招かれざる客は突然に
日没まで2時間ほどの事だった。
ファウとセウが衛る西結界壁の対面に人だかりが出来ていた。
リモネルはゴッツとマールを連れ事態の収拾に向かった。
障壁を叩く者、懇願の声を叫び続ける者、恫喝する者・・・。
烏合の衆となったメニアシトラの国民がひしめき合っている。
「なんて無謀な、魔物森を進行するなんて」
民兵らしきはいたが、ほとんど平民のようだった、老若男女入り乱れ人数がわからない。
リモネル達は絨毯に乗りふわりと民衆が屯する上空へ姿を現した。
「何用です?これより先は私の所有地と家です、害成す者は許しませんよ。」
一睨みすると騒音がス―ッと消えた(え?そんなに私の顔怖かった?)
「わ、わたしは東の辺境集落の長でございます、どうか民共にご慈悲を」
皺枯れた老人がプルプルと震え障壁へ縋るように訴える。
「慈悲と言われても困るわ、子細を教えなさい」
すると割って入る無礼な男が吠えた。
「私はザモブ辺境伯である!即刻ここを通し歓待せよ!」
「呆れたわアタナ、国境を護る立場を捨ててきたくせに貴族爵を笠にする気?」
矛盾した己の愚行に一瞬逡巡するも、自称辺境伯はなおも吠えた。
「やかましい!貴様は聖女であろう、我らを保護する義務を放棄するか!」
ギャンギャンと真っ赤に吠える男が煩いので、ゴッツとマールが猿轡を施し捕縛して木に吊るした。
ゴーレムに慄いた者が悲鳴をあげたが無視。
「私は聖女ではありません、身分剥奪後この地へ移り住んだ、ただの異邦人です。事態を詳らかにする気が無いなら貴国に戻りなさい。」
冷めた目を向け立ち去ろうとすると懇願と嘆きの声が私を止めおこうとする。
「お待ちください!いまメニアシトラは餓死者が絶えない状況にございます」
「・・・なんですって?詳しく聞かせて頂戴」
***
漸く詳細を聞きだしたリモネルは唖然とするばかりだ。
飢えた者が多いようなので水と果実を配った、人々は血色が良くなり落ち着いた。
リモネルは避難民の周りに魔物避けの加護を張った。
「オランジェルは一体何をしているの?作物が毒気をはらむだなんて」
「お、恐れながらよろしいでしょうか?」
さきほどの老人が訴えた。
「ええ、畏まらなくていいわ、わたしは只のリモネルよ」
「ありがとうございます。噂ですが、満月の儀を疎かにされていると聞き及んでおります」
「なんですって!?」
リモネルの怒気に当てられた幾人かが「ひいいいぃい!」と悲鳴を上げた。
「お嬢さん、気圧されて怯えてます。威圧はご勘弁を」
「え!?威圧だしてた?」
難民たちがうんうん、と揃って頷いた。
「ご、ごめんなさい、私ったら・・・驚いたり怒ったりすると・・・ああそうか、無愛想と言われてた原因だったのね」
王族とオランジェルは魔力が高いので、恐れより不快感を感じていたのだ。
メイド達の避けるような態度や青い顔でそっぽ向く態度の事を今更気が付く。
「はー聖女失格になるわけだわ」リモネルは嘆息を漏らす。
「状況は概ね理解したわ、でも全員招待するほどお人好しではありません。」
リモネルは結界壁に手を翳しアーチ形の門扉を作った。
「これは、私特製審判の門よ。害悪な性根の人間は通れません、さあ、つかの間の隣人として歓迎します、通れる方はね?」
厳つく荘厳な白磁の門に難民たちは息を飲んだ。
サブタイが思いつきません




