イエローボール
パティの家に行った亮は
黄色いイエローボールをパティに渡した
「何?テニスボール?」
「いいえ、ライスボールです。みんなで食べてください」
「あ、ありがとう」
パティは突然渡されたおむすび持って首をかしげた
「ああ、ローラの彼のデビッドのお父さんのレストランで販売するんです」
「そう」
パティはニッコリと笑った。
「それで、パティ今から食事へ行きませんか?」
「でも突然言われても・・・」
パティは急に誘われてドキドキして返事に困った。
「だめですか?」
亮はパティの顔を覗き込んだ。
「行っていらっしゃいよ、パティ」
母親のリンダが優しく言った。
「わかったわ、ちょっと待って着替えてくる」
「すみません」
パティは微笑みながら階段を駆け上がった
亮はそれを見てアリスの座っている足元に膝まついた
「アリス具合は如何ですか?」
「ええ、膝の痛みがずいぶん取れたわ」
「ああ、たしかにむくみが取れてきましたね」
亮がアリスの膝を触るとアリスはホッとした表情で亮の顔を見た
「ありがとう亮、パティをデートに誘ってくれて」
「あっ、いいえ。別にデートではないんですけど食事を一緒にと思って」
亮は顔を赤くして言い訳をした。
「亮、あの子はあなたの事が好きなの楽しい夜をすごしてね」
「亮、今夜は帰ってこなくていいぞ」
アリスが言うとパティの父親のアーロンがうなずいて笑って言った
「いや、食事を終えたらパティを送り届けます」
「まて、亮。パティにたっぷりと酒を飲ませて酔わせてキスをするんだ
まずはじめは軽いキスで舌を入れちゃ行かんぞ」
アーロンが一生懸命説明するとリンダが怒った。
「あなた、いい加減にして!パティにも感情があるのよ」
リンダがアーロンのお尻を叩いた。
「そんな事教えなくても大丈夫よね、亮上手そうだもの」
リンダは亮にコンドームを渡した
「日本製より大きいけど・・・大丈夫よね」
リンダが亮の股間を見てあまりにも真剣に話すので亮は一歩下がって
壁に体を押し付けた。
「さ、先走らないでください、僕はただ・・・」
亮が三人を落ち着かせようとしているとパティが階段を降りて来た。
「お待たせ」
「すみません、お騒がせしてしまって」
「ううん」
亮が謝るとおしゃれをしたパティは笑顔で答えた
二人が車に乗ると亮が優しく話しかけた。
「僕はもうすぐクリスマスなので日本に帰らなくちゃいけないので
今日食事に誘いました」
亮はハンドルを握ったまま頭を下げた
「ああ、こちらでクリスマスをしないのね。みんな楽しみしていたのに」
「実家が商売をしているのでこの時期はとても忙しいんです」
「ああ、貿易商をしていると言っていたわね」
「はい、特にこの時期は貴金属や宝石が売れるので」
「いいなあ、宝石か」
「パティ、ニューイングランドクラムチャウダーを食べたいんですけど
美味しいところありますか?」
※ニューイングランドクラムチャウダーはトマトベースの
マンハッタンクラムチャウダーと違って貝を入れたクリームベースの
チャウダーです
「リーガル・シー・フーズと言うお店が有るけど席が空いているかしら」
「とりあえず行って見ましょう、お店は10軒ありますから」
「行った事あるの?」
「いいえ」
亮は携帯電話でリーガル・シー・フーズに予約の電話を入れた。
「亮、からかっているの?電話番号知っているじゃない」
「ええ、今日の為にボストンのレストランの電話番号を全部覚えてきただけです」
「全部?」
パティは亮の言っている事が理解できなかった。
二人は夜の港が見えるお店に入ってテーブルに座った。
「亮、ありがとう連れてきてくれて」
「いいえ。こっちへ来て3ヶ月たったけど、何処へも行っていなかったんです」
「うふふ、亮は勉強ばかりしているものね」
「ニューヨークで少女誘拐殺人の事件があったの知っていますか?」
「ええ、今朝のニュースで見たわ」
「アメリカは怖いところです。パティも気をつけてください」
「ええ」
亮の意味の分からない言葉にパティ首をかしげた
「実は保護した日本人被害者と友達の通訳をしていたんです」
「本当、もっと詳しく聞かせて」
サスペンスドラマが好きなパティは興味津々だった
「じゃあ」
亮は白尾尚子の名を伏せCDを投げて犯人を捕まえたのは
フレイザー警視として話をした。
「きゃあ、面白い。CD投げ」
「そうですか・・・練習してみようかな」
亮は子供の頃、夏休みは軽井沢の別荘で勉強漬けでだったので
休憩時間にCDをフリスビーのように投げて遊んでいた
「うんうん、亮やってみて」
いつもおとなしい感じのパティは手を叩いて目を輝かせて亮に言った。
「あのう、パティって意外とサスペンス好きなんですね」
「うん、大好きなの」
亮が言うとパティは亮の体をしみじみと見た。
「亮って意外とたくましいのね」
一方パティは料理好きのガリ勉で女性的な
亮が意外と筋肉質でたくましかったので驚いていた。
「そうですか」
亮はそう思われていた事にショックだった。
「私、本当はFBIに入りたかったんだけど父に危険だからと反対されていたの」
「そうだったんですか。じゃあクリミナル・マインドなんか」」
「大好き!スペンサー・リードに亮が似ている」
「ああ、3つの博士号を持っていて1分間で2万語の単語を読む男ですね」
「凄いわね。1分間で出来るのかしら」
「1ページ当り3秒で読むのは不可能ですあれは
ピクチャ・メモリ能力とか直観記憶能力と言うんです。
つまり見た瞬間に脳に録画して後でそれを再生する記憶能力です」
「亮もそのタイプ?」
「いいえ、僕はそんなにすごくありませんよ」
亮とパティは共通の話題で盛り上がり
今までぎこちない関係の二人に
何か暖かいものが生まれてきた。
そして、ポケットに入っているコンドームを握り締めた亮は
使うにはまだ早いのに気がついていた。
「どうしたの?亮」
「いや、パティの家族って暖かいなあと思って」
「ええ、とても」
パティは幸せそうな顔をしていた。
亮はアメリカに来て色々な家族を見て
愛の存在、価値をもっと知りたくなり
周りの人間が自分を慕って家族のような扱いをしてくれるが
それが本心か偽りか、それを証明する方法が有るか悩んだ
「パティはプロテスタントですか?」
「ええ、そうよ。亮の大学もプロテスタントでしょ」
「なるほど大学のチャペルへ行ったことがなかった」
「今度一緒に教会へ行きましょう。今度の日曜日から降臨節よ」
「残念です、日曜日から1週間デビッドの実家の手伝いです」
「そうか。いいお店が出来るといいわね」
「はい」
「私たちも行くわ、みんなで」
「はい、ぜひ」
亮とパティは手をつないでお店を出て
パティの家に送り届け降り際にパティは亮に軽くキスをした。
~~~~~~
「ただいま」
パティは嬉しそうに玄関の戸を開けると
アーロンががっかりした顔をして聞いた。
「パティ、もう帰ったのか」
「うん、食事楽しかったわ」
「それで、亮とはどうなった?」
「何が?」
「キスしたか?」
「何言っているのパパ、亮はそんなに軟派な男じゃないわ」
「うん、分かっているさ」
アーロンはそんな亮のまじめなところが気に入っていた。




