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グッド・ジョブ エピソード0  作者: 渡夢太郎
三章 アメリカ編
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翔記

亮はまだ女性経験が無いと言えばローラがどんな態度を取るか

考えた。グリーンの目を大きく開いて唖然とするか、大声で笑うか

ひょっとしたら「初めての女になってあげる・・・」と言って

亮のあごをなで誘って来るか、様々な想像が亮の頭の中を駆け巡った。


「ロ、ローラの彼は?」

「バイオテクノロジーの研究所で研究員をしているわ」

「研究員・・・忙しそうですね」

「ええ、だから週のうち1回くらいしか合えないの」

ローラは寂しそうな顔をすると亮は質問した。


「それって少ないんですか?」

「ええ、普通のカップルなら週3回以上会うわ」

「そんなに多いんですか?」

亮の感覚では週に一回でも会えば多い方だと思っていた。

「そうよ。会えばいつも求めあっている」

「えっ?」

亮はそれを聞いて顔を赤らめうつむいた。


ローラが美しい笑顔で微笑む度に日本とアメリカの男女の付き合いの違いを

亮はうらやましく感じた。

「学校が始まって2週間だけど学生たちと話をしたの?」

「いいえ、まだです」

「アメリカ人は友好的だから話しかければ必ず答えてくるわよ。

きっと彼らは日本人の亮に興味津々なはずよ」

確かに亮はすれ違う学生と目が合うと彼らは微笑むのを知っていた。


「早く話をしなさいHiと言って微笑めば話しかけてくるわよ」

「そ、そうなんですか?」

おそらく日本の大学の中でそんなことしたらナンパな男にしか見られないはずで

あっという間に変な男と学校中の噂になるだろう。

「それにハーバード大学は世界中からエリートが来ているから

友達になっておいた方が将来役に立つわよ」

「でも人を利用するのは嫌です」

「ううん、大学はお互い自分の立場、環境の情報を交換し合うのよ。

車や飛行機は一人で作られないし一人で走ったり飛んだり出来ないでしょう」

「はい」

「みんなが協力し合って社会が構築されるのよ」

亮はローラの言葉にショックを受けた。


「ローラの言うとおりです」

「うふふ、偉そうにお説教してごめんなさい。

だってあなた大物になりそうなんだもの」

「そ、そんな事無いですよ」

「ううん、あなたは日本に帰って必ずトップになる」

ローラは亮の手を握りしめた。

亮は自分の生まれも育ちも知らないローラが

自信を持って言ってくれた事が嬉しかった。


亮は酔ったローラをアパートまで送り届けるとローラが優しく囁いた。

「アキラ、友情に国境はないわ。本当の友達を作って、

絶対裏切らない本当の友達を」

亮は再びローラに言われて父秀樹の言葉を思い出した。

『好きなだけ勉強をしろ。勉強をして心に余裕が出来たら

友を探せ、その時本当の友が見つかるはずだ』

「ありがとうローラ、僕がこの大学に来た意味が分って来ました」

「うふふ」

ローラは笑って突然の亮の頬にキスをした。


それは柔らかく温かかった

亮は頭がクラクラして下半身がドクドクとしていた。

「アキラ、蔵書1530万冊のうちの図書館を利用して。

あなたのリクエストにいつでも答えるわ」

「ありがとう。おやすみなさい、ローラ」


ローラの柔らかい唇の感触と口紅の甘い香は

亮の唇にいつまでも残っていた。


亮はローラのアパートから歩きながら、

沙織と歩いた道を図書館で一緒に勉強した

あの時の感覚を思い出し、喉の奥に何か詰まったような

感覚は恋人のいるローラへの恋か?嫉妬か?


それが、亮の頭の中で複雑にうごめいていた。

「ダン、ダン、ダン」

翌日、キャンパスを歩く亮に後ろから大きな声で呼ぶ声が聞こえた

亮が振り返ると男が走って来た。

「劉だよ、あの時助けてもらった劉翔記だ」

「やあ、劉さん」

亮がはにかんでいると劉は亮の手を握った。


「探したよ、学校に聞くと確かに入学はしているんだけど

詳しい事を教えてくれないんだ」

「あはは、そうですか」

「さっそくだけど君に礼がしたいんだ」

「礼なんか入りませんよ、僕は警察の指示で犯人を騙すだけに動いただけですよ」

「いや、違う。あの特殊警棒で男を倒した技は只者ではない。

僕もカンフーを習っているからね、武道には詳しいんだ」


「ふう」

亮は翔記のしつこさに負けて溜息をついた。

「劉さん、じゃあランチをご馳走してください。それでいいです」

「OK、でもランチじゃ失礼だ。親戚がやっているレストランで美味しい

中華料理を食べさせてあげたい。それでいいだろう」

「分りました」

「じゃあ、今夜空けておいてくれ」

「はい」

亮と翔記は電話番号を交換すると互いに授業に向った。


~~~~~~~

「麗華、ダンが見つかった。後の段取りを頼む」

「きゃあ本当。了解」

~~~~~~~

亮が大学のメモリアルホール前のケンブリッジ通りで劉を待っていると

目の前にリムジンが止まって窓が開いた。

「ダンお待たせ」

「はい」

亮はリムジンに乗ると翔記にタキシードを渡された

「申し訳ないが着替えてくれ」

「えっ、そんな所へ行くんですか?」

「悪かった、正装じゃないといけないらしい」

亮は仕方無しに狭い車の中で着替えた。


翔記は蝶ネクタイを自分で締められる亮を

見て育ちのいい日本人だと一目で分った

「劉さんそんな高級な所へ行かなくてもいいのに・・・」

「いや、たまたま父のパーティがあるんだ」

「お父さん?」

「うん、今仕事でボストンに来ているんだ。会って君に礼を言いたいそうだ」

「でも僕なんか」

亮がオドオドしていると翔記が笑って亮の肩を叩いた


~~~~~~~

「歓迎祝典をしていただいて申しわけありません」

劉泰平はウイリアム・ジョーンズに礼を言った。

「とんでもないです、劉さんにはアメリカの地を踏んで

いただくだけで光栄です。これからの中国とアメリカの経済交流発展のために」

「アメリカには中国の商品をいつも買っていただいているだけで」

「いいえ、我々の調査では中国が世界最大の消費国となると言われています」

「あはは、そう願いたい」

「ではそろそろ、ホールへ行きましょう」

ウイリアムは劉泰平を案内した。

~~~~~~~~

パーティ会場の前に到着した亮と翔記を見つけた麗華は翔記に体を付けた。

「兄さん」

「麗華、中に入れるか?」

「うん、大丈夫よ」

麗華は翔記に言うと亮に向って笑顔で挨拶をした。

「この間はありがとうございました」

「いいえ」

亮のそっけない返事にショックを受けた麗華を見た亮は

慌てて取り繕った。


「あのう、麗華さんそのチャイナドレス素敵です」

亮が褒めると麗華は嬉しそうに笑った

「麗華、あいつ好みか?」

翔記が麗華の耳元で囁いた。

「うん、クールで素敵」

「なるほど、確かにクールだ」

翔記は妙に納得していた。


三人はパーティの会場に入るとたくさんのアメリカの上流社会の

人を見てあっけに取られていた。

「ダン」

そこに、亮の肩を叩く人がいた。

亮はドキッとして振り返るとロバート・スミス学部長が立っていた。

「あっ、学部長」

亮が挨拶をした。


「あの時は大変だったね」

「いいえ」

「どうだい、学校に慣れたかな?」

「はあ」

「ところで、学部長どうしてここに?」

「劉翔記さんに招待されました」

亮は翔記を指差すとスミスが気づいた。

「ああ、あの時人質になった学生の劉翔記君だね」

「はい」


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