敦子の友達
「でも・・・手が出ない」
澄子が顔を上げて店員の桑原と言う胸章を見た。
亮は店員に名刺を渡して上司に会い、しばらく話をして
包みを三つ持って澄子の所に戻った。
「澄子さんこれプレゼントです」
「えっ、えっ??」
「うちの会社美宝堂との取引交渉をしていたんです」
「そうか、美宝堂の息子はこんなところまで来て仕事しているんだ」
「ええまあ、最近銀線細工は人気なんです。
黄色人の日本人は金より銀の方が似合うし
好きなんです」
「そうか・・・・そうなんだ」
澄子は亮の言葉に納得した。
「あっ桑原順子さんですか?」
「はい」
「亡くなった佐藤敦子さんのお友達ですよね」
「はい、そうです」
亮は桑原と言う胸章を見て名前と写真を記憶していたので、
頭の中で合致していた。
「すみません、藤敦子さんの件でお聞かせ願えますか?」
「はい」
順子は何があったか分からないでいる時に、
亮は携帯電話番号の書いてある名刺を差し出した。
「仕事が終わりましたらこちらに電話をください」
亮は深々と頭を下げた。
「はい、わかりました。それと能代美紀さんは連絡取れますか?」
「はい、市役所の観光課にいますから連絡は取れます」
「ではぜひ」
「わかりました。仕事が終わったら一緒に・・・」
「ありがとうございます」
亮は何度も頭を下げて車に戻った。
「あっ、お昼どうしますか?」
車に中で澄子に話をした。
「ああ、どうしましょう、お腹空いているかもしれないけど
一度戻った方がいいんじゃないかしら」
「そうか、心配しているかもしれませんね。確認したい事もあるし」
亮たちが敦子の家に戻ると恵子が待っていた。
「何もありませんが、うどんをゆでてあります」
「ありがとうございます」
亮は居間に通されると大皿に盛られた稲庭うどんとけんちん汁とたくさんの
漬物があった。
「わあ、美味しそう」
澄子が声を上げた。
「お姉さん、敦子さんが帰郷すると言ってこない
日がありませんでしたか?」
しばらく考えて恵子は答えた。
「はい、去年の春先帰ると言って帰らない日がありました、
仕事が急に入ったと言っていました」
「その日ですね。流産したの」
「敦子はおろしたんじゃなくて、流産だったんですか」
「はい、敦子さんは帰郷する途中、新幹線の車中様態が悪くなって
秋田総合病院に救急で運ばれていたんです」
「それからしばらく体調を崩していたんですね」
「そのようです」
当時、恵子は敦子が元気の無いのが気になっていた
「それからしばらくしてやっと元気を取りも出して
アメリカに行ったらこんな事になってしまって・・・・」
恵子は涙を浮かべた。
「本当に残念ですね」
敦子がアメリカに行ったのはどん底から必死で這い上がるためか
元気になって新たに出発するためだったのか。どちらにしても
命を奪われる不条理は有った。
「稲庭うどん美味しいいですね」
亮はうどんを口にいっぱい入れて恵子に話しかけた。
「はい、親戚が作っているものですから」
「本当に美味しいです。歯ごたえが有ってとっても美味しいです」
澄子が初めて食べた稲庭うどんを食べてニコニコと笑っていた。
「敦子、家に帰ってこのうどんを食べるのを楽しみしていたんです」
「INANIWA UDON」
亮はキーワードを頭に浮かべた。
亮と澄子は食事を終えて敦子の遺品の整理をしていると
祥子がやって来た。
「亮兄ちゃん、こんにちは」
「ああ、早かったね」
「お兄ちゃんが来ると言うので部活休んじゃった」
「あれ?何ぶだっけ?」
「パソコン部」
「そうか、まあいいか」
「うん、三年だし」
「勉強教わりたいんだって?」
「うん、わからない所が結構ある」
「OK、僕も仕事があるから・・・英語で僕に話しかけてくれる。
僕は英語で答えるからヒヤリングの勉強になるでしょう」
「わかった」
祥子は亮に名前、年齢、身長、仕事、どこに住んでいるか簡単な英語で質問を
始めていった。それは丁寧でわかりやすかった」
「しばらくやり取りをすると、今度は祥子に質問を始めていった」
「最後に敦子の好きなものと聞くと」
祥子は「白神山地と秋田犬」と答えた。
「なるほど、SHIRAKAMI AKITAINU」
亮は二つを思い浮かべた。
そこへ敦子の母、洋子が戻って来て両手を付いて丁寧にあいさつをした。
恵子は母親の洋子に小声で敦子の流産の話をした。
洋子は言いようのない複雑な顔をしていた。
そこへ亮の元に桑原順子から仕事が終わったと言う電話があって駅から少し離れた
喫茶店で会う事になった。
「お母さん、ご家族の血液型は?」
「私はA型です。亡くなった夫もA型です」
「恵子さんも?」
亮が恵子に向かって聞くと祥子が答えた。
「そうだよ。お父さんもお母さんも、兄弟みんなみんなA型」
祥子が答えた。
「そうか」
「何が?」
相手がO型でもA型の子供が生まれる可能性がかなり高い。
つまり父親の血液型がO型であっても可能性が高いために
父親は櫨場俊夫の可能性が浮上した。
「どうしたんですか?團さん、ニヤニヤ笑って」
「いいえ、なんでもありません」
「お母さん、今から敦子さんの友達だった桑原順子、能代美紀
さんと会ってきます」
「お戻りになりますか、この前のように夕食をみんなで一緒にしませんか?」
洋子は恵子の家族たちと大勢で食事をするのを楽しみにしていた。
「はい、わかりました」
亮は18時に喫茶トキへ行った。
桑原順子、能代美紀はすでに席についており
亮の姿を見つけると頭を下げた。
能代美紀は亮の顔を見ると顔を赤らめた。
色白の秋田美人はそれが顕著に見えた。
「お待たせしました。團亮と申します」
「星野澄子です」
二人が名刺を渡すとすぐに敦子の話を始めた。
「お二人とも敦子さんとは仲が良かったみたいですね」
「はい、大親友です」
「そうですか?敦子さんの好きなもの何だか覚えていますか?」
そう言うと二人は首を傾げた。




