厚顔無恥
どの顔下げてと叫びたかった。
だって商人兄弟が先に叫んじゃったから。
私をつい最近暗殺しようとした犯人が使者筆頭で来たんだもの。
「お久しぶりね、相変わらず貧相だこと」見知らぬ女性が言う。
「はあ、どちら様でしたかしら?」
やけに太・・逞しい女子がドピンクのドレスを着ていた。
「なによ妹を忘れたわけ!聖女オランジェルよ!ごきげんよう平民のお姉さま!」
「・・・・・うわぁ」
私の反応に顔が爆発しそうに赤くなる、乙女心が傷ついた?
だってほぼ球体だもの、ピンクの玉かと思ったわ。
「で?」
私の一言が信じられないとばかりに見上げた。
結界門の上空で絨毯に乗り浮かんでいるリモネルへ侮蔑の目を向ける。
「使者に対し無礼ではないかね?」殺人未遂犯がなんか言いました。
「殺人未遂犯の罪人の間違いではなくて?」
私の指摘に「ハッ」と息を飲むコルパ魔術師団長。
バレてないと思ってたのか―――
「え?罪人、誰が殺害?え、師団長!?」オランジェルが慄いてコルパから離れた。
「貴方の所業は帝国に知れてます、関わった実行犯は牢屋であなたを待ってますよ」
顔面蒼白になったコルパは逃げるに逃げられない。
ボッチで魔物森を抜ける勇気はないようだ。
「それから、貴国が天変地異にみまわれてるご様子ですが、それは師団長のせいですから」
師団が全員ザワリとした、数十人の視線が一斉にコルパに刺さる。
「な、ななな、あれは国家領土に対し・・て」
「あの盟約書には対象をはっきり指定しておりません、なので私に害をなした故に呪詛が発動したかと、ロクに目を通さず王がウッカリ調印したせいです」
私の家(砂漠)は国ではない、だから普通の盟約とはちょっと違うのよ。
ふふふふっと昏い笑顔を向けた。
ついていけないオランジェルはなにがどーした!?という顔だ。
「それはそうと、師団を引き連れて何用ですか、戦争をする気かしら?疲弊した小国くらい私一人で潰せますが」
そういう私にオランジェルが噛みつく。
「ホラ吹くんじゃないわよ!能無しのくせに!」
「能無し?よろしい。ちょっと姉妹喧嘩といきましょうか」
ヒラリと絨毯から降り、オランジェルを挑発してみた。
「何用か知りませんが、私が負けたらなんでも聞きましょう」
「ふふん、いいわよ。ボコボコにしてあげる!」
先手必勝とばかりにオランジェルが「火の玉!」と叫んだ。
ポッ!
マッチほどの火が出て消えた。
「あれ?なんで?」呆けるオランジェル。
師団から声が聞こえた「特訓してないのに出るわけない」「怠けてるから」「自国の恥」と囁いた。
オランジェルは羞恥なのか悔しさか赤くなったり青くなったり忙しい。
「えい!えい!えい!」
繰り返しするほど火は小さくなり、とうとう何も出なくなった。
「魔法はこう使うのよ」
ジャキン!と鋼鉄の矢を数百本ほど出してオランジェルへ向けた。
「ぴぎぃぃぃいい!!!」オランジェルが泣き叫んだ。
ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン!!!!!
ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン!!!
ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン!!!!!
ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン!!!
略
「ぎゃぁあああああああああああ!」
矢はオランジェルの周囲へ飛び皮膚ギリギリを掠めた。
ピンクのドレスはズタズタになったけどね。
「あ、ごめんなさい。外しちゃった次は当てるわね?」
今度はイガ栗鉄球を100個創造し投げようと構えた。
「受け取りなさい!」
「いやぁああああああ!!!!」
ドォンン!ドオォオン!ドォォン!ドオォン!ドォンン!ドオォオン!ドォォン!ドオォン!ドォンン!
ドオォオン!ドォォン!ドオォン!ドォンン!ドオォオン!ドォォン!ドオォン!ドォンン!ドオォオン!
略
「まあ、今度は1個当たったわ」
「ぎゃあああああ!いだいいいいいいい!!!!」
丸いお腹にイガ栗が刺さっている。
脂肪まみれだから致命傷にはならない・・・と思う。
「ん~ほんとはね。トゲトゲスイカ鉄球にしたかったの、でも死んじゃうし?」
ニタァと嗤ってみた。
「ひ、ひどい!スニアン様ァァ!敵を討ってくださいぃ」縋りつこうと転がった。
背後で静観していた長身の男性がヒラリと避けた、バインバインとオランジェルは跳ねて叢へ転げる。
スイッと私の前に立つ長髪の美丈夫にビクリとする。
「久しぶりです聖女リモネル、息災でしたか?」
「大司教様・・・」




