パティ
「アキラ本当にそんな事があるのか?」
学生の一人が亮に聞いた。
「原油が高騰したら危険です」
「どうしてだ?」
「先物取引で原油価格が高騰して儲かるのは産油国じゃない、
儲けているのはマネーゲームをしている連中です。
そして誰が損をするとしたら被害を受けるのは銀行、
銀行は損害を減らすために貸付を止める、
今までローンを借りて生活していた人の消費が止まり、
住宅ローンが払えなくなり、銀行はますます損害が大きくなり銀行が破綻、
証券会社も破綻、そして保険会社へと負の連鎖が続くんです」
「なるほど、それで日本は20年前大不況になったんだね」
「はい、このアメリカもいつそうなるか分りません。充分注意が必要です」
「ありがとう、アキラ・・・」
「アキラ・ダンです」
学生の一人と亮が握手をすると女子学生が声を上げた。
「きゃー」
「あの、図書館爆弾事件を解決した。アキラ・ダン?」
亮はフレイザー警視に口止めされていたが、
学生たちはアキラ・ダンの名前を知っており
女子学生は亮に握手を求めて来た。
「以前からあなたの事が気になっていたんだけど日本人って
あまり笑わないから声かけにくかったの」
「そうですか?」
亮が照れると女子学生が微笑んでいた。
「アキラ、ガンプラ持っているか?」
「はい」
「エヴァンゲリオンは好きか?」
「もちろん」
「ポケモンはナルトは?」
キャンパスを歩く亮に色々な人が声をかけて来たが
アニメオタクが異常に多かった。
「日本はアニメか・・・」
亮は日本の文化の異常な人気に驚いていた。
亮が図書館へ行くとローラが声をかけて来た。
「週末友達の家でパーティをやるんだけど来ない?」
「はい、友達を連れて行っていいですか?
あの時の中国人なんですけど」
「ああ、いいわよ。私の彼紹介するわ」
「ああそうか」
亮が落ち込んでいた。
「大丈夫、出会いは作ってあげるから」
ローラは笑顔で亮に言うと亮はやはりローラと
付き合いをあきらめざる負えなかった。
「どうしたの亮?」
「ローラの友達ってどんな女性かなと思って」
「一人はニューイングランド・ペイトリオッツの
チアリーダー、本屋の店員、貿易会社のOLよ、
それともハーバード大学の女子大生が良かった?」
「いいえ、なんかアメリカが身近に感じます」
「そうでしょう、亮。あなたにはもっとアメリカを知ってもらわなくちゃ」
「はい」
~~~~~~~~
「あなた、亮は上手くやっているかしら?」
團家のリビングで久美と秀樹が話をしていた。
「ああ、あいつの事だ、心配要らないだろう。
意外と金髪の女性の連れてくるかもしれないな」
「そうかしら、また失恋をして帰ってくるかも、うふふ」
「あはは、亮はその所は内気だからな?」
「ええ、亮は運命の人と結ばれるのよ。きっと」
「秋山さんとは別れたし・・・テニスをした弓子さんか?」
秀樹は亮の周りの女性と言えば沙織と二人しか知らなかった。
「うふふ、母親の私は知っているわ、亮の好みの女性」
「あいつは困った事あってもなかなか相談をして来ないからな」
「ええ、いくらでも相談に乗るのに」
「亮は必ず成長して帰ってくるさ」
そこへ、亮から電話がかかってきた。
「お久しぶりです、お父さん」
「元気でやっているか?今お前の話をしていたところだ」
「はい、早速ですがお願いが・・・」
「なんだ?」
「車が欲しいんですけど」
「やっぱり必要かどんな車種が欲しい?」
「日本車のSUVが」
「わかった、すぐに手配する」
「ありがとうございます。これでデートが出来ます」
「おいおい、デートに使うのか」
秀樹は変化した亮に唖然としていた。
~~~~~~~~
パーティの夜、亮はローラに貿易会社に勤めているパトリシアを紹介された。
「パトリシアは貿易会社に勤めているから日本の興味が有るんですって」
パトリシアは決してローラのようなグラマーではなく細身で内気そうで
少女のような小さな花柄のワンピースを着ていた。
「アキラ・ダンです。日本人です」
亮は照れながら自己紹介をするとパトリシアが恥ずかしそうに答えた。
「パトリシア・フォールドです。貿易会社に勤めています」
「そうですか、僕の父も小さな貿易会社を経営しているんですよ」
「本当!何の貿易をしているんですか?」
「家具と宝石、貴金属、ファッション関係です」
「なんか素敵、うちの会社もアンティーク家具をイギリスから輸入しているんです」
「へえ、その家具一度見てみたいなあ」
亮は美宝堂で扱っている家具を何度も見ているのでアンティーク家具に興味があった。
「はい、うちの会社が納品しているお店の方に見に来てください」
「はい」
亮が話をしていると翔記が話しかけた。
「亮、中国のアンティーク家具も輸入しろよ、かなり古くていい物がある」
「なるほど、今度北京に行った時見せてください」
「うん」
翔記はそのままパトリシアと話が弾んで亮は遠慮してその場から離れた。
亮がローラの方を見ると誰かと話している様で彼氏らしき男性は傍にいなかった。
「ローラ彼は?」
「まだ、来ないの」
亮はローラが悲しそうな顔をしたのを見て、亮はその場から離れられなくなってしまった。
「ねえ、パトリシアは?」
「ああ、翔記と気が合うらしくおしゃべりを続けていた」
「せっかく亮に紹介したのに・・・」
「気にしないでください、僕は話が下手だし」
「そうでもないわよ」
「そう言えば車を買ったので、車が納車されたらどこかへドライブへ行きましょう」
「ええっ、どんな車を買ったの?」
「もちろん日本車です」
「うふふ、素敵。乗ってみたい」
そこに、男がドアを開けて入って来た。
「ローラ遅くなって申し訳ない」
男はいきなりローラを抱きしめて見ているのが
恥ずかしくなるくらい長く濃厚なキスをした。
亮どうして良いか分らずその場に立っていると
ローラがキスを止めて亮を紹介した。
「デビッド、彼が私を助けてくれた」
ローラが紹介しようとするとデビッドが亮に握手を求めた。
「アキラ・ダンだね、デビッド・キャンベルだ。よろしく」
「アキラです。よろしく」
亮は大人でたくましいデビッドを見てすっかり気落ちしてしまった。
「デビッドはMITを出てバイオ燃料の研究をしているの」
ローラはデビッドの紹介をした。
「デビッド、バイオ燃料の原料は?」
亮はいきなりデビッドに聞いた。
「とうもろこしだ」
「それは問題があります」
亮がそういうとデビッドは一瞬ムッとした顔で亮に聞いた。
「どうしてだ?」
「穀物を使ったバイオ燃料は世界的に食糧危機を起こす可能性があります。
できたら油性植物を使ったら良いんじゃないですか?」
「どんな植物だ」
「ナンヨウアブラギリ、パームヤシ、ジェトロファとか緑藻とか色々とあるはずです」
「アキラ君はずいぶん詳しいね」
デビッドは亮の話を聞いて急に静かになった。
「ええ、植物に関してはかなり詳しいです」
「えっ?何?植物学?」
「いいえ、漢方薬の研究をしているものですから」
「アキラちょっと話をしよう」
デビッドは亮の肩を抱いて外のベンチへ向おうするとローラが止めた。
「デビッド、その話は後にして!今日はパーティよ」
ローラは大きな声を出して怒っていた。
「あっ、ごめんごめん。亮今度ゆっくり話そう」
デビッドは亮と握手をした。
一人取り残された亮がぼんやりとパーティの出席者を見ていると
パトリシアが亮に声をかけて来た。
「アキラ」
「どうしたの?急にいなくなっちゃって」
「ああ、すみません」




