水を得た怪魚(リモネル)
何言か呟き王妃が土下座をやめた。
ユラリと立ち上がった王妃は驚く俊敏さを見せ武器を取る。
レイピアがヒュンヒュンと鳴りリモネルを襲う。
舞うような剣戟を繰り出す王妃は人が違ったかのような形相だった。
瞳孔が開き真っ赤な口が下品に歪んでいる。
「ほほほ、避けてばかりではつまらないわ」
高らかに嗤いながら攻撃を仕掛ける、実に楽しそうだ。
リモネルはキンキンと剣で弾いていなす。
(ふむ、レイピアは速いけど軽い攻撃ね)
「開き直った人間ほど厄介だこと」
リモネルは冷静に対峙した。
闇雲に攻撃してるように見せて周到な動きだと思った。
「うん、なるほどね」
空気に微かな淀みがある、王妃が動く度にどんどん濃くなり目視できるよになった。
皮膚がピリピリしてきた、浄化をしつつ距離を詰める。
嬌声のような笑いを上げて王妃がレイピアを突き出した。
リモネルは「あ!」と声を漏らしよろける、好機とばかりにレイピアの怒涛の突きがガガガガと襲う。
霧のような黄色の淀みが漂う中に、崩れ落ちた人影を見た。
リモネルが延びている。
王妃が満足げに笑い攻撃態勢を解いた。
「小国の皇后如きが偉そうに、フハハハッ!」ガンガンとそれを靴先で蹴り上げつつ言い放つ。
「私の毒霧は美味しいでしょう?喉に甘く、目に痛い、鼻は金木犀のような香りにウットリするの」
すでに物言わぬ物体をなおも執拗に蹴り続ける。
「ええ、とても物騒で不愉快な毒攻撃でしたわ」
王妃のすぐ後ろに声が響いた。
振り返るよりも早く腕に痛みが走り、両足が不自然に崩れた。
「・・あがあああ!!!足が!!!私の足ぃいい!」
王妃の足が膝下から消えていた。
ひいぃいと泣き叫びながら己の足を探している。
「まるで芋虫ね、わたし虫が大嫌いなの」
飛び回る毒蛾から芋虫に退化した王妃の様は見苦しく哀れだった。
「どうじで!確かに・・・あんだを刺し殺したの・・・にぃ!」
王妃の傍らに転がるソレは確かにリモネルだ、だがそれはサラサラと崩れ砂になっていく。
ひぎぃいい!と悔し気な慟哭が聞こえた。
「安心して命までは取らないわ。傷は塞がって痛みもないでしょう?あなた如きの頭ひとつで事は済まないもの。さっきのはただの脅しよ。」
捥げた手足は繋いであげないけど。
リモネルは血を掃うように長剣をヒュンヒュンと振り回した。
農作業で鍛えた筋肉は伊達じゃない、畑を一日1反耕しパイナップルの山を何十回担いだことか。
「んんー、久々暴れてスッキリしたわ、本当はクワを振りたいけど」
グサリと長剣を地面に突き刺した。
窮鼠猫を噛むみたいに書きたかった。失敗




