パーティ
「ところで幸子ちゃん学校は?」
「お蔭さまで今年司法試験受かりました」
「在学中に・・・おめでとう」
まるで東大クイズ王みたいな秀才だ。
「ありがとうございます」
そこへ美佐江が来て亮を呼んだ。
「亮」
「はい」
「着替えてちょうだい、今日は宝石売り場をやってもらうわ」
「了解です」
亮は更衣室で黒いスーツに着替えて店内に出ると
幸子と他の店員がまるでメンズモデルのような亮の姿を見てドキドキしていた。
「亮、みんなを上手く動かしてね」
美佐江は亮に頼んで2階に上がっていた。
店がオープンし客が次々に入ってくると
亮は自信を持った会話で宝石販売していった。
午後には磐田時子が店に入ってきて宝石の
ショーケースの中に立っている亮を見つけた
「團さんお久しぶりね」
50歳過ぎの時子は大きな黒い帽子をかぶった
上品で真っ白な肌の女性だった
「岩田様ご無沙汰しております」
「今日は?」
「はい、冬休みでボストンから帰ってきました」
「そう、じゃあ私のお買い物お願いできるかしら」
「はい、ニューヨークで岩田様のために洋服を仕入れてまいりました」
「本当、嬉しい」
時子は上品に笑っていた。
亮は1時間ほど時子の後ろに付いて歩いて行った
「團さん、あなたのお陰で買い物もおしゃれも楽しいわ」
「ありがとうございます。岩田様、いくぶん細くなったような」
「ええ、あなたが素敵な洋服を選んでくれるからトレーニングして努力しているのよ」
「そうですか、それは健康的でいいですね」
「もっとダイエットのトレーニング相談に乗ってくれるジムがあるといいのに」
「そうですね」
亮はマサチューセッツ工科大学で健康科学の
勉強をしているのでそれを活かしたいと思っていた。
「岩田様もしよかったら今度トレーニングにご一緒させてください」
「本当、あなたのように若くてハンサムな男性が一緒に
ジムに来てくれたらジムの友達に自慢できるわ」
「それほどでも」
そう言うと時子は機嫌がよくなってその日1000万円以上の買い物をして帰った。
「亮さん凄いわね、今日の売り上げ1300万円よ」
幸子が亮の売り上げを聞いて驚いていた。
「はい」
「どうするとそんなに売れるんですか?」
「お得意様の似合う物を把握しているからです、本人以上に」
「本人以上?」
「洋服は自分の好みと自分の似合う物に差が出るものなのです、それを販売する人が
修正のアドバイスをしてあげるだけです」
「そうか・・・」
「お客様に最も合うものを選ぶ。それが美宝堂が美宝堂で有る所以です」
亮は秀樹の言った意味が分かって来た。
「わかった、私もがんばろう」
「でも時間がかかりますよ」
「でもブランド好きだから、亮先生教えてください」
幸子は高校時代、亮に勉強を教わっていていたので
100%信頼をしていた。
「分かりました」
亮は以前ブランドバッグを分解してブランドの良さを知り
自信を持って商品をお客に勧める事が出来ていた。
亮は翌日の朝、大学の薬学部の下村教授を訪ねた
「おお、團君ハーバード大学はどうだ?」
「はい、とても面白いです。特に図書館の薬学に関する蔵書はすばらしいです。
それにMITの授業も受けられますので」
「なるほど・・・送ってきた卒論の方は良く書けて有るし単位も足りているから
卒業で出来そうだな」
「はい、正月開けの渡米前に卒論を提出していきます」
「もう完成したのか?」
「はい、アメリカ先住民の漢方やマヤ、インカ、アステカ漢方など新しい
発見がありました」
「そうか、うらやましいなあ」
「教授、今度ボストンに遊びに来てください。もし良かったら一緒に南米に行きませんか」
「そうだな、春休みに時間が空くから行ってみたいな」
下村は亮に言われてワクワクしていた。
「それで帰国後どうする?君には博士号を取ってもらいたいんだが」
「はい、そのつもりです。いま論文を書いています」
「もう書いているのか?」
「はい、糖尿病の製薬論文です。それと国際会議用の英文論文も書いています」
亮の言った意味は一挙に論文博士号を目指していると言う事だった。
~~~~~~
亮は午後から美宝堂に出社すると
客が待っていた。
「いらっしゃいませ、團亮と申します」
亮が挨拶をすると上品な女性が挨拶をした。
「岩田さんの紹介で古河と申します」
古河は30代の半ばの美しいいかにもセレブな女性だった。
「古賀様、今日は何をお求めですか?」
「クリスマスパーティ用に」
古河は子供のように笑った。
亮は古河の全身を見ると一瞬でサイズが頭に浮かんだ。
「身長162cm、足のサイズが24cmですね、
左の薬指のサイズは9ですね」
亮はスリーサイズも分かっていたが
初対面なのでそこまでは言えなかった。
「は、はいそうです」
古河は驚いて返事をした。
「古河様、お名前は?」
「知夏です。どうして?」
「イニシャルが知りたかったので」
「うふふ、そうね」
亮は幸子を連れて三人で店内を歩いて商品を選び
幸子は亮の商品のセレクトと話術の上手さに舌を巻いた。
知夏は次第に亮の優しさに惹かれていき、
歩きながら自分が古河家に嫁いだ話や
夫、子供の話をしていった。
「ご主人の身長は?」
「173cmです」
「するとヒールは5cmから7cmがいいですね」
「はい?」
知夏は首を傾げた。
「ヒールの高さでスカートの長さが変わるんです、
ですからまず靴を選びましょう」
「そうなんですか」
知夏は初めて聞いた話で驚いた。
「でも主人と一緒じゃないパーティもありますから他の靴も選びましょう」
亮はうなずき知夏に靴を履かせて歩かせた。
「亮さんどうしてお客様を歩かせるの?」
幸子は亮の行動が不思議だった。
「靴のヒールの高さは5mm違っても歩き方に影響するんです。
だから歩き方を覚えてもらうんです」
亮は知夏を何度も歩かせ結局5足の靴を販売した。
「あっ、そうか」
幸子が5足の靴を買えば5着の服が売れる事に気付いた。
「まさかバックも?」
幸子は思わず手帳にメモをした。
「亮さん、お客様の予算は聞かなくていいの」
幸子は亮の耳元で囁いた。
「大丈夫です。お値段を言った時のお客様の反応で十分わかります」
「ああ、そうなんだ・・・」
亮は、古河知夏に靴を5足、洋服を10着、バッグを6個、指輪2つ、ネックレス1つ
トータルで850万円を売り上げ、幸子はその日から亮の販売方法を真似ながら
売り上げを伸ばして行った。
亮は12月24日までの20日間で1億5千万円の売り上げを立て
亮は幸子を連れて恒例のクリスマスパーティに参加した
亮は会場の奥にいる秀樹と久美のところへ行った。
「亮、連日大忙しだったな」
「はい、今年は大台を超えました」
秀樹は亮の営業力凄さに満足だった。
「凄いなあ、どうやってそんなに客を呼んだんだ?」
「口コミです、岩田様が古河様やたくさんのセレブ紹介してくれて
古河様が大学の友達を紹介してくれて・・・」
「やはり口コミは凄い」
秀樹は改めて口コミ効果に驚いていた。
「はい、それで提案なんですがお得意様には
クリスマスパーティ以外にも時々パーティを開いて
自分のおしゃれを見せる機会を作ってあげたいと思うんです」
「なるほどそれはいい」




