昏い策略ー浅ましい魔術師
王家お抱え魔術師団長コルパは戦々恐々としていた。
せっかく排除した錬金術使いの小娘を王が戻そうとするなど・・・。
20年前のあの日、中級魔術師だったコルパは双子の聖女の教師に任命された。
聖女は国繁栄を齎す貴重な人材、育成を成功させれば出世は確実だ。
3歳から指導を開始した、可も不可もない双子だった。
射し障りない教本を開き聖女としての働きや魔法の展開の仕方を教えるのみの日々。
我儘なオランジェルと真面目だがどこかボンヤリしているリモネル。
ある5歳の春、オランジェルが癇癪を起した。
面倒なのでメイドと乳母を呼びつけようとしたその時・・・。
目の前で信じがたい奇跡を見てしまった、なにもない空間からリモネルが宝石を出した。
大粒のルビーだったオランジェルが大喜びでもっと出せとせがんでいた。
大錬金術師グロワールの再来――
こんな凡庸な小娘が!
じょうだんじゃない潰さなければ!俺の出世の邪魔だ!
下手をすればたかが魔術師などお役御免にされる。
俺は――――師団長になる男だ!
二人に呪いをかけた、記憶の封じと魔力を半減する呪いだ。
その日を境にリモネルの魔力は育たなくなった「そんなものを創造するなど無駄だ」と暗示もかけた。
一方、魔力以外ゴミのオランジェルはどうでも良かった。
リモネルはそれ以来錬金をしなくなり、魔力も減ったことで聖女認定を見直す声が聞こえた。
成人したリモネルは思惑通り凡人になって城から排除された。
同時期やっと師団長にのし上がった、揺るぎない地位を掴んだ。
王もアホ王子も見目だけのオランジェルさえいれば良いと言う、なんて御しやすい愚鈍達だとほくそ笑んだ。
ところがオランジェルはとんだ毒婦だった、王子と婚約するや好き勝手な振る舞いに拍車がかかる。
王達が満月の儀に参加させようと画策しても逃げるばかり、毎日の祈りさえやらなくなった。
増える小言にストレスで肥え太った醜いオランジェルは中身も見目も最悪だ。
そして国土に異変が出た、見た目だけのクソ不味い作物しか実らなくなった。
まるでオランジェルのように。
国庫が減るばかりで立ち行かなくなってきた。
とうとう教会が動き出した、真の聖女リモネルはどうしたと・・・。
追い詰めれた愚王はリモネルの生存を聞きつけるや使者を送った。
どうしてこううまく回らない!
あいつらが、そうだ双子さえ消えればいい!
この私が新しい聖女を仕立て上げてしまえばうまく行く!
俺は魔術師団長コルパ様だ!




