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グッド・ジョブ エピソード0  作者: 渡夢太郎
五章 ナチュラル・グリル
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デート

妙子から積極的に誘って来ると亮は背筋を

伸ばしてうなずいた。

「はい,良いですよ」

亮は妙子がなぜ佐藤敦子をなぜ見たと言ったか?

なぜ見たと言われたかもう一度

はっきりと聞きたかった。

「どこか予約しているの?」

「いいえ、予定になかったのでいいお店が有れば」

「そう・・・」

妙子はお酒が好きらしく渋谷東急本店近くの焼き鳥屋に入った。


「良く来るんですか?この店」

「ええ、時々」

妙子はメニューをさっと見て注文を始めた。

「焼き鳥屋さんは来ないんですか?」

「そうですね。飲み友達がいないもので」

「えっ、男の友達もいないの?」

「学生時代、忙しくて友達を作る暇が無かったかもしれません」

妙子はニューヨークで女性に囲まれて食事していたのに

、日本には友達がいないと言うのが不思議だった。

「学生時代忙しいって信じられない」

妙子は学生時代こそ青春を楽しむものと思っていた。


「そうなんですか?」

亮は、学生の本分は勉強であり時間がある事が不思議でならなかった。

東大生は付き合いが悪いとか変人扱いされるのは、

中学高校時代、黙々と勉強し合格して東大に入学しても

気を緩めることなく上級公務員試験や司法試験を目指す

為に猛勉強する。

当然友達と話をしたり、お酒を飲んだりする時間は多くない。

亮の場合はそれに加え鍼灸師の勉強をしていたので、

自由な時間は限られていた。

妙子は酔うに従って饒舌になりいつの間にか大阪弁で話を

していた。


高校まで大阪で育ち東京のファッション系大学に入学し、

業界の軟弱な男性を見ている反動で

スポーツ系の男性が好きになり、野球とバレーボールの観戦に

行くことが多いと聞いた。

「大学バレーボールの決勝戦のチケット取るの大変だったじゃないですか?」

「うふふ、コネがあるから大丈夫」

微笑んだ妙子は思わせぶりな反応だった。

「一緒に行く人いたんじゃないですか?」

「ううん、一緒に行く予定だった女の子が突然キャンセル

してきたのでチケットが無駄にならなくてよかった」

酔ってきた妙子は亮に体を寄せてきた。

「すみません、ボストンの件なんですけど・・・・」

亮は頃合いを見て妙子に聞いた。


「なに?私がニック・リードに頼まれた件?」

「そうです」

「私と付き合ってくれるなら話しても良いよ」

妙子は亮に体を寄せてきた。

女性との関係のレベルがわからない亮は付き合う

意味をよく理解していなかった。

一夜限りの限りの関係か?

ずっと関係を続けるのかそれとも結婚を前提に

交際するのか不明瞭だった。

「すみません、付き合うってどのレベルですか」

「女の私に言わせる気」

「あっ、すみません。でもまだ知り合ったばかりだし・・・」

亮は効果があるかどうか秋山良子との関係を話した。


「そうか・・・・。それがトラウマなんだね。

多分私は裏切らないと思う」

「もう少し時間をください。アメリカに帰るまでに

時間もあるしまたアメリカに来た時

 ボストンでもニューヨークでも案内できますよ」

「私が好みじゃない?」

「とんでもない、綺麗だしそれに素晴らしい

仕事もしているし尊敬しています」

「ありがとう、デザインの方は子供服や

小物ばかりでまだメインの方はできないけど

 頑張ってみる」

「美宝堂のスタジオDのチーフデザイナーはフランス人なので

こちらにいませんけど、今度美宝堂に来て姉に会ってください」

「ありがとう・・・実はねここだけの話、ボストンでロバートに会ったの」

「ロバートってあの?」


「そう、櫨場直人」

「いつ、どこで?」

「私がニューヨークへ行く2日前、ボストン

美術館の前で。金髪で外人顔していたから

 場に染まっていたけど、

私が気付いて声を掛けたら驚いていた」

「うんうん、それで?」

「プライベートだから内緒にしてくれって言われて」

「それで今日のチケット取れたんですね」

「ええ、住所を教えたらチケットを送って来たの」

「それで佐藤敦子さんを見かけたと言うのは?

それも頼まれたんですか?」

「いいえ」


「先日ニック・リードに佐藤敦子さんを見たと

頼まれた言ったのは何故ですか?」

「私が佐藤敦子さんを見たと言えば偶然とは

言えボストンにいたロバートに

疑いがかかる事は無いと思ったからです」

妙子はいわゆる捜査妨害で有ったが、

もし亮が居なければボストン警察は永遠にロバートこと

櫨場直人の存在を知ることはなかっただろう。

「じゃあ、本当はロバートのファンだったんですね」

「はい、木村健吾さんのファンは嘘です」

妙子はだんだん正直になって来た。


犯人は敦子を殺し遺体を公園に全裸で葬った。

犯人はそんなに敦子を憎んでいたのだろうか?

敦子誰の子を妊娠したのだろうか?

扼殺の痕がバレーボールの選手の可能性があったとしても

それがロバートだったのだろうか?

亮は真相を知るに従って犯人像が崩れてきた。

多くの事実から結論を出していく亮の分析能力は優れているが

人の心を察したり、人の心の悪の部分を見出したりする事が出来なかった。


「まだ、探偵は無理かも・・・」

亮は独り言を言った。

亮と妙子は腕を組んで渋谷ラブホテル街の円山町を歩いた。

「ねえ、ここのホテル入ったことある?」

「いいえ。ラブホテルはまだ・・・」

亮はまだ童貞と言えなかった。

「そうか。お金持ちはラブホテルなんか行かないよね」

「まあ、そうですね。あはは。

ちなみにアメリカにはラブホテルがありませんよ」

「本当!じゃあどこでやるの?」

「お互いの部屋が普通みたいですよ」

「ただ日本の安アパートじゃ無理かもね」

「そうですね」

妙子はグイグイと亮の腕を引きホテルの裏側で亮にキスをした。

「これが私の気持ち」

「は、はい」

亮は呆然として立っていた。


亮は妙子と渋谷で別れ山手線に乗ると

情報を得るためといえ妙子をその気にさせている事に罪悪感を持っていて

窓に映る自分の顔を見ると目を背きたくなった。


翌日、12時に美幸と高田馬場駅会うと亮は深々と頭を下げ

駅前のファミレスに入った。

「すみません、こんなところで」

「いいえ、高田馬場はラーメン屋さんと

とんかつ屋さんと定食屋さんばかりだから

 ファミレスで大丈夫です」

「早速ですが、櫨場直人さんと会いたいんですけど・・・」

「はい、そんなことだろ思って調べてきました。

今夜優勝祝賀会が駅前の『うたげ』で

6時からやるそうです」

「ずいぶん詳しいですね」


「私の同級生が元マネージャーだったので、

その時紹介してもらったら如何ですか?

 私も一緒に行きますから」

「ありがとうございます」

亮は立ち上がって頭を下げた。


「じゃあ、6時まで時間がありますね。どうします?」

亮は時計を見て確認した。

「カラオケかボーリングがいい」

美幸は無邪気に笑った。

「カラオケでいいですけど僕あまり歌知りませんよ」

「良いよ。行きましょう」

亮はBIGBOXのカラオケルームに入った。

亮がコントローラーで歌えそうな曲を選んでいると

美幸は真剣な面持ちで話し始めた。


「團さん、今付き合っている人いるんですか?」

「すみません。そもそも付き合うってどういう事を言うんですか?」

亮は美幸にも疑問をぶつけた。

「私の認識は一緒にいる時間が長くて、両思いになって、

お互いに付き合おうと言った時かな、

 決してエッチな関係じゃないと思う」

妙子と美幸では環境も年齢も違うが付き合うの認識もかなり違っていた。


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