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グッド・ジョブ エピソード0  作者: 渡夢太郎
五章 ナチュラル・グリル
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流産

「お茶の用意をしてきます」

「すみません」

「あっと、そうだ祥子が勉強を教わりたいと

会うのを楽しみにしています」

「はい、わかりました」

恵子が部屋を出ると澄子が耳元で囁いた。


「私はまだ警戒されているようですね」

「仕方ないですよ。ゴシップネタの餌食にされたら

親戚中に迷惑が掛かります。

亮は敦子のノートパソコンに西暦と昭和の誕生日を打ち込んだ。

「やはり誕生日じゃない」

亮は3回間違うとロックがかかるので手を休めた。

「この中からヒントを探しましょう」

亮は卒業アルバムを澄子に渡した。

「はい」


高校時代の卒業アルバムで見る集合写真は

秋田美人集合写真だった。

その中でも敦子は際立って輝いていた。

澄子は週刊誌に乗せた時の為にアルバムの敦子の

写真を一眼レフカメラで撮っていた。

亮はアルバムの中にある数字、関連する

アルファベットを記憶していった。


「團さん、メモしないんですか?」

「大丈夫です。これくらいの数字」

「えっ?」

亮にとって顔写真と生年月日、住所、

電話番号などは問題なく記憶できた。

「敦子さんの交友関係はこの子とこの子とこの子か」

亮はアルバムに映っている敦子の女友達三人を見つけた。

「桑原順子、能代美紀、久保田早苗さんに

連絡を取ってみましょうか?」

亮が澄子と話すと恵子がお茶を持ってきた。


「今話をしていた順子ちゃんと美紀ちゃんは

地元にいて早苗ちゃんは東京みたいですよ」

「ああ、そうですか。会ってみたいですね

パスワードが誕生日じゃないみたいなので」

「まあ、そんなに大事なもの入っていたのかしら」

恵子は首を傾げた。


「携帯もロックかかっているし困ったわね」

恵子は電話のある居間に行って電話帳を持ってきた。

「これが、二人の電話番号です」

恵子は順子と美紀の電話番号を見せた。

「澄子さん、電話してください。男だと怪しまれるので」

「あっ、そうか!」

澄子は2件の家に自分の名を告げ丁寧に話をした。

「團さん、今仕事に行っているので帰ったら

電話をくれるように伝えました」

「久保田早苗さんは二人に聞けばわかりますね」

「はい、そうですね」

「ありがとうございます。夜まで待たなくちゃダメかな」


亮は敦子のアパートから帰って来た段ボールを見た。

段ボールの脇には中身を黒いマジックで書いてあった。

「本、ノート書類、衣類、下着」

「スーツ類はしわになるので洋服ダンスに入れてあります」

「ああ、英語の本が多いですね」

亮は敦子が読書家で勉強の為に分厚い英語の小説を読んでいた。

「料理の本、あっベビー服編み物」

澄子がそれを見つけた。

「赤ちゃん産むつもりだったみたいですね」

亮が言うと澄子は敦子の気持ちがわかるような

気がして悲しそうな顔をした。

「ええ、そうすると堕胎じゃなくて流産かしら」

「そうですね。本人が産むつもりだったようですね」

流産なら森が産婦人科を調べても手掛かりがつかめなかったのは当然だった

のかもしれなかった。

敦子の姉恵子もそれを見て口に手を当て悲しそうな顔をしていた。

「お姉さん、この辺りの産婦人科は?」

「はい、秋田総合病院と私の子供たちが生まれた黒田産婦人科です」

「そうですか。黒田産婦人科はお姉さんの関係で行かないと思います」


亮は東大薬学部の恩師下村教授に電話を掛けた。

「先生、お願いがあるんですけど」

「どうした?秋田総合病院の産婦人科を紹介して欲しいんですけど」

「えっ、まさか女性をはらませたんじゃないだろうな」

「いいえ、今ボストン警察の手伝いで秋田に来ているんです」

「良くわからんけど、秋田総合病院の院長に連絡しておくから行きなさい」


「ありがとうございます」

「時間があったら研究室に来てくれないか。後輩たちが喜ぶぞ」

「はい、わかりました。東京に戻ったら秋田の銘酒を持って行きます。

それと奥様に銀線細工のブローチでも」

「銀泉細工?」

「はい、銀の針金で加工した飾り物です」

「それはありがたい、待っているぞ」


「澄子さん。秋田総合病院へ行きましょう」

「大丈夫なんですか?」

「はい、大学の教授に頼みました」

亮は恵子にしばらく出かける事を伝え、駅近くの秋田総合病院へ向かった。

病院の受付に伝えると下村教授が何を言ったか知らないが院長自ら受付に

来た。


「團さんですか?院長の前田です」

「初めまして團亮です」

「さあ、院長室へまいりましょう」

「はい」

亮たち二人が院長室に通され応接室に通されると

前田は応接椅子に座った。

「下村教授には当院には優秀な医師を紹介していただいて

大変お世話になっているんです」

医師不足に悩んでいる地方病院には医師を紹介してもらえるのは

大変ありがたい人脈だった。


亮は改めて澄子を紹介した。

「週刊誌の記者さん、当院に問題でも?」

「いいえ、別件です」

「突然で申し訳ありませんが・・・」

亮は東大の下村教授のもとで学んでいた事、

ボストン警察で捜査協力していた事、

そして佐藤敦子の殺人捜査で来たことを伝えた。

「なるほど・・・しかし守秘義務がありますから」

「そうですね。無理言って申し訳ありません」

「ちょっと待ってください」

前田が席を立つとしばらく経って戻って来た。

「團さん、大学では教授連中も舌を巻くほど

漢方薬研究では優秀だったそうですね」

「はあ、それなりに・・・」

「それではこの患者さんにはどのような漢方薬を処方したらいいでしょうか?」

前田は数枚の名前の隠してあるカルテを出した。


「わかりました」

亮が受け取った肝臓、腎臓、心臓に疾患を持つ患者の物だった。

「ん?これは?」

亮が見たのは救急で運ばれ子宮から出血した女性のカルテだった。

亮はそのカルテを読みそれを記憶しそれぞれ処方箋を書いて提出した。


「ほう、私の専門は循環器内科でぜひ参考させてください」

「こちらこそありがとうございました。いい勉強させていただきました」

亮は立ち上がり礼を言った。

「團さん、正義の為に頑張ってください」

前田医院長は拳を握った。

「はい」

応接室を出ると澄子が小さな声で聴いた。


「どうしたの?」

「内科以外のカルテを見せてもらいました。

 どうやら電車の中で倒れ救急搬送されて

子宮から出血して最終的には胎盤を摘出したみたいですね」

「それは敦子さん?」

「こちらへの帰郷した時、新幹線内で流産したようです」

「それで家族が知らなかったんですね」


「ええ。おそらく」

「じゃあ父親を探さないと」

「父親はOかA型です。敦子さんの血液型がA型、胎児の血液型もA型だったので」

「それだけわかればすごいじゃないですか」

「そうですね。後は家族の血液型が分かればもっと絞り込めます」

亮は秋田総合病院を紹介してくれた下村教授に心から感謝した。


「澄子さん、銀線細工のお店に寄りますね」

亮は下村教授と話をしていた銀線細工の店に寄った。

「まあ、綺麗」

澄子は銀線細工のブローチを見て声を上げた。

「この唐草一葉を見せてください」

亮はショーケースからブローチを取ってもらってみていた。

「いいなあ、細い銀線をより合わせて細工をしているんです。素晴らしい!」

亮は澄子に見せた。


澄子がケースを覗いていると店員が声をかけた。

「何かお気に入りの物見つかりましたか?」

「はい、でも・・・・45000円となるとかなり高価ね」

澄子が指をさした。

「ブローチだと手が込んでいるので高いですけど、ペンダントなら

 2万円台でありますけど」


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