氷雪の大地
ナゼルフェンの間諜が現魔王城の場所を突き止めた。
風雪吹き荒れる荒れ地と化した西端の島の上空に浮かぶ、浮遊城だという。
しかし常に動いていて、一晩で二里動くこともあるという。
「ふむ、統治者によって所在と気候が変わると聞いておるが。リモネル、やはりキミは行くべきではないと思う」
「言うと思ったわ、けれど承服しかねます」
だろうな、とため息を吐く。
リモネルが大人しく待つはずがない、無理に止めても拗れるだけだろう。
「魔王に捕まり絶望する未来は見えているのか?」
厳しい面差しにリモネルは一瞬震え答えに詰まった。
「覚悟がないのなら軽率な言動はやめたまえ、良く考え決断するのだな」
――
リモネルは自室に戻り、ナゼルフェンの言葉を反芻する。
皇国は為政者が不在の状態、なにを成すべきか最善な行動はなにか。
何時間も思考を巡らす「わかっているの、本当は・・・」ぎゅっと目を瞑り祈るように手を組んだ。
《リモ、愛しい人・・・聞こえるかい》
「スニアン!?あなたご無事なの?」涼やかな彼の声が突然頭に響いた。
《・・私は元気だよ、自由に動けている。悪魔たちは捕えてると思い込んでるだけさ》
「そう、ああ良かった!私の代わりにツライ思いをしてるのかと」
《心配かけてごめん、でもだいじょうぶ。魔王城は穴だらけさ、でも結界はそれなりに強力だ。力を貸して欲しい》
「ええ!もちろんよ、何をすれば良いの?」
《満月の儀を利用したい、聖女のキミが一番強い魔力を放てる日だ。》
「その日にあなたを救えるのね?」
すうっとスニアンの心に触れたような感覚がした、思考がシンクロしたかのように頭に映像が流れてくる。
夜に浮かぶ魔王城が視える、だが西端の島はなかった。
《現魔王は魔力が弱く常に警戒し移動をしてる、巡回しては戻り時折所在を眩ますんだ》
「ええ、理解したわ。あなたを絶対救います」
満月の日まで後10日、スニアンと交信しながら魔王城を追うことを約束し、一旦交信を絶った。




