてきたのは沙織と良子くらいしか記憶がなかったと言うより

気づいていなかった。


「そうかしら?日本人男性は語学や体格の劣等感で自分に

自信が無さすぎなんじゃないかしら」

尚子はすべてパーフェクトな申し分ない男性なのに女性に奥手なので

亮を勇気づけようと思った。

「ねえダン、あなたはサムライ?」

アイリーンはモップでピストルを持っている男を倒した亮に憧れていた。

「いいえ、剣道を少し」

「ケンドー!」

アイリーンは握りこぶしを重ね両手を前に出した。


それはアイリーンの亮への思いだった。

亮に付き合っている女性がいないと聞いたアイリーンは亮の日本での生活、

アメリカでの生活、将来の目標など質問責めにした。

亮がアイリーンと話をしていて退屈そうな顔をしている妙子に尚子が気づいた。

「鈴木さん、付き合っている男性いるんですか?」

「いいえ、仕事が忙しくてなかなか出会いが無いんですよ。

 アイドルは男女交際禁止と聞いたんですけど、本当ですか?」

「そうね。せっかくアイドルになれたのに男女交際ごときで

クビになりたくない無いからそれは守っていたわ」


「うふふ、そうよね。本当に團さんと付き合っていないんですか?」

妙子は次第に尚子に心を開いてきた。

「そうね。彼とは時々ニューヨークで会うけど

そういう感情にはならないわ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ