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グッド・ジョブ エピソード0  作者: 渡夢太郎
五章 ナチュラル・グリル
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美幸

「わかりました、じゃあ付き合っている人はいません」

「うふふ、それ以外の関係の女性いるの?」

「ええ」

亮は一緒に仕事をして家族ぐるみの

付き合いをしているパティの話をした。

「それって・・・」

美幸が話をしている時、ジェニファーから

電話がかかって来て

部屋の外に出た。


「亮、敦子が泊まったバックミニスター

スイートホテルの監視カメラに

 長身で金髪の男性が映っていたわ。

顔がはっきり映っていなかったので

顔認証はできなかったけど」

「わかりました。ありがとうございます」

「ところで、今何をやっているの?」

「カラオケに来ています」

「おお、カラオケ私も行きたい」

「はい、日本に来たら連れていきます」

「はい、楽しみにしています」


亮が電話を切って部屋に入ると

美幸はすでに歌を歌い始めていた。

その間亮は、ビリージョエル「ピアノマン」

歌を選び美幸に続いて歌いだした。

「うまい!」

美幸は亮のあまりの歌のうまさに声を上げた。

亮は知らない曲でも一度曲を聴くだけで歌う事が出来、

美幸は面白がって何曲も亮に歌を歌わせた。

「本当に歌上手ですね」


「いいえ、カラオケは歌が歌いやすいように

リードのメロディが入っているんですよ。

 カラオケの曲を作っている人の

技術が素晴らしいいと思いますよ」

「えっ?そうなんですか?」

「カラオケがうまいからと言って

プロにはなかなか慣れないと思います」

白尾尚子と一緒に歌のレッスンを

受けた亮は音楽にも詳しかった。


「ねえねえ、ボーリングもやろう」

美幸は亮の手を引いた。

「ボーリングですか?」

亮は嫌な顔をした。

「ボーリングは苦手?」

「そうじゃないんですけど・・・」

ゲームを始めると亮は何度か

ガターにボールを落としていた。

「さすがの團さんも・・・」


美幸が言った5フレーム目亮は突然

ストライクを出しストライクを連発した。

「すごい!どうしたの?」

「レーンとボールに慣れていなかったもので、

もう大丈夫です」

それから亮は200超えのゲームを続けた。


「團さんプロみたい」

「いいえ。アメリカはボーリングの

発祥の地ですから、みんな上手ですよ。

 友達が集まって小さな大会をやったりボーリング場で

誕生パーティをやったりしています。

特に僕が済んでいるボストンは寒いし雪が降るので

冬のスポーツとして人気が有って金曜日や土曜日の夜は

オールナイトでしかも満員です」


「なんか面白そう、ボーリング場で誕生会なんて」

美幸は亮といるととても楽しかった。

「ちょうどいい時間ですね」

亮は時計を見て会計を済まして外へ出た。

「ねえ、どうして櫨場さんに会いたいの?」

「どうしても確認したい事があるんです」

「そうか・・・うたげに着いたら

友達の平野紗英を紹介するから後は 

 上手く話してください」

美幸は詳しい内容を教えてくれない亮に不審に思った。

「はい、ありがとうございます」


亮たちが17時50分にうたげに着くと平野紗英がいて

美幸は亮に紹介した。

「團亮です」

亮は美幸に見せなかったDUN製薬の名刺を渡した。

「平野紗英です」

「お願いしたい事がありまして」

「なんでしょうか?」

「櫨場さんとお話がしたいんですけど」

「製薬会社の人が何の話ですか?」

紗英はDUN製薬の名刺持った亮を不振に思った。


「あはは、怪しく思えますよね。僕は今製薬会社に

勤めていますが、今ハーバード大学に

 留学中でMITで健康科学の単位を取っています。

運動工学のデータ収集のためにインタビューをしたいのですが?

それにお父さんのと櫨場俊夫さんとは知り合いです」

亮はそう言って櫨場俊夫の名刺を見せた。


「わかりました。櫨場君に伝えますが今から

祝勝会があるので後日になると思いますが」

「はい、結構です」

しばらくすると紗英は櫨場直人を連れてきた。

櫨場直人は身長187cm、ジャンプ力95cm、

スパイクの最高到達点3m60cmと言う日本の

エースアタッカーで、その容姿はアジア人の風貌を残しながら

金髪のロン毛は野性的で、

見る者を引き寄せるフェロモンを発していた。

「初めまして、團亮と申します」

亮は深々と頭を下げ名刺を渡した。


「櫨場直人です。どのようなお話ですか?」

「実はボストンで亡くなった佐藤敦子さんの事でお聞きしたい事が、

先日その件でお父様とお会いしました」

「ああ、そうですか。彼女は気の毒な事をしました。

申し訳ないですが今から祝賀会がありますので」

直人は亮の前から逃げるように立ち去ろうとしていた。


「彼女、秋田訛りで苦労していたんです。

東京で一生懸命生きていたんです。

 一人ぼっちで・・・」

その言葉を聞いて直人は足を止め戻って来た。

「明日、9時に面影橋駅に来てくれますか?」

「はい、わかりました」


亮が直人と別れると美幸が待っていた。

「何か複雑な事情があるみたいですね」

「ええ、とても複雑でまるでミステリー」

「私にお手伝いできる事は無い?」

「ありがとうございます。櫨場さんと会える

段取りをしていただいたので十分です。

 本当にありがとうございます」

「名刺持っていらっしゃったんですか?」

美幸は直人に名刺を渡すところを見ていた。

「ああ、ばれましたか」

亮はDUN製薬の名刺を美幸に渡した。


「どうして?就活は嘘だったの?」

「すみません、どうしても広告代理店の中を覗きかったもので、

一人で会社案内はお願いできないものですから」

亮はニコニコ笑って飲みながらしばらく雑談すると

亮は時計を見て伝票を持って立とうとした。

「もう帰るんですか?」

美幸は亮の様子に気付いて聞いた。


「はい門限が9時なので。野島さん良かったら

このまま飲んでいてください」

「門限9時ですか?早くない?」

「はい、子供の頃から10時には机に座る習慣があるので」

「勉強ですか?」

「もちろんです。早く帰国した分だけ大学の

レポートを書かなくてはならないので

 野島さんは?」

「私は卒論だけです」

「他の授業は?」

「取っていませんけど・・・」

「えっ?」

亮は授業料が勿体ないと思って声を上げた。


「4年になると就活があるので授業を取れないんですよ」

「就職が決まると暇じゃないですか?」

「はい、内定が出るとみんな夏に過ぎにやる事が無いようです」

「そうか・・・」

亮は企業が青田買いを避けるために就活解禁を作って、

学生が一斉に就活に走る

日本の労働システムが根本的に間違っている様な気がしてならなかった。

元々一流企業が一流大学を出ている優秀な学生を確保する為の

出来レースであって、二流三流大学の学生はそれに乗らされているだけで

実に迷惑な話かもしれない。


「團さん、内定が出たらこの前のみんなで遊びましょう」

「そうですね。でも今度は男一人はお断ります」

「はい!」

亮と野島は店の前で握手をして別れた。

亮は勉強ばかりしていた堅物だったが

「みんなで遊びましょう」という美幸の言葉に


何故かワクワクした。そして握手した美幸の

手のぬくもりがいつまでも取れなかった。


翌朝8時50分、亮が都電面影橋駅で待っているとトレーニングウエアに

青いニット帽をかぶった櫨場直人が西早稲田の方から歩いてきた。

「おはようございます」

亮が挨拶をすると不機嫌そうな顔をした櫨場直人がピンク色の都電を指さした。


「乗りましょう」

「はい」

都電荒川線は早稲田から三ノ輪橋までの30停留所

170円ICカード165円

の乗り物である。

「どうもすみません」

亮が直人の隣に座り改めて言った。

「いいえ、昨日父と話しました。團さんはとても

まじめな人だと言っていました」

「はい」


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