砂漠の薔薇をあなたに
大聖堂で挙式は行われた、緊張に震えつつリモネルはなんとか踏ん張る。
対照的にスニアンは余裕の笑みを零し、美しく輝き花嫁より注目を浴びている。
何処からともなく白い花びらが舞い踊り二人を祝福した。
(ゴッツとサンディの仕業だ)
大精霊の祝福だと参列者達はどよめいた、挙式だというのに平伏すという異様さだ。
二人の誓いの口づけと共に荘厳な音楽が流れ恙なく縁は結ばれた。
そして披露宴が始まる――
豪奢に武装した王侯貴族が白亜の大広間で囁き合う。
繋がりを求め美辞麗句が飛び交い、男は狐狸、女は毒蛾のように獲物を狙い定める。
商人家族がウンザリ顔で壁際に避難している。
「父さん、社交に行かないの?」カイルが揶揄う。
「馬鹿言うな、いまは平民の身だぞ。近寄っただけで毒気にあたって死ぬ」
ウカイルが辟易して酒を煽った、リモ嬢の婚姻を祝うためだけに参じたと渋い顔で呟いた。
「まあ、皇后と親しい商人などあいつらの餌食だな」
ザインは料理を掻っ込むのに専念した、食われる前に食うという風に。
入場10分前、控室で嘆息するリモネルにスニアンがそっと手を握る。
「ただの顔見せだよ、緊張することはないさ」
「・・・スニアン、この国は貴族はいないのでしょう?招待客が多すぎませんか?」
「うん、たしかにね」
スニアンは歯切れが悪く言う。
「・・・じつは旧王国のお歴々がね、勝手に来てるんだよ」
「は?・・・どういうことですか?」
招待もされてないのに乱入するとか、教皇を舐めすぎじゃないの?
「なに、海外の賓客だけ挨拶するつもりさ、私もそれなりに腹を立てている」
ほんの一瞬、スニアンが昏い笑みを浮かべた。
綺麗な顔の分、凄く迫力がある、氷荊の貴公子と呼ばれたのは伊達じゃない。
リモネルは背中に冷水を浴びたように身震いした。
従者の声が響く「スニアン猊下、リモネル嬢の御成りにございます」
戦闘服をチェックし気持ちを引き締めた。
「私が絶対護ります」スニアンが凛として立ち、私の手を取った。
重厚な扉が開き背を伸ばし歩を進めた、侮られてはいけない。
柔らかに笑みを浮かべつつ媚びらず、威厳ある態度を見せつける。
一同が頭を垂れて控えている。
玉座への階段を上がる時、スニアンが腰に手を添えてくれた。
愛しむ優しい顔に安堵し座についた。
見知った顔がこちらへ向かってきた「ナゼルフェン皇子!お久しぶりでございます」
「ご結婚おめでとう、息災でなにより。教皇、あなたがこの跳ね馬を娶るとはね」
ちょっぴり皮肉を混ぜた挨拶が彼らしくて笑みが零れる。
「ふふ、私ほど幸せな者はいないだろう?」
「いや、ほんとうに惜しいことをしたよ。砂漠の薔薇は私が欲しかった」
二人はがっちりと手を合わせ微笑み合う、なんか黒いオーラがぶつかり合った気がする。
「デザートローズでしたら帝国へ贈りますわ、ちょうどサトウキビ畑で見つけたんです」
貴重な鉱石を所望なのねとリモネルは笑った。
ナゼルフェンは肩を竦め「その砂薔薇にリモネルと名をつけ家宝にいたします」と言った。
うまく書けません




