壊れた国と新しい国
地震は収まり火山は静まった。
出奔しようとしていた貴族達が戻り、平民達も何割か留まった。
それでも国は持ち返したわけではない、各国からの支援は全く貰えていないのだ。
聖女リモネルとスニアン大司教により王国が災厄を免れた事は全世界に知れ渡る。
密かに連絡を取り合っていた帝国のナゼルフェン皇太子の手の物が暗躍した成果だ。
国教会が統治するならば支援をすると同盟国から声が上がる。
グルトルテ皇国と名を変え、スニアン大司教は初代教皇として君臨することとなった。
国を捨てようとした王族と貴族は糾弾され、解体された。
そして聖女暗殺を企てたコルパは混乱に乗じ行方をくらませ、全世界に指名手配された。
平民に落ちた王族は民衆のリンチを恐れ、他国への亡命を希望したが受け入れ先はみつかっていない。
唯一太ましく生きようとしたのはオランジェルだ。
「私が噴火を防いだ聖女オランジェルよ!」と声高に宣言した。
しかし、誰にも相手にされず浮浪者寸前になり、やむなく生家を頼るも、すでに貴族爵を失い没落していた。
オランジェルを受けいれる余裕などない。
後に聖女だと嘯き詐欺を働いた。
「聖女を騙る不届き者」として捕縛され沙汰を待つ身になった。
獄中で「姉に会わせて」と申し立て続ける、これはリモネルの頭痛のタネになった。
毎日にのように妹から手紙届く、その執念をなぜ国の為に使わなかったのか。
読む気にもなれずそのまま焚火にくべていた。
大方は都合の良い言い訳か、脅迫文かと思う。
「資源の無駄だと思わない?」
「むぷぅ」
サンディは手紙を捩じりオーブンの火種に使う。
焼きあがったピザはコッテリとしてて胸焼けが酷かった。
オランジェルの呪いかもしれない。
「レモネードが飲みたいわ」




