出資
亮が嬉しそうに答えるとフレイザーは肩をすくめた。
「残念ながら、似顔絵とか科学捜査の講習だが聴講生で特別にどうだ」
「はい、科学捜査なら興味があります。スケッチは得意ですよ。子供の頃から
植物のスケッチをしていましたから」
「ははは、そうかそれはいい」
前日配ったライスボールの効果と純子のテレビ取材効果で
BigGrillのオープニングは成功し夜遅くまで長蛇列が続いた
翌日、純子は日本に帰り亮とデビッドと尚子は週末まで
お店を手伝い金曜日に銀行家が視察に来て
BigGrill全店のリニューアルに対しての融資が決まった。
「デビッドと亮のお陰で銀行の融資が出て、うち全店の改装が決まった
ありがとう」
ジョージは日曜の金曜日の夜に手伝いに戻ってきたローラを加えて
三人を前にして礼を言った。
「さて、デビッドが会社を作るに当って出資をするが1つ条件がある」
「なんですか?パパ」
デビッドは神妙な顔をして聞いた。
「デビッド、会社の経営の参謀に亮をつけること、
決して自分一人で決めてはいけない、亮には天性の才がある」
「もちろんわかっているよ。僕もそのつもりで社名もD&Rにする」
「デビッドとリョウか?」
ジョージが聞くとデビッドはにこやかに答えた。
「いいやパパ、Dはデビッド・キャンベルではなくて
僕の恩師ダニー・シェーファー教授のDRはリョウのRだよ」
「デビッドずいぶん謙虚だな」
「ああ、謙虚さは亮に教わった、サムライの心だ」
デビッドが亮の顔を見ると亮は照れてうつむいた。
「では会社を作る事が決定したので報告する事があります」
亮は中国と日本から投資を集める事が出来る事を説明した
「ほ、本当か亮」
「すみませんデビッド、前から決まっていた事なのですが
こちらの会社設立が決まらないと言えなかったので」
「いや、本来僕たちがアメリカで投資を募らなければならないんだ」
「ええ、日本、中国とからの投資はバランスが悪いですね」
「よっし!やる気になってきた、僕も投資家を集めるぞ!」
「はい、僕もお手伝いします」
亮とデビッドががっちりと握手をすると
ジョージは嬉しくなって二人の肩を叩いた。
その後、BigGrillはNaturuGrillに店名を変更し
全米に店舗を次々に増やし亮はアドバイザーとして
取締役に名を連ね薬膳料理メニュー作りに
トムとウエンディとキャロルは継続的にヘルシーな
メニュー作りに専念して行った。
~~~~~~~~
日本に帰国した稲田純子は成田空港で取材人に囲まれていた
「稲田さん、連続人犯が逮捕された現場にいてどうでしたか?」
「とても緊張しました、でも警察の人が傍にいたので信じていました」
純子は何局ものテレビ出演し一躍時の人となった。
「亮、純子が日本で人気者になっているわ」
ボストンのカフェで会った尚子が興奮していた。
「良かったですね、尚子さんも負けていられませんね」
「ええ、ボストンで良いボーカルの先生を見つけたの
しばらくここでボーカルレッスンを受けて
来年はニューヨークかロサンジェルスに移って
踊りのレッスンも受けるつもり」
「それはいい、がんばってください」
「それで亮も一緒にボーカルのレッスンを受けてみない」
「どうして?」
「先生のギャラが高いから・・・割り勘で」
「あはは、いいですよ、でも僕カラオケに行ったことが無いんです」
「大丈夫よ、きっと上手くなるわ」
亮は歌が上手くなるとは思っていなかったが
人に物を教えてもらうのが好きだったので
それが楽しみだった
~~~~~~
デビッドの会社に伴い12月のはじめ團秀樹がボストン空港に到着した。
「お父さんわざわざすみません」
「いや、この後ニューヨークに寄って一緒に日本に帰ろう。美宝堂の
お前目当ての常連のお客が待っているぞ、磐田さんとか二井さんとか」
「分かっています。岩田様にはニューヨークで何着か洋服を仕入れていこうと
思っています」
「うん」
秀樹はまじめな自分の息子に将来の期待を持った
「お父さんすみません。どうしてもデビッドと劉翔記と劉文明を紹介したかったので」
「いや、お前が友達を紹介したいなんて嬉しかったよ」
「はい」
「ところで女の友達は出来たか?」
「ええ、何人かは」
「それで、深い関係になったのか?」
「ま、まだですけど」
「そうか・・・お前は勉強は出来るが、女の方はからっきしだめだ。
あんまり溜めておくと後が怖いな、将来片っ端から周りの女に手を出しそうだ」
「そんな事ありませんよ、片っ端なんてちゃんと選びます」
「じゃあ、いい女が複数現れたらどうする?」
「・・・」
亮は秀樹の質問に答えられなかった。
亮は車に秀樹を乗せ大学の傍のレストランに連れて行った
「おお、あれがハーバード大学か」
秀樹はあまりにも大きな大学の敷地を見て驚いていた
「はい」
亮は図書館の爆弾事件の人質になったローラと翔記を救出し
ローラの彼のデビッドと知り合った話をした。
「人間の出会いは偶然で無く必然な事が良く分かったな」
「ええ、みんなが糸で繋がっているような気がしました」
レストランには真剣な面持ちでデビッドが亮たちのテーブルに歩いてきた。
「初めましてデビッドです」
デビッドは日本語で挨拶をして秀樹と握手をした
「亮の父親の秀樹です。ヒデと呼んでください」
海外の仕事が多い秀樹は気さくにデビッドに話しかけた。
「はい、寿司マシンや米の件で父親の店が世話になって感謝します」
「とんでもない、こっちも商売ですから」
「はい、でも亮は商売でもないのに協力をしてくれました」
「それは君が亮の友達だからだ」
秀樹が言うとデビッドは亮の顔を見た。
「ありがとう、亮」
「さっそくだが、亮から聞いたバイオ燃料投資の話を詳しく教えてくれないか」
秀樹はデビッドに説明を求めた
「分かりました」
デビッドは工場を作る費用が200万ドル、研究費が
年間200万ドルかかることを説明した。
「それで大体何年で実用化なると思う?」
「そうですね、今から3年くらいで完全実用化になると思います」
秀樹はしばらく考えると話し始めた。
「おおよそ800万ドルか分かった必要な資金の30%240万ドルを私が出資しよう、
そして30%を中国側に出させて残りの40%をアメリカで集めなさい。
こういったものは1ヶ所で集めると身動きが取れなくなってしまう。
それから、2年目からの研究費は銀行から融資を受ける努力をしなさい」
「はい」
「近い将来、原油価格の高騰、地球温暖化、原子力発電の廃炉化で
バイオ燃料が注目を浴びる実用化が出来た時、
上場して資金を一気に集めて大工場を作り量産体制に入ると良い
ただし、自動車はハイブリッド化、燃料電池化完全EVの方向へ
進んでいくと思うのだが」
「もちろんです。化石燃料が自動車に使われているのはわずか20%、
我々は発電、産業部門への使用を重視しています」
デビッドは秀樹に的確な意見に感心し尊敬の念を抱いた。
「後は息子と進めてくれ、亮は私以上に優秀だ」
「そんな事は無いでしょう、ヒデ」
「デビッド、君は亮の能力をまだ知らないだけだ、もう少し付き合ってください
面白い男ですよ」
秀樹はニヤニヤと笑ってデビッドを見た
「亮、今何処にいる?」
劉翔記が電話をかけてきた。
「父親とデビッドと一緒にいる」
「そうかちょうど良かった、文明が今ニューヨークから来た」
「ではみんなで会いましょう」
「わかった」
まもなく翔記と文明がやってくると秀樹は亮に紹介を受けた。
「ユニオンチャイナグループの劉文明」
秀樹は文明の名刺を見て声を上げ続いて翔記が劉泰平の
息子と聞いてまた驚いていた。
そして自分の息子が二人と仲良くしている様子を見て
黙ってみているしかなかった。




