天変地異2
我先にと逃げ惑う文官と武官達、最早上司だろうが身分下だろうが無関係とばかりに騒いでいた。
財を持ち出そうとした王族の持ち物まで奪う不届きものまでいる。
怒号飛び交う城内を鎮静化する声が響いた。
「落ち着き給え、醜く騒ぐ貴方方を救って差し上げよう」
暗緑色の衣を纏い現れたのは――
「おお、コルパ魔術師団長!どこにいたのだ!」アホ王子が駆けよった。
「この程度の天変地異など抑えて御覧に入れましょう」
自信たっぷり演技たっぷりの仕草に総員ポカンとする。
「ま、まあなんでも良い。算段があるのなら一任しよう。父上、不届き者は後で処断します、会議室で待機いたしましょう」
お前たちも会議室へ参れと扇動する。
落ち着いた文官、武官達はぞろぞろと会議室へ集まった。
***
「なんで私まで行かなきゃならないのよ!」
オランジェルがブゥブゥ文句を垂れながら馬車に揺られている。
それでも一番豪華なドレスを纏って居丈高に振る舞う。
コルパ師団長が宥めるよう言う。
「貴女の地に落ちた評価をあげる為でもありますよ、使者として粗相なきよう」
「ふん、使える者なんでも使うわ。姉は私に弱いの、お人好しなのよ。掌で転がしてあげる」
師団は聖グロアールへ向かっていた、魔物森を抜けるために加護魔法の使える大司教が同行した。
「スニアン様ぁ、護ってくださいね」ブィー
急に猫撫で声になるオランジェルに師団長が吹いた。
「貴女に名を呼ぶことを許しておらん」
大司教は恐ろしく整った顔を青く凍らせ冷淡な態度を貫いた。
「つれないのね、でもそこが貴方を美しくしてるわぁ、神官さん方は御無事なの?」
「教会はぶれない、冷静に対処し常に静謐である」
「わぁ流石ねぇ素敵ですぅ」
媚びるだけで中身のない言葉を連ねるオランジェル。
民を導く教会が揺れてどうするのか、大司教は益々嫌悪の表情である。
だが、民衆が挙って出奔した事実は、我らの力が至らないせいであると・・・失態を恥じていた。
だからこそ、大司教自ら同行を快諾したのだ、聖女リモネルを説得できるとは思えないが。
(ふ、断れば良いと思っている)
「なにかいいましたか?」コルパが怪訝な顔で大司教を見た。
「いいえ、わたしは暑さに弱いのでね、不安なのですよ」苦笑して返した。
それを聞いたオレンジェルが何事か騒いだがどうでもいい。
滅多に人が入らない深い森は悪路である、なかなかの苦行になった。
野宿を3回経て漸く砂漠入口付近へ着いたのは夕刻だった、審判の門の巨大ゴーレム門兵にオランジェルが悲鳴を上げた。
奇しくもそれがリモネル達を呼び寄せる切っ掛けとなった。




