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グッド・ジョブ エピソード0  作者: 渡夢太郎
五章 ナチュラル・グリル
86/132

データ

「そうだ、ロバートには前科が有った。フレッド・カーペンターだ。

 ネバダ州カーソンシティ生まれ、32歳、詐欺で逮捕歴5回うち3回不起訴

 髪を金髪に染めていたから気がつかなかったんだ」

亮はそう言いながら、紙にペンを走らせフレイザーに渡した。

「警視、この男を前科者リストで調べてください」

「分かった」

フレイザーはすぐにニューヨーク市警に

電話をかけ資料を送ってもらうように頼み

メールを開いた。そしてその資料を覗き込んだカールが唖然として呟いた。

「本当だ、フレッド・カーペンター、ネバダ州生まれだ・・・」

亮はフレイザーの机に有ったパソコンでMIXIの敦子のページを開いた。

「パティ、この男だ。この男がフレッド・カーペンターだ」

亮は興奮をしてモニターを指差した。


「すごい、本当に記憶していたんだ」

三人はモニターを見て口をあけて言った。

「亮、フレッドが犯人でしょう」

パティは犯人と決め付けて言うと亮が答えた。

「いいえ、フレッドは身長が178cmですから

犯人ではないです。佐藤敦子さんとどうして

写真を撮ったか聞くだけです」


「でも、この男どこに居るのかしら?」

パティが首を傾げるとフレイザーは厳しい顔をして答えた。

「それは我々の仕事だ!任せてくれ」

パティは普段優しい顔をしているフレイザーの

真剣な顔に畏怖の念を抱いた。

「警視、ひょっとしたらフレッドは観光客相手に

詐欺を働いているかもしれません」

亮はフレッドの行動を思い浮かべた。

「なるほどそうか、すぐに手配しよう」

フレイザーは亮の言っている意味が分かって

部下にフレッドを探すように指示をした。


「警視、空港の監視カメラの記録映像を見ること出来ませんか?」

「空港は民間の施設なんでね、空港に行かなければ見られない」

「そうですか、分かりました警視、

僕は明日ニューヨークへ行きます」

「わかった、うちの捜査官を一緒に行かせたいんだが

フレッドの捜査があるので

 ニューヨーク市警に頼んでおく。

亮、かかった経費は後で請求してくれ」

フレイザーは時間以外にも金銭的にも亮に

迷惑を掛けている事を気にしていた。

「警視、大丈夫です。12月のアルバイトでかなり儲けました」

亮は図書館の事件後に大学から感謝の意味で奨学金と

学費免除の申し出があったがそれを断っていた。


<アメリカは日本と違って成績優秀者だけが奨学金をもらうわけではなく、

家庭の収入に応じて必要な学費の援助を国や州や大学が補助するために

一般家庭の子供でも高額な学費がかかる私立の医学部に入る事ができる>


「ありがとう、亮」

フレイザーは亮の肩をしっかり握って部屋を出て行った。

「私も、もう一度犯人の痕跡を調べてみる」

カールも亮の肩を叩いて部屋を出て行った。

「亮、明日ニューヨークに行くの?私も行きたい」

パティが亮の腕を掴むと亮は冷たく言った。

「ダメです、会社に行ってください」

亮はパティを連れて行って危険な事に会わせるのが嫌だった。


「ええ、つまんない」

「その代わり僕ともう少し付き合ってください」

亮はロビンを呼び出してプロビデンスの近くの

デザートショップにケーキを食べに行った。

「昨日はお疲れ様でした」

亮はロビンに礼を言った。

「いやいや、亮こそ大変だったな。脳の容量以上の事を

覚えると古い情報がデリートされて自分の

 名前すら忘れてしまうらしいぞ」

ロビンの話をまじめに受け取ったパティの顔つきが変わった。

すると亮は目をクルクルと回し急に笑い出してパティを指差して聞いた。

「あはは、君、誰?」

「亮、どうしたの?大丈夫」

パティは亮の頭が変になったんじゃないかと

思って顔色を変え亮の顔を両手で押さえて言った。

「ロビンどうしよう、亮が変になっちゃた」

パティは亮の顔を何回か叩いた

「痛て!痛いなあパティ。嘘だよ、嘘!」

亮は涙を浮かべているパティの顔を見て

慌てて芝居を止めた。


「わーん、亮が本当に馬鹿になったかと思った」

「ごめんごめん」

ロビンは二人のやり取りを見て大声で笑った。

「ロビン、今日もハッキングをしてもらいたいんでけど」

亮はロビンの耳元で囁いた。

「今度はなんだ?」

「空港の監視カメラの記録を盗み出して欲しいんです」

「分かった、戻ったらすぐに始めよう、

大学よりセキュリティが厳しいぞ」

「じゃあ、無理?」

「なわけ無いだろう。任せておけ」

亮はロビンの顔を覗き込むとロビンは自信を持って返事をした。

ロビンは部屋に入るとすぐにボストン

空港の監視カメラの管理コンピューターに

アクセスを始めた。


「参った!連邦航空保安局(FAMS)と

アメリカ国土保安局(DHS)と繋がっている

 、記録映像データにアクセスしたとたん

テロリストとみなされてDHSが逮捕に来るぞ」


ロビンは両手を挙げて机を叩いき再び、キーボードを叩き続けた。


ロビンはさまざまな方法でハッキングを

試みたがその都度セキュリティに引っかかって

その度にログアウトしていた。

「ロビン、大変そうね」

パティが心配そうに言うと亮はパソコン

をいじりながら淡々と答えた。


「ええDHSはテロリストを捕まえる組織なので、

一番テロリストに狙われると思います。

 それのセキュリティなので相当厳しいと思います」

「じゃあ、無理なのかしら?」

「いや、そうでもなさそうです」

亮が呟くとロビン所へ行った。

「ロビン、いい方法があります」

「なんだ?」


「タフツ大学の学生ロバート・スミスの父親

サイモン・スミスがDHSに勤めています。

父親とのメール交換があると思うので

父親のパソコンに入り込めませんか?」

「うん、分かった息子のメールアドレスを教えてくれ」

ロビンは亮に聞いたロバート・スミスの

メールアドレスでハッキングを始め

サイモン・スミスのパソコンに入り込み

パソコン内に残されたDHSのIDとパスワードを

入手した。そしてDHSのメインコンピューターに

入り込み架空の職員を作りそこに新たに

IDとパスワードを発行した。


「これで、堂々と監視カメラを見ることが出来るぞ。

もっともレベル1だから簡単だったがレベル6は

 どんな機密が入っているか見て見たくなった」

「ロビン、それだけは止めてください。バイオ燃料のプロフラムの仕事があるので」

「ああ、そうだったな、俺が逮捕されたら元も子もない」

ロビンはデビッドの会社に迷惑を掛けたくなかったので

レベル6はお預けにする事にした。


「亮、監視カメラの映像が1週間分ハードディスクに残っているぞ」

「本当ですか?1週間だけで良いんです」

「ええと、カメラの数が70ヶ所どの映像を出す?」

「とりあえず、全部観ます」

「了解、全部のデータをダウンロードするから好きなだけ見てくれ」

ロビンはダウンロードの作業を終え亮に捜査の

仕方を教えると椅子に座ってコーヒーを飲んだ。

「所でパティ、彼氏はいるのか?」

「いないわ」

パティはなれなれしく話すロビンを引き離すように答えた。

「じゃあ、亮の事はどう思っている?」

ロビンは亮に聞こえないように小声で聞いた。


「嫌いじゃないけど、何を考えているかわからないから・・・」

「うんうん、あの記憶力なら女のパンティの

デザインとそれをいつはいたか覚えていそうだな」

「きゃー、気持ち悪い!」

パティはロビンの行った事を想像すると本当に気持ちが悪かった。

「あはは」

パソコンオタクであまり友達のいなかったロビンは亮とパティのコンビと

一緒にいるのが楽しかった。

「そう言えばロビンのお父さんって何をしている人なの?」

「弁護士だ」

「ええ、それなのにどうして貧乏なの?」

パティが驚いて聞くとロビンは不機嫌な顔で答えた。


「俺が弁護士になって父親の事務所を継がない事で喧嘩して

 学費は全部自分で払うことになってしまった。親の所得が多いので

 奨学金も貰えないし」

「ねえ、事務所ってあの有名なハイド弁護士事務所?」

パティはロイドのファミリーネームを思い出した。

「ああ、そうだ。人間は嘘つきだ、

弁護士はその嘘をまるで本当の事のように

 嘘をつく、そんな父親の仕事が嫌いだった。

でも何百人もの弁護士が父を神と崇めている」

パティはロイド親子の間に埋めることのできない

深い溝が有るのが分かった。

「そうか、弁護士とプログラマー正反対の仕事ですね」


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