小さな暴君
約束の10分前にサロンで皇子の到着を待った。
本来こちらが身分は上だが、保護された立場を配慮しての事だ。
しかし、皇子はなかなか来ない。
遅刻すること40分、漸く第二皇子ムシモーレが従者5人を連れて現れた。
齢10歳という幼い皇子の面差しはナゼルフェンに良く似ていた。
リモネルは立ち上がり応対しようとしたが、挨拶も謝罪もなくドカリと対面に座った。
そして無言。
やむなくリモネルが口を開く
「グルトルテ皇后リモネルでございます、ナゼルフェン皇太子様の御厚意でこちらにお世話になっております」
「は、貴様が皇后だと?嘘をつくな幽閉された罪人め」侮蔑の目でこちらを見据える皇子。
侍女たちが息を飲んだ。
「しかも兄上の名を軽々と吐くな!穢れる!」
「まあ、お兄様を慕っていらっしゃるのね」
「やかましい!罪人、兄上の命でなければ離宮など来ぬ!暇つぶしかなんか知らんがなぜ皇子の私が話し相手などしなければならん!」
皇子の従者が窘めたが聞こうとしない、それどころか癇癪を起して茶器をガシャリと叩き落として暴れた。
「きゃあ!お召し物が!」侍女が慌てて駆け寄る。
リモネルの方へ破片と茶が飛んできたが、咄嗟に結界を張ったので無事だ。
それが更に気に入らなかったのか、窓際の花瓶をリモネルへ投げつけてくる。
「皇子いけません!」
私を庇い皇子の従者が盾になった、花瓶は粉砕して従者の額が傷ついた。
ポタポタと血が滴る様を見て、やり過ぎたと気が付いたのか皇子は茫然と立ち竦む。
従者が私を気遣うがあなたの方が大変よ。
「傷を見せて、ニナは何か拭くものを」
「は、はい!」
額を軽く拭う、ぱっくり割れた傷は大きく出血が多い。
リモネルは手を翳し祈る、傷はみるみる塞がり完治した。
「・・・なんと!聖女の癒しを賜るとは」従者はしきりに恐縮して頭を垂れる。
「額の傷は癒えたわ、他に痛みは?」
軽い腕の打撲があったのでそれも癒した。
飛び散った汚れと破片が片付き、落ち着いた頃合いでリモネルは皇子に向かう。
「さあ、お仕置きの時間です。クソガキ!」
「・・・え?」
膝上に乗せズボンを下げお尻を叩きだした。
「ぎゃああ!何を・・する!ぶれいもの!いぎゃああああ!!」
バシンバシンッ!容赦せずに叩く事数分、開放された皇子は泣きじゃくり呂律がまわらない。
それでもリモネルを罵り続けた。
「ああああにうぇぇぇに、いいづげでやどぅーー!穢れた魔女めえ罪人めえ!!」
「あらあ?まだ足りないようね?」
リモネルは憤怒で容赦ない威圧をかけた、途端に皇子は火をつけたように泣きわめいて失禁した。
それは壊れたホースのようにジョバババと。
一人の従者が「ああ、希少な絨毯が・・・」と小さく嘆いた。




