砂漠に帰ったリモネル
大司教たちが砂漠へ向かった頃に戻る―――
白絹宮殿に戻ったリモネルは3人に飛びついた。
「ただいま!やっと帰れたわー」
サンディとゴッツが「ぷもっ!」と抱き返した。
「あれ?マールどうしたの?」
マールの反応がいまいちなのが気になった、怒っているのだろうか。
「マール?マール?どうしたの?いつもみたいに(ぷも)って言ってよ」
マールはギコギコというような人形の動きだ。
そして、リモネルに構うことなく宮殿を出て畑の周辺の見回りに行ってしまう。
「・・・マール」
リモネルは愕然とした、自我を失ったゴーレムそのものなマールの姿が悲しかった。
落ち込むリモネルにサンディは慰めるように寄り添う。
「サンディ、私嫌われちゃった・・・」
ポロポロと涙が止まらない、どうしていいかわからない。
三日三晩泣き続け、高熱を出し寝込んでしまった。
ゴッツはマールを何とか宮殿へ向かわせようとしていた。
しかし、他のゴーレム同様に警邏ばかりするようになっていた。
「マール殿は心が壊れたかのようですな」ジャジさんが心配して見舞いに来てくれた。
「本来の姿なのかも・・・です」
私はグスリと鼻を鳴らす、そうよゴーレムだもの、いままでがおかしかったのよ。
それでもやっぱりバナナの世話をしたり、小鳥に餌をあげてたマールの姿が忘れられない。
もう以前のマールには会えないの?
ジワリ涙が出て、また熱も上がってくる。
(マール、マール・・・人形でもいいわ、あなたが好きよ)
胸がとても痛くて辛い、私もいっそ人形になってしまいたい、そうしたらずっと傍に・・・。
泣く度に胸がギュウと締め付けられて切なくなった。
熱が下がった日。
外に出るのは辛くて、宮殿の居間で鏡を見ていた。
監視水晶を通してマールがギコギコ警邏してるのを見つめた。
マールの肩に餌付けされた鳥が乗り、ギィギィ鳴いてる。
私は鏡面のマールを撫でた。
***
商人兄弟が病み上がりだからと言ってくれたけど、仕事してたほうが楽なの。
人前でも構わずギルド支部を建立した。
5階建ての建物が静かにせせり上がる様は奇妙奇天烈なので歓声が凄かった。
街の住人も増え続け、集合住宅は10棟になっている。
昼間のことだったから野次馬が煩かったけどどうでもいいわ。
ウカイル氏は帝国に残り商売を再開する準備中。
聖グロワールの窓口になってくれるのだ。
「またも錬金の現場を逃しましたな、ほっほ」とジャジさんが意地悪を言う。
「ふふふ、そうね一番見たかったのにね」
ギルド支部の設計は本部指定の通り造らなければならなかった。
お役所のようなキッチリカッチリな佇まい。
「うーん、砂漠らしく横にヤシを植えてもいいわよね」ちょっぴり遊びを入れたい。
「きっちりなのは荒くれ者が蔓延らない、けん制の意味があるようですね」
カインが言う。
「あら、うちは荒くれ者は侵入できないわよ」
「そっか、そうでしたね」
アハハハハッって笑ってたら「仕事しろ」ってザインが怒鳴った。
内装がまだでした・・・。
「受付カウンター、ロビーのソファテーブル、飲食休憩スペース、応接室と」
「リモ嬢、冒険者は受付するの?」
ザインは元武官なので気になるようだ。
「そうねぇ魔物討伐と言っても、うちにはゴーレムがいるから必要ないのよね」
「依頼もいろいろ増えてから考えましょう」カインが言う。
そうね臨機応変でいきましょう。
そもそも流通がまだないから通貨がない、ウカイルさん、特産品の宣伝よろしくね!
ギルド発足に並行してサトウキビとパイナップルの農家を募集した。
収穫バイトもそのうち!
ギルド準備に追われた数日後、ゴッツが警報を鳴らした。
カアァアン!カアァーン!!
みんなに緊張が走った。
またも西結界が騒がしくなる。




