サブミッション
亮とジェニファーがシープメドウに着くと
ジェニファーが亮の目を見つめ向かい合って立った。
「ジェニファーさん・・・」
真剣な目で見つめられた亮は
ジェニファーが抱き付いてくる予感がしていた。
「初キスか・・・」
ジェニファーは突然亮に抱き付き右手
手首を反対に捻りそれを持ち上げた。
「痛て~~~」
亮は痛みのあまり膝をついた。
「や、やめてください」
「亮、無謀なあなたは万が一の為に格闘技を覚えるべき、
手っ取り早いのはサブミッションよ」
「わ、わかりましたから手を離してください」
「でも相手が凶悪犯だったら腕の腱を切るくらいに
本気でやらなくちゃいけませんよ。
そうしなきゃ、逆にあなたが殺される」
「分かっています」
亮はそう言って自分がされたサブミッションを思い出し
ジェニファーの左の脇の下に右手を突っ込み、
それを支点に左手首を掴んで後ろに回った。
「あっ、そうよ。そのまま腕を上げれば脱臼する。
これがチキンアームロック」
「ああ、なるほど」
亮は返事をして腕を外しすばやく離れた。
ジェニファーは亮の覚えが早いのに感心し簡単な
手首固め、腕挫腕固、ネックロック、
腕挫十字固を教えた。
「亮、この他に絞め技と言って首を絞める
技があるけど喉仏を潰してしまって
死ぬ可能性があるので勧めないわ」
「すみません、少しでいいから教えてください」
「分かったわ」
ジェニファーは亮のジャケットの襟を持って交差させた。
「これがトライアングルチョーク(三角締め)柔道の技にあるわね。
これは首の頸動脈を圧迫して脳に行く血液を抑えて失神させる」
ジェニファーは他にクロスチョークをやって見せた。
「はあ、かなりきついですね」
「うふふ」
ジェニファーは正面から亮の首を脇に抱え、
手首を亮の喉仏に当ててそれを持ち上げた。
「フロントチョークは喉頭隆起(喉仏)を押し込め、
気管を塞いで肺に空気が行き届かないようにし、
窒息させる方法よ。相手の背が高いと難しいけど・・・
このままグランドに持ち込めば首の骨を折る事もあるわ。
そして後ろに回ってスリーパーホールド(裸締め)」
ジェニファーの巨乳が亮の首をしっかりホールドして
亮は身動き取れなくなっていた。
そしてジェニファーは亮を倒し、太ももで亮の首を抑えた。
「こうして足でホールドすれば口や鼻を塞いで呼吸ができないようにし、
窒息させる」
亮はタップして大きく息を吸った。
「ありがとうございました」
亮は立ち上がって首をくるくる回した。
「かなり強烈ですね」
亮はジェニファーの巨乳と太ももですっかり参っていた。
「そうでしょう」
意味を勘違いしたジェニファーはニコニコと笑った。
技を覚えて来た亮は3回に1回技を返していた。
「なかなかやるわね」
ジェニファーは真剣な顔をして腰を落とし亮にとびかかる寸前
亮とジェニファーの真剣な挌闘を見ていた人たちが周りに集まって来た。
「ジェニファー、終わりにしましょう。人が集まってきました。
このままやっていると警察に通報されそうです」
「そうね。お疲れさま。今度は警察署でやりましょう」
「お願いします」
亮がお辞儀をするとジェニファーは観衆の手前亮と腕を組んだ。
「ジェニファー、敦子さんは殺意のある人間に殺されたんですね」
亮は様々な絞め技をジェニファーに教わり、喉仏をつぶされていた敦子は
間違いなく素人に殺された事を確信した。
「そうね、訓練を受けた人間は殺すよりもまず戦意を奪う事から始めるわ。
どんな人間だって人を殺すのは嫌な物よ」
「そうですよね、殺したやつは罪の意識で苛まれているはず・・・きっと」
亮は敦子を殺した犯人が尚子を誘拐した殺人犯ルイス・マーチンで無い事を願った。
「元気ないわね。さあ、行きましょう」
ジェニファーに肩を叩かれた亮は巨大な胸で押し
つぶされそうになった感覚を思い出し
股間を抑えた。
「ん?どうしたの?苦しくておしっこちびっちゃった?」
「い、いいえなんでも・・・そろそろ行きますか」
ジェニファーに鈴木妙子の会う時間を
決める為にジェニファーに聞いた。
「そうね。17時か・・・どこへ行きたい?
金曜の夜はリザーブしておかないと混むわよ」
「そうですね。華金ですものね」
「hanakin?」
「YGIF。Thank God it's Fridayです」
「そうそう、金曜日の夜はみんな思い思いの事を
して日ごろのストレスを発散するわ」
「そう言えば、ニューヨークって遊ぶ街だと思っていましたが
銀行や郵便局が始まる時間が8時からと早いですね」
「うふふ、それはニューヨークが世界の金融、証券の中心だからよ。
金融のエリートビジネスマンたちは朝早くからタフな
仕事しているわ。だから仕事が終わって飲むと言っても
せいぜい1時間くらい。後はさっさと家に帰って家でゆっくりするわ」
「そうなんですか・・・意外だな」
亮はカウンターで飲んでいる美女に声をかけてベッドインする
シーンだけが印象的だった。
「まさか、映画みたいにいつもクラブで男が
ナンパしていると思っていた?」
「は、はい」
「うふふ、それに飲んで騒ぐのは金、土曜日の
夜だけよ。それにナイトクラブは
カップルや友達グループで行くところだから
クラブに来る1人の女性は
怪しいから気を付けて」
「なるほどね~」
「亮ってまだアメリカンカルチャー知らないのね?」
「そうですね。こっちに来てからずっと
忙しかったものですから・・・」
「じゃあ、今度の週末ボストンのナイトクラブに行こうか?
学生が多いから盛り上がるわよ」
「はい、連れて行ってください」
亮はジェニファーをエスコートするのが楽しみだった。
「OK、DJ調べておくわ」
「DJって何か関係あるんですか?」
「クラブの集客はDJで決まると言っても過言じゃないわ。
人気のDJなんか年収数十億円よ」
「そんなに!ミュージシャンでもないのに・・・」
「ナイトクラブは音楽を聴きに行くところよ。その世界を作るのがDJ」
DJと言ったらTRFのDJKOOくらいしか知らずなぜ
収入が何億円何十億円も稼げるか
亮は首を傾げた。
「亮、5時には時間が空くけど」
尚子から電話が有った。
「では、6時にウエスト42ストリートのブライアン
公園前のMiyabiで会いましょう」
「OK、友達連れて行くね」
「分かりました」
亮は尚子の友達と聞いてニヤニヤと笑って
電話を切るとジェニファーが亮の顔を見ていた。
「あっ、ジェニファーさん和食大丈夫ですよね」
「ボストンは和食屋が多いから大丈夫だけど、
何か良い事有ったのかな?」
「いや、なんでもない・・・です」
亮は鈴木妙子に電話を掛けて待ち合わせをした。
「良いの?みんな一緒で?」
「ん?」
「私はいいけど。女性たちが鉢合わせしてまずないの?」
「ええ、大丈夫です」
「えっ?亮は尚子さんと付き合っているんじゃないの?」
「とんでもない、あの誘拐事件の以来のただ友達です」
亮は真剣な顔をして尚子との関係を否定した。
「そうかもったいない。彼女亮に気があるのに・・・」
ジェニファーは亮が女性の気持ちに鈍感なのがわかって、
そうつぶやいた。
亮とジェニファーがブライアン公園前のビルの4階Miyabin入ると
すでに客が半分席に座っておりそのうち3分の1が日本人だった。
「素敵なお店ね。本格的な日本料理店」
「ええ、経営者が日本人だから」
「なるほど」
ジェニファーが店内を見渡すと着物姿の藤原京子が亮たちを迎えた。
「いらっしゃいませ」
「予約してないんですけど」
「うふふ、大丈夫ですよ」
京子は亮とジェニファーを店の一番奥に案内した。
「へえ、予約しないで入れるんだね」
ジェニファーはメニューを覗き込んだ。
「亮、ここ高いよ、大丈夫」
「大丈夫ですよ。僕がおごります it’s on me」
「ありがとう」
そこにが尚子が先程ダンススクールで会った
アイリーンともう一人の女性を連れていた。
「アイリーンはどうしてもお礼が言いたかったんだって、
そしてこちらがやはり同じスクールのアマンダ」
「ダンです。よろしく」




