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穀潰しと言われた聖女は自給自足する   作者: ハバネロあんこ
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閑話 読まれない手紙(オランジェル)

割り込みです。

投獄されて1日目、ロクに調べもしないで判決が下りた。

崩壊した王国から皇国に建て直された慌ただしい時期に、罪人に割くような人手はない。

とうぜん罪人の衣食住など無駄な資金はない。


禁固5年、地下牢でボンヤリ寝て暮らせるわけがない。

オランジェルは課せらた作業をこなさなければ食事が貰えない。

所謂《内職》だ、封書作りや良くわからない部品の研磨など。

クズ石に穴を空けた庶民用のアクセサリー作りは面白かったが、贅沢品の為あまり依頼はない。


初日は反抗して何もせずに踏ん張ったが、空腹と喉の渇きに耐えられなかった。

手紙で不服を連ね姉に宛てた。


《手紙1通目》

親愛なるお姉さま


今頃のうのうと聖女ぶって葡萄酒でも傾けてるかしら?

そんな暇があるなら可愛い妹を助けなさい。

没落した生家は役立たずなのよ、あなたは姉なのだから保護者代理として保釈金を払う義務があるでしょう?

ほんとに愚図よね、そんなことも指示されないと動けないのかしら?

早急に法務局か裁判所へ根回ししなさい!

これは命令よ!


・・・・

しかし待てども返事は来ないし釈放もされない、どうなってるのかと看守に怒鳴るが相手にされない。

愚図の姉のことだから手紙の宛先を間違えてるか保釈金を横領でもされたのね!

ほんと役に立たない!



時たま掌を睨んでは作業をちまちまこなす。

「パンごときのためになんで私が!」山と積まれたノルマに吠えた。

掌には魔封じの入れ墨が彫られている、気にせずにおれない。

刑期が終われば消えるらしいが忌々しくて時々擦るけど意味はない。


《手紙2通目》


親愛なるお姉さま


いつまで待たせるの!

真の聖女をこんな牢獄にいれたままで天罰が下っても文句言えないわよ!

どうしてそうボンヤリとノロマなのかしら?

噂で聞いたわ未来の皇后ですって?この皇国はすぐに終わりよ!

仕事もろくにこなせるわけないわ、教皇の隣は私に任せなさい。

わかったなら早くここから出しなさい!


・・・・

夕暮れ時にスープの香が地下牢へ届く。

牢の小窓から内職品と交換する、きょうはノルマ通りなのでパンとドライフルーツが付いた。

黄色く丸い謎のフルーツがシャリシャリとして甘い。


「美味しい・・・」独特の香味が気に入った。

食器を下げる時に看守がパインだと教えてくれた。


ここを出たらパインをたくさん食べてみたい。

我儘なオランジェルにしてはささやかな夢だった。


食後の習慣になった手紙を書く。

支給品のレターセットは粗末だけれど無料だから我慢した。



《手紙3通目》


親愛なるお姉さま


愚図なあなたが理解できるよう丁寧に綴ってみたわ。


偽聖女だと汚名を着せられ投獄されて半月になりましたわ。

酷いと思いません?


そりゃちょっと嘘は言ったりしたけど偽じゃないわ。

加護の御呪いを掛けて欲しいと言うから魔法使ったの、

でもあまり効果がなくて。

そしたら偽物めって衛兵に突き出されたのよ。冤罪でしょ?


悔しいから魔力を増やそうとしてるの。

でも、お祈りしても魔封じされてて魔力が戻ったかわからない。

夜は石床が冷えるし温めたいのにツライわ。

私が可哀そうでしょ早くここから出してよ!

今後更生させようか悩みます。

じぶんの妹は憎たら可愛いので重ねてしまいます。

身内に激甘。


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