合流とつかの間の我が家
満月まであと5日
荷造りを終え明日出発となった日の午後。
「まあウカイルさん達、ギリギリ再会できましたわ」
「リモ嬢・・・これは一体?」
城に漸く着いた商人一家は一通の手紙を手に困惑している。
帝国の商会に到着して早々、秘書から封書を受け取った。
《西端の島へ向かいます》という内容の手紙に大慌てで登城した所である。
「ごめんなさいね、急遽動くはめになったのよ」
リモネルは経緯を簡単に述べた、再会直後お留守番になった親子はキョトンとしている。
「10日ほどで戻れると思うの」
「敵地に乗り込むというのに・・・呑気ですなあ」
仕掛けられた罠に敢えて飛び込むという作戦を聞いて「リモ嬢らしい」と嘆息した。
「俺らは足手纏いか?」ザインが食い下がる。
「ん?付いてきても構わないけど相手は魔族だから命掛けになるわ」
護る余裕はないから自己責任だとリモネルは言う。
「ニンイート公国を通るのよ、商人目線では面白い旅でしょうねぇ」
ウカイルが一瞬で商魂に火がついた面持ちになった。
「来た道を戻るってのに流石に呆れるよ父さん」
カインがウンザリした顔で父を見る。
「俺はグロワールへ戻るよ、ギルドの管理をしなきゃ、農地の様子も気になるし」
「カイン、ニンイートのお土産期待してて」
観光旅行を楽しむような言いようのリモネル。
「・・・あんた亭主を助けに行くんだろ、もっと緊張感だせよ」
「あら、あの人が私如きの手を必要とでも?」
規格外な夫婦だということを思い出したカインは「じゃあ地酒を頼むよ」と苦笑した。
***
翌日、早朝のこと。
同行するナゼルフェンがリモネルに3点の装飾品を渡した。
「これは魔道具だ、お前の気配を隠蔽して、それから容姿も変化する」
リモネルが有難く借りるとイヤリングとネックレスを身に着けた。
気配はともかく見目の変化に驚く。
姿見に映ったリモネルは黒髪黒目で吊り気味の目はやや垂れている。
「うわー誰これ!アハハハッ」
クルクルと回って愉快に笑うリモネルに「バカタレ」とデコピンした。
ナゼルフェンと従者2名、商人一家が円陣を組む。
「グロワールへ」とリモネルがイメージをする、一行の姿が数秒明滅すると光粒を残し転移した。
白絹宮殿へ突然帰ったリモネル達にゴッツとサンディが飛びついた。
「二人とも元気?ふふっ、すごく久しぶりな気がするわ!」
プモプモ!と二人が答える、中身不在のマールは警邏中のようだった。
カインはそそくさとギルド支部へ行ってしまった。
リモネルも領地を一通り見回ったら次の転移に備え休憩をとる。
サンディは嬉しそうに主人の世話を焼く、午後にはグルトルテ皇国へ飛んでしまうので片時も離れようとしない。
「はあ、早く落ち着きたいわね。そりゃ・・・旅行気分ではある・・けど」
「むぷぅ?」
サンディは転寝しだしたリモネルに毛布をかけ手を握った。
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