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グッド・ジョブ エピソード0  作者: 渡夢太郎
五章 ナチュラル・グリル
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亮の強さ

コナーのヘルメットは亮の持っていた

掃除のモップの柄で音を立てて叩かれた。

「ブラボー」

亮を見ていた署員が声を共に拍手をした。

「これがサムライか・・・」

唖然としているコナーに亮が言った。


「これが剣道です」

「ケンドーかなるほど・・・忍者が飛んできたナイフを叩き落とすのを

 見たことがあるがそれはできるのか」

アメリカ人のコナーにとってサムライも忍者も一緒だった。

「もちろんできます」

亮は日本人のプライドをかけて言い切り、

的の印をつけた段ボールを自分の2m先に置いた。

コナーは押収したナイフを4本持って亮の前に立った。


「本当に良いのか?」

「どうぞ」

コナーは亮に向かって立て続け

3本放ると棒で弾き返したナイフは

3本とも段ボールに突き刺さった。


そしてコナーは4本目を亮の後ろに

回り合図も送らず投げつけた。

「キャー」

ジェニファーが驚いて声を上げると亮は冷静に

ナイフをコナーの足元に弾き返しコナーは驚いて動けなかった。

「ひどいじゃないコナー!亮の背中にナイフを投げたわね」

ジェニファーはコナーに食って掛かった。


「すまない、亮を見たらどこから投げても

返せそうな気がしてしまった」

コナーは亮とジェニファーに謝り、

亮が犯人をモップの柄で倒したのは

本心から認めた。

「さて、取り調べと報告書を書きにもどる。

何かあったら連絡をくれ

 どんな事でも手伝うぞ」

コナーはビデオを片付け軽く手を挙げて

中庭から署内に入って行った。


「ジェニファー、櫨場俊夫ハゼバトシオの件で何かあったら

コナー刑事に頼みましょうか?」

亮はフレイザー警視にニューヨーク市警の

パーカー刑事に協力依頼をするように

言われて来たのだった。


「そうね、最初は日本人の亮を嫌がっていたけど、

最後にあなたを認めていたわ」

「そうですか」

亮が中庭から帰ろうとすると見学をしていた警官たちが亮を取り囲み

剣道の話を聞いた。


~~~~~

亮たちは15:00にエンパイヤステートビル近くの

オフィイスビルの1階のティールームで

櫨場俊夫を待った。

「あの警察官たちには参ったわね。亮の事本当に忍者だと思ったみたい」

「ええ、日本に忍者が居ると思っている外国人がたくさんいるようです」

「えっ?日本に忍者はいないの?」

ジェニファーは首を傾げた。


「はい、いませんよ100年以上前にいなくなりました、

サムライと一緒に」

「そうなんだ、つまらない」

ジェニファーは寂しそうな顔をした。

「あのう、團さんですか?」

背の高い男が亮に声をかけた。


「はい、團です」

「櫨場俊夫です」

櫨場は深々と頭を下げた。

「ジェニファー・パトリックです」

櫨場俊夫とジェニファーが挨拶を終えると亮が話しをした。

「すみません、ボストンで亡くなった佐藤敦子さんの件で

 パトリック刑事の聴取の通訳に来たんですけど

 英語の堪能な櫨場さんには必要ないみたいですね。あはは」

亮は櫨場の顔色をうかがいながら笑った。


「いいえ、たとえ自分が悪い事をしていなくても警察と話をするのは

いつも嫌なものですよ。團さんがいると安心します」

「そう言われるとありがたいです」

亮が頭を下げるとジェニファーが櫨場に話を聞き始めた。

佐藤敦子との関係、アメリカで会った事があるか、

殺人があった日のアリバイを聞いた。


それに対して、櫨場は佐藤敦子との関係は上司と部下の関係であり

アメリカに来ると言うメールが来ただけで、殺人の有った当日は会議があって

ボストンに行く時間が無かったと言った。

櫨場が言った事をすべてメモに取った後に亮が櫨場に聞いた。


「櫨場さん、背が高いですがスポーツは何をなさっていたんですか?」

「私はこっちのハイスクールでバスケットボール日本の大学ではバレーボールを

 やっていました」

「そうですか、高校までアメリカに?」

「ええ、父がこっちの商社に勤めていましたから」

「それでアメリカに戻られたんですね」

「はい、アメリカの方が自分の性格に合っているようです」


「そうですね、僕もアメリカ人の方がはっきりしていて好きです。ちなみにご家族は?」

「ハイスクールの娘と大学生の長男がいます」

「一緒にお住まいですか?」

「妻と娘は一緒にこちらに住んでいますが、息子は日本です」

「さびしいですね」

亮が言うと櫨場は少しの間目を伏せた。それは家族と別れている

寂しさだろうか。亮は気の毒に思った。


「ありがとございます」

ジェニファーは立ち上がって櫨場と握手をし、亮も続いて握手をした。

「亮、どうだった?」

時々日本語で会話していた亮たちの会話が理解できなかったので

ジェニファーは気になっていた。

「はい、スマートでなかなか素敵な中年ですね」

「あら、亮は男も好きなの?」

「ち、違いますよ。それに『も』と言うのはどういう意味ですか?」

亮はジェニファーに女好きと勘違いされるのが嫌だった。


「それにしてもあなたの言う通り彼の指は太かったわね」

「はい」

亮はメガネ型カメラで撮った映像をスマフォに繋いで確認した。

「このデータを検視官のカールに送ります」

「一致するかしら?だってあなた犯人は学生だって言っていたでしょう」

「僕の間違いかもしれません、殺人とレイプの犯人が違うような気がします」

「亮の推理が間違っていたと言う事ね」

「そうですね」

亮は初めて自分の間違いを認めた。


「じゃあ、犯人は誰?」

「まず、バレーボールをやる人間像を推測しましょう」

「ええ、身長185cm以上の指の太い男性、

そしてレイプ犯はあそこが大きい」

ジェニファーそう言って顔を赤らめた。


「もう一つ、犯人がバレーボールをやっていたとしたら

黒人じゃないと言う事です」

「えっ、なぜ」

「アメリカにはプロバレーボールリーグが存在しないので、

身長が高くジャンプ力のある身体能力の優れた人は

将来収入が多いバスケットボールへ進むようです」


「確かに、バレーボールはアメリカンフットボール、野球、

バスケットボール、アイスホッケーの

人気にはかなわないわね」

「サッカーが南米、ヨーロッパでいくら人気が

有ってもアメリカでは全然人気ないし、逆に

 野球はヨーロッパでは存在すら知らない人もいますからね」

「亮は剣道以外に何のスポーツが好きなの?」

「僕はテニスです」


「テニスか・・・あまり庶民に人気ないわね。

ゴルフと同じで上流階級のスポーツだから」

「そうですね。今度格闘技教えてください」

「うふふ、OK」

ジェニファーは格闘技の才能の有る亮を鍛えるのが楽しみだった。

「さて、帰りましょうか」

ジェニファーは大した収穫がなかった事が残念だった。


「すみません。今夜鈴木妙子さんとまた会う事になっているので

こちらに泊まる事になります。

 ジェニファーさんは一人で帰ってください」

亮はさらに尚子と会う話はしなかった。


「あなたのガードを命令されているので帰る訳には行かないし

、また昼間のような事件がまた有ったら

大変な事になるわ。警視に許可を取って

 父の家に泊まるわ」

「すみません」

「いいのよ。仕事なんだから」


「ええと、あと2時間あるなあ」

亮は日本に電話をかける時間を待っていた。

「ねえ、セントラルパーク散歩しない?ここから車で20分くらいだから」

ジェニファーは亮の手を引いた。

「良いですよ。セントラルパークのどこへ行きますか?」

「シープメドウへ行きましょう」

「あの芝生のところですか?喜んで」


※シープメドウはセントラルパークの西側にある芝生の広場で61000㎡ある

ニューヨーク市民の憩いの場である。

亮は大勢の人が寝転んでいるシープメドウで一度くつろいでみたかった。


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