手伝い
工場には5人の中国人女性が来て1000個の黄色いおむすびを作り
1つ1つ袋に入れて箱つめ終わったのは朝の8時だった
「間に合いましたね、デビッド」
亮が笑うとデビッドが心から感謝していた。
「ああ、君のお陰だ」
「いいえ、これからです。これを食べてくれた人たちが
BigGrillに来てくれなくては意味がありません」
「そうね、でもこんなに美味しいものを食べれば
きっと明日は行列よ」
ローラが言うとデビッドはローラにキスをした。
「いいなあ」
亮は人前でキスが出来る二人がうらやましかった
フットボール場に入ったデビッドは主催者と打ち合わせをして
亮とローラ、トムとキャロルとウエンディは
MIT側の入り口で箱を並べて準備していた
「亮、もうすぐうちのレストランの応援が4人来る」
トムが言うと亮は嬉しかった。
「ええ、ただ配るだけならいいけど明日のコーナーオープンの話も
しなきゃいけないから助かります」
「でも、お客さんはニューヨークの人がターゲットよ」
ウエンディが言った。
「何人か女性を連れてくれば良かったわ、デビッドや亮やトムじゃ
男性が受け取らないかも」
ローラが困った顔をしていると亮のところに
稲田純子と白尾尚子が近づいてきた
「おはようございます」
「この間はありがとうございました」
純子が礼を言うと意識がもうろうとしていたが
尚子は亮の顔をしっかりと覚えていた。
「お世話になりました」
「どういたしまして。それで今日はどうしたんですか?」
「昨日退院したので團さんにお礼を言おうとしたらフレイザー警視に
ここにいると言われて」
尚子は亮の顔を憧れの目で見ていた。
「僕たちは今からこれを配らなくちゃいけないので、後でお話を・・・」
「私たちお手伝いに来ました」
純子が跳ねるような態度をして亮に言った。
「えっ、ほんとうですか?では遠慮なくお願いします」
「はーい」
二人の日本人アイドルはアメリカンフットボール場では
かわいらしくてとても目立つ存在だった。
そこへパティと妹のデニスと二人の父親アーロンがやって来た
「やあ亮、今日は母校の試合でね。観に来たよ」
アーロンは照れた様子で言った。
「娘達に何か手伝わせてくれ」
「はい、ありがとうございます」
亮は三人に頭を下げた。
ローラとパティはハグをするとライスボールを配る準備を始めた
「トム、お手伝いが4人増えました」
亮はみんなが来てくれた事が嬉しかった。
「亮!」
デビッドが亮のところへ走ってきた
「どうしたんですか?」
「警備のニューヨーク市警の警官が50人分100個の
ライスボールを食べたいそうだ」
「はい、わかりました」
亮は台車にライスボールを載せて警察の警備本部へ届けた
「ライスボールを持ってきました」
亮がライスボールを届けるとスーツ姿の
男と何人かの制服の警官が立っていた
「話は聞いているよ、これ美味いそうだね」
スーツの男が紙に包んだライスボールを一口食べた
「美味い、これはいい。みんなで食べるよ」
「ありがとうございます。ぜひお店の方にも来てください」
「ああ、もちろんだ」
亮が台車を押し出すと男が聞いた。
「君、日本人か?」
「はい」
「この前の誘拐犯を捕まえたのも日本人らしい、君の誇りだな」
「はい」
亮はニッコリ笑うと警備本部を出て行った。
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「モーリス、彼が團亮だ」
もう一人のスーツ姿の男が肩を叩いた。
「あの男が10人の少女を殺した凶悪犯をCDとテニスラケットで
捕まえた男か」
モーリスが言うと男が言った。
「そして、爆弾魔からハーバード大学を救った男だ!」
「まさかニューヨーク市警が彼を欲しいとでも言うんじゃないだろうな」
「あはは、彼の記憶能力はフレイザー警視から報告を受けている、
まんざら嘘でもない話だ」
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亮が戻るとライスボールがずいぶん配られていて
まもなく無くなろうとしていた。
「トム凄いじゃないか、あっという間なくなった」
「でもただで配ったものだからね、後はお客の反応だ」
「ええ」
亮はライスボールを包んである紙の連絡先に電話があるのを祈った。
すべてを配り終え後、白尾尚子が亮に話しかけて来た。
「團さん、改めてありがとうございました。殺された女性が
10人いたと知って本当に驚きました。両親もお礼を言いたいそうなんですが」
「いいえ、本当に間に合ってよかった。そう言えば、白尾さんは
アイドルを辞めて留学なんですか?」
亮はやっと白尾とプライベートな話をした。
「ええ、大学と本格的に歌をやりたくて」
「でもどうしてボストンなんですか?」
「子供の頃住んでいたものですから」
「じゃあ、また芸能界に復帰するんですね」
「ええ、今度はアイドルじゃなくて実力のある歌手として」
「期待しています」
「明日はお店のオープンだそうですね。お手伝いさせてください」
「えっ?」
亮はデビッドの顔を見た。
「そりゃあ、助かるなあ。着物でも着てくれれば最高だ」
デビッドは勝手な事を言っていた。
「はい、いいですよ」
尚子は喜んで返事をした。
亮はパティたちに礼を言って後片付けを
終えてデビッドの両親の家に行き
かなりお腹が凹んだジョージとマリーは玄関のドアを開けた
「わお!」
デビッドが声を上げた。
「パパ、ママ凄く痩せた」




