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グッド・ジョブ エピソード0  作者: 渡夢太郎
五章 ナチュラル・グリル
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記憶

亮がジムに手を振って体育館を出るとパティはニコニコ笑った。

「亮、マッサージをしている時にアールに食事に誘われたわ」

「よかったですね」

「それだけか・・・」

パティは亮が何にも感じない様子で聞き流す亮に腹が立った。


「僕も一緒に行きます」

パティは亮が心配してくれると思って嬉しかった。

「亮。忍者巻きって忍者コスチュームの足に巻いてあるやつ?」

「アールに言ったのは嘘です、忍者と言うと謎のパワーが出そうでしょう」

「なーんだ、嘘か・・・」

パティは本当の話なら日本好きの父親のアーロンに

亮は忍者の事を知っていることを教えたかった。


「ただ、忍者の子孫はいますよ、手裏剣を使ったり不思議な薬を作ったりしています」

「うふふ、まるで亮みたいね。不思議な薬を作ったりDVDを投げたりしている」

「あはは、そうかもしれない」

亮は以前見た家系図で自分の祖先は伊賀出身だったのを思い出し

小さく呟いた。

「そう言えば飲み会、女の子来るかな・・・」


~~~~~~

バレーボールの練習している体育館では

ボールの音と女性の大きな声が鳴り響いていた。

「亮、どうしてここに来たの?」

「だって今日は女子バレー部しか練習をしていなかったから

別に変な意味じゃないですよ」

「嘘よ、あの体が目的なんでしょう」

亮たちの目の前には大きな胸を揺らしてジャンプしている

女子バレー選手映っていた。


「あはは、大きいですね胸もお尻も」

パティは亮の顔を睨みつけた

「それでわかったの?亮」

「はい、調べたい事があります。警察に行きましょう」

何かに気がついた亮は突然立ち上がって体育館を出て行った。

「待ってよ、亮。私何がなんだかわからないわ」


~~~~~

「フレイザー警視、日本の警察からメールが届いています」

女性の職員がフレイザーに報告にやって来た。

「何て書いてある?」

「それが全部日本語でダン宛に」

「そうか、さっき亮から連絡があったからもう来るだろう」

職員は怪訝な顔をして聞いた。


「警視、民間人に警察の情報を漏らして良いのでしょうか?」

「かまわん。彼はボストン警察が雇った日本人通訳だ」

「失礼しました」

職員はフレイザー警視ににらまれて慌てて部屋を出て行った

「こんにちは」

亮はフレイザー警視の部屋ドアをノックした。


「やあ亮、入りたまえ」

フレイザーは机の前にあるソファーに亮と

パティを座るように手で指示をした。

「コーヒーを飲むかね?」

「はい」

亮が返事をするとフレイザーは部下にコーヒーと

先ほど届いたメールを持ってくるように

内線電話で指示をした。

亮は受け取ったメールを見て言った

「なるほど」

「何かあったの?」

パティが亮の見ている書類を覗き込んだ。


「佐藤敦子さんの元上司の櫨場俊夫ハゼバトシオ

ニューヨークにいるそうです」

「ハ・ゼ・バ・ト・シ・オ?」

「はい、僕が今植林をしているバイオ燃料のハゼです」

「それがどう関係するの?」

「あはは、関係ないですね」

「なーんだ」

亮が珍しく関係のない事を言ったのでパティはがっかりしていた。


「それで身長が185cmで血液型がO型です」

「日本人の割りに大きいわね、顔写真は?」

パティは亮の頭の上に5cm手を伸ばして確認した。

「退職したので会社のほうには残っていないそうです」

「わかった!そいつが犯人だ」

パティが叫んだ。


「亮、それで何か分かったか?」

フレイザーははしゃいでいるパティを

尻目に落ち着いた雰囲気で亮に聞いた。

「この櫨場俊夫が気になりますので

ニューヨークに行ってみようと思います」

「そうか、民間人の君じゃ動きにくいな、

捜査員の誰かをつけよう」

「お願いします」

亮が嬉しそうにするとフレイザーは

亮が何かを見つけたような気がして聞いた。


「それで他に何か分かったか?」

「はい、扼殺の方法です」

「扼殺の方法だって?」

フレイザーは聞きなおし死体検案書を開いた。

「はい、首の締め方なんです。左手を上に右手を添えるように

 首を圧迫しています」

「ああ、犯人はおそらく左利きだろう」


「ええ、咽頭隆起(のど仏 Adam‘s Apple)が潰れ、

頚椎が骨折つまり常人と同じなんです」

「それのどこがおかしい?」

フレイザーは亮の言っている意味が分からなかった。

「もし殺人を犯した者が、巨漢のスポーツ選手として行為中の

興奮状態で首をしめるとしたら、

圧し付けるより閉めつけるような、すると首の両側に圧迫痕が

もっと強く残るはずです」

亮は部分の首を絞めてみせた。


「なるほど」

「ところが、今回の犯人は圧し付けているんです」

「つまり、行為中に興奮して女性の首を片手で締める事があっても

 両手を使う事は無いという訳か、なるほど良く思いついたな。ははは」

フレイザーは、亮はかなりの女性関係があると思って笑った。

「はい・・・・」

「つまり、犯人には殺意があったと言う訳か」

「はい」


「わかった、すぐに検視官に相談しよう」

フレイザーは検視官を呼ぶと亮は佐藤敦子のホテルを聞いた。

「警視、佐藤敦子さんの泊まったホテルは分かりました?」

「うん、ビーコンストリート沿いのバックミニスタースイートホテルだ。

 レンガ作りで趣があって川が観えるいいホテルだ」

「男性の連れは?」


「うん、男が居いるには居たんだが、

部屋の予約をしたのが彼女だったので

 確認しなかったようだ」

「フロントが気にならなかったと言うことは、

パスポートのいらないアメリカ人と言う事ですね」

「そうかも知れないな」

フレイザーが顎に手をやって考え込んだ。


「敦子さんは愛する男性と一緒に泊まる事ができて

きっと夢のような時間だったんでしょうね」

パティはその時の敦子の気持ちを感じていた。

「パティ、どうして好きな人と思えるんですか?」

「だってあのホテルは全部スイートでカップル専用ですもの」

亮は敦子が子供を堕胎し傷ついて、やっとの想いでボストンに

来て男性とボストンの市内観光をしている様子を思い浮かべていた。

「きっと幸せだったんでしょうね・・・」

亮が呟くと検視官入って来た。


亮は30代半ばの検視官のカール・レイノルズを紹介された。

亮は粗方自分の考えを述べるとカールは

天井を見た。

「なるほど、君の言いたい事は分かった。しかし両手で締めると殺意があって

片手で締めたら過失だと言う裁判の判例は無い」

カールは亮の話に否定的に話した、そして間をおいた。

「面白い、頚椎の骨折の仕方によって犯人像を割り出し

犯人の殺意まであぶりだしてしまうなんて」

カールは手に持ったコーヒーカップを揺らして

笑い出した。


「カール、面白いだろう。亮は」

フレイザーは優秀な亮をまるで警察の部下であるかのように自慢した。

「はい、ハーバード大を救った謎の男は彼ですね、警視」

「ああ、そうだ。ニューヨークの女性監禁連続殺人犯を見つけたのも彼だ」

「本当ですか?どうやってあの犯人を特定したんですか?」

カールは亮にその方法を聞いた。

「あれは・・・非科学的な方法です」

亮は申し訳なさそうに答えた。


「あはは、亮は3万人の前科者を記憶してそこから割り出したんだよ。

 ハーバード大の時は本の位置のずれで爆弾を発見した。彼しかできない方法だ」

フレイザーは手を広げて笑った。

「凄い!」

カールが唖然としていると亮が突然声を上げた。


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