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グッド・ジョブ エピソード0  作者: 渡夢太郎
五章 ナチュラル・グリル
105/132

試合

亮は帰り道、櫨場の息子の事を想像していた。

年齢が20歳ごろ、75%が白人で欧米人顔している、

比較的日本語が下手、その男性が佐藤敦子とどこまで親しくて、

敦子の情報をどれだけ持っているか知りたかった。


亮は翌日の土曜日、美宝堂のドアボーイをしながら

野島真理子からの連絡を待ったが、

電話は鳴らなかった。

そこへ、星野と生田が黒いスーツを着た

亮に照れながらドアを開けてもらっていた。

「いらっしゃいませ。もし、商品の事で

分からなかったらなんでも言ってください」

亮が星野に声をかけると早速星野がやって来た。


「すみません、父の日のプレゼントを買いたいんですけど、

予算は一万円で良いものありますか?」

「大丈夫です。確かに輸入ブランドは商品代、

送料、現地消費税+輸入関税がかかって

 来るのでかなり高くなります。

良い商品を考えると日本の職人さんが作っている

 商品があります。ブランドにこだわらないなら

たくさん良い物があります。そんな商品も

 当店は扱っているんです」

「本当ですか?」


「はい、男性はネクタイがいくら有ってもいいので

喜ぶと思いますよ。財布も2年に一度は変えた方が、

金運が上がると言われています」

「わあ、私もう5年も使っている!だから金運が無いんだ」

星野は恥ずかしそうに笑った。


「お父様の財布、くたびれているようなら

プレゼントにいかがですか?

 男性はなかなか自分で財布を変えることが無いですから」

「わかりました。ありがとうございます」

亮は星野と話しながら父親のプレゼントを決めた。


「すみません、私のようなスタイルの

女性が着る服ってありますか?」

「当店では色々なサイズの商品を用意しております。

販売員はカラーコーディネート、

ファッションコーディネート講習

を受けておりますのでお似合いになる

服を用意できるかと思います」

「わかりました。こんど友達を連れて来て良いですか?」

「はい、喜んで」

亮は深々と頭を下げて星野を見送った。


「亮、昨日はずいぶん食事代を使ったようだな」

亮は家で秀樹に聞かれた。

「はい、アルバイトで返します」

「それは良いんだが。女性五人と

食事とはずいぶん持てているじゃないか」

「あはは、ちょっとした情報収集です」

「まったく、何をやっている事やら」

秀樹は亮の行動が全く想像できなかったが、

確実に何かを残す亮を信じていた。


「そういえば、昨日女子大生から美宝堂は

敷居が高くて入りにくいと言われました。

 お父さんが学生は貧しいから

客にならないと言えばそれで良いと思いますが、

もしも女子大生が予備軍として来て欲しいのなら僕は考えます」

「うーん。敷居が高く見えるのか?」

「どうやら、そのようです」

「亮、改善してくれ」


「了解です。うまく行ったら食事代と相殺でお願いします」

「わかった、頼む!」

その夜、星野が書いた記事が次々にツイートされていった。


翌日の日曜日、12時に原宿駅に鈴木妙子が

水色のワンピースを着てやってきた。

それは、ブリリアンショーの店頭に飾ってあったそれだった。 

「こんにちは」

「こんにちは、では軽く食事しましょう。昨日何を食べました?」

「朝はパンで昼はパスタで夜は会社の人達と飲みに行きました」

亮は駅前の中華料理店に入った。


「予約していた團です」

「お待ち申し上げていました」

「ランチなのに予約するんですか?」

妙子は不思議そうな顔をしていた。

「はい、予約できるものなら予約した方が

時間の無駄になりませんよね」

「それはそうだけど・・・何が食べたいかその時に

ならないとわからないんじゃないですか?」

「そうですね。でも昨日の鈴木さんの昨日の

食事なら中華料理なら大丈夫ですね」

「はい」

亮の分析による行動は人によっては

嫌味に取られかねなかった。


「もし私が昨日中華料理を食べたら

どうするつもりだったんですか?」

「それならさっぱりしたエビのサラダ、XO醤のイカ炒め、

鶏肉バンバンジーにするつもりでした」

「わっ、美味しそう」

妙子は亮の絶妙な段取りに好意を寄せた。


食事を終えて代々木第一体育館に行くと

入場を待つ客が並んでいた。

「けっこう並んでいるんですね」

「ええ、今日もチケット完売だそうよ」

「代々木体育館はガールズコレクション以来です。あはは」


代々木第一体育館は誕生して約50年1964年の

東京オリンピック時はプールとして

のちにアリーナとして使われる用になった。

スタンド席は急こう配で20席上から物を落としたら

一番前まで滑り落ちてしまう

悪評がある。


亮が見たのは早大と中大で優勝を争うチームの試合だった。

レベルの高い大学同士の戦いは均衡していた。

早大の金髪のアタッカーロバートの

スパイクは鋭く床に突き刺さっていた。

その度ごとに若い女性のファンの声援は上がっていった。

「ねね、すごいでしょうロバート」

妙子が亮の腕を叩いた。


「はい、すごいですね。パワーも跳躍力も」

「うんうん、それにイケメン」

「あれ?鈴木さん木村健吾のファンじゃなかった?」

「うふふ、今日はロバートのファンよ」

早大はフルセットの上、中大に勝った。

体育館から観客が帰る中、野島から電話がかかって来た。


「團さん、わかりました」

「はい」

「櫨場さんいました。早大の男子バレーの

選手のロバートの本名がハゼバです」

「本当ですか?」

「はい、櫨場直人です」

「ハゼバナオトですね」

「はい、お父さんが櫨場俊夫、お母さんが

アンジェリカ・エレーンさんです」


「ありがとうございます。お礼は後程」

「お礼は良いですからまた会ってください」

「はい真理子さん、また」

亮は電話を切ると妙子の手を両手で握った。

「ロバートの本名がわかりました」

「櫨場直人でしょう」

「知っていたんですか?」

亮は唖然としていた。


「ファンはみんな知っていると思います。

お父さんはハーフでお母さんはアメリカ人です」

「はあ、そうです」

「ロバートの金髪は本物なんですって」

逆に亮は妙子から新情報を聞いてしまい

どうしても直人に会いたくなってしまった。


「鈴木さん、出待ちしたらロバートに会えますかね」

「うふふ、無理に決まっているわ。

せいぜい手を振ってくれるだけです。

「ですよね」

亮はロバートこと櫨場直人と会う手段がない事に困惑していた。

サスペンスドラマでは簡単に人と会って話が出来るが、

現実は会う方法もその手段も方法も難しい物である。

「やっぱり、そっちか・・・」

亮は妙子と歩きながら真理子に電話を掛けた。


「すみません、折り入って相談があります。

明日お昼ごろ会えませんか?」

「良いですよ。面接も無いし授業もありませんから」

「では、どこで会えますか?」

「ええと、私の家のそばではまずいし・・・新宿でどうですか?」

「砂町ではまずいですか?」

亮は砂町商店街で買い物をするつもりでいたので

少なからずショックを受けていた。


「ええ、近所の目がうるさいんです」

下町は近所付き合いが良いのだが、

例えば近所の娘が男と歩いていると8

あっという間に噂が伝わって欠点がある。

「なるほど、良いようでめんどうくさいですね。

では明日、12時に新宿東口でお待ちしています」

亮が電話を切ると妙子が亮の腕に手を回した。


「誰?」

「早大の人です」

「彼女候補?」

「いいえ」

「ねえ、このまま渋谷に行って食事しない?」


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