第六フロアは未確定について 〜 天魔嗤う 〜
【雨宮家】
時は少し遡る。
シノブが【EXA:天門の鍵】によって参戦を果たして少し経った頃、久根はゲンこと剣持源一郎は情報を確認していた。
中でも目についたのは『L・A+』なるユーザーがまとめたサイト。全てのプレイヤーが経験したであろうクエストや手に入れたアイテムや【スキル】がプレイヤー別に仕切られたファイル。
情報の多さや正確さから運営が管理しているすら囁かれるほど。
「『暁月』や『夜桜』のことまで細かく書いているのだな」
本人曰くパソコンの類は苦手と言っていた剣持だが、久根の教えもあってようやく検索できるレベルに達している。
(と言ってもカチカチクリックしているだけなのよね)
目的の項目に至るまで癖になっているようにカチカチを繰り返している。
久根も『ゲン』というプレイヤーについての項目を調べて、いくつか発覚したことがあった。
剣持源一郎。流浪の剣道家として大会に参加し、圧倒的な実力で勝ち進むものの、狙ったように入賞する前に姿を消してしまうため
記録に残さないが、見るものの記憶に刻み込む流麗な剣技から奇しくも《影狼》と持て囃された人物。
《エンペラーオンライン》でも頭角を現し、あの《魔王》にすら勝利した経験を持つ彼が託したソラの度量が伺える。
「源一郎さん、変なとこ押さないようにね。高額請求とか怪しいサイトに誘導されて大変だから」
「さすがにそれぐらいの知識はある。それに今更呼び方を変えられてもむず痒い。ゲンでいいぞ」
「分かったわ」
「おっ、」
「・・・何かした?」
バツが悪そうに黙り込む剣持の画面を覗き込むと、画面が真っ白に染まっていることに首を傾げる久根。
変なページに飛んだか?と思いマウスを奪い取る。
「何もないじゃな、」
言い終える寸前、クリックしたままカーソルが移動すると隠れていた文字が出現する。
「なに、これ、」
隠しページとも言えるそこには扉のアイコンと文字があった。
【リトライチケット】。
それがどういう意味をしているのか、なぜいま出現したのかは分からない。だが久根は直感していた。これは自分が使うべきものなのだと。
迷うことなくクリックすると、プレイヤー名とマップが表示され任意の場所へのログインができることが示唆されていた。
第6フロア。
偶然とは思えぬア《BOSS》と同じ名を冠したへ挑むべく呼吸を整える。
彼女のHPは1。
かすり傷ですら死に直結する身で、異次元の闘いへ身を投じる。
「行ってくるわね」
「あぁ。任せたぞ」




