↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
穀潰しと言われた聖女は自給自足する   作者: ハバネロあんこ
PR
33/67

天変地異1

「報復?面倒なのでいいです」

私はギルド支部契約書面を確認しつつ答えた。

皇太子の計らいで無事に聖グロワールギルド運営権をもぎ取った所だ。

視察も見分も端折りの高待遇、「聖女の地にケチをつける気はない」との事。

聖女じゃないけど甘んじよう。



私の言葉に納得しない面々に言う、報復は報復を呼ぶんですよ。


「私は、諍いは嫌いです。手を借りずとも王国を吹き飛ばせますがやりません」

「リモネル嬢、さらっと怖いことを言ったな」

皇太子はモノクルを磨きつつ動向を見守る体のようだ。


「それにすでに吹き飛んでるか砂漠化してるかも?」

「どういうことです!?」

ウカイルが喰いついた、落ち着いて。


リモネルは亜空間収納を開いた、宙に戸棚が浮かび出てくる。

ウカイルが「欲しい!」というが譲れる次元のものではない。



文箱からペラリと《高次呪詛盟約書翰》を出して見せた、皇太子以外はキョトリとしている。

「これは私が悪魔の鍋を得る際にメニアシトラ王と交わした盟約書です」

子細を述べるとウカイルが商人の顔になりギラギラしていた。(そろそろ鬱陶しい)



そして、今回の暗殺未遂により呪詛が発動した可能性を示唆した。

対象が所有地か盟約者かはっきりしないところはちょっと迂闊だった。


「悪魔の鍋はちょっと前なら無価値でしたからね、王も適当にサインしてました」

それを聞いたみんなは「愚かな」と呟く。


「お粗末な暗殺劇だった、何か仕掛けてきてもリモネル嬢なら簡単に薙ぎ払うだろう」

皇太子がクククッと喉を鳴らす。


でも平民が巻き込まれるのはやっぱり避けたいわ・・・。


***


一方メニアシトラ王国――


農業従事者のほとんどが亡命を希望し、各処の国境砦は大混乱になっていた。

平民に紛れ貴族達も財産を担ぎ逃げ延びようとしている。

他国へ流れぬよう騎士達が出向いたが、本気で止める様子はない。

自分たちの家族も含まれていたため職務放棄を決め込む。


聖グロワールを目指す者、帝国を目指す者、西部ニンイート公国を目指す者。

難民を受け入れる慈悲を賜れるかは彼ら次第だろう。

それ以前に魔物森を無事抜けられたらの話なのだが。


「ジワジワ滅びるよりマシ」と出奔を選ぶのだろう。



王城でも騒ぎは収まらない、城仕えの従者もどんどん出奔している有様。

直属の臣下達にに逃げられた王は呆け、同盟国への支援要請すらできずにいた。

宰相、以下大臣等はすでに行方がわからない。


アホ王子は諦めず方々へ使者を放ったが色よい返事は届かない。

とうに見限られている現実を見ようとしない。

「形振りかまっていられるか!俺が王となり君臨し国を立て直すのだ!父上には蟄居して頂くぞ!」

国庫はすでに尽きている、どう立て直すというのか。



それの上を行くKYオランジェルがピンクと花柄の部屋で癇癪を起していた。

「聖女の世話を放棄するなんて許せないわ!誰でもいいから呼びなさい!ヘアメイクと着付けが出来ないじゃないの!」

もはや忠誠心が失せた護衛騎士の心に響くわけもなく、死んだ目で扉前で佇むのみだった。



不味い食事のせいでやや細くなったオランジェルだが、内面から滲み出る醜悪さは増している。

悪鬼のような面相は見られたものではない。


「おかしいわ、なぜか魔力が減って上手く使えない!これじゃ美貌を保てやしないわ」

イライラと手鏡を覗きこみ己の容姿に絶望するオランジェル。

その時地鳴りのような音にビクリとする。


「最近は地面が良く揺れるし、空気も淀んで異臭もするわ」

オランジェルは窓を開けるも、すぐに閉じた。空気の入れ替えが出来ないほど外気が臭い。

卵が腐ったような臭いに眉間に皺を寄せた。



***


王の執務室へ文官と地質学者が飛び込み喚いた。

「未曽有災害の兆しがございます、御覧ください!」銀盆に乗せた髪のような物を差し出す。

王はわけがわからない「なんじゃこれは薄汚い」


「これは火山毛でございます、火山から噴きだした溶岩の一部が」

「御託は良い、簡潔に述べよ。余は頭が痛い」


頭が悪いの間違いじゃないかと学者は思ったが飲み込む。

「我が国東の活火山は時折灰が飛んでおりましたが、火山毛はめったに飛びません」

頻発する揺れと地下水の温度の上昇関係を説明した。


すでに水蒸気噴火が観測されていると告げた。


さすがの愚王も噴火は怖いと青褪める、文献に残る火砕流の恐怖は知っていた。

「た、直ちに避難するぞ!各国に救援を請うのだ!使者を早う!!」




愚王は転がるように己の居室へ向かう、ザカザカと金貨と宝飾品をかき集めた。

呑気な王妃を叱咤し荷造りを急かした。

「そんなもの従者にやらせばよいでしょう」

「バカ者!城内にほとんどおらんわ!非常事態とわからぬのか!」


箱入りの王妃は浮世離れが抜けず「きょうの茶会はどうしましょうね?」と目を瞬いた。

暢気なカンバセを殴りたいと王は心底思った。



本格的ざまあ始動!

恋愛要素の前振りです

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。